楽曲「賽の河原」

シングル『霹靂』収録

BRAHMAN【賽の河原】歌詞の意味を解釈!これは誰の為の犠牲?自分を裏切る理由と揺るぐ決意の行方はの画像

BRAHMAN楽曲「賽の河原」は2011年9月にリリースされたシングル『霹靂』に収録されています。

鳴り響く重低音が次第に速度を早め、心に衝撃を与えるイントロ。

それはまるで何かに追われているようにも感じるのです。

BRAHMANライブでは既に定番曲となっており、演奏される度に深みが増していきます。

また全ての歌詞が日本語詞になっており、彼らの魂がそのまま反映されている作品です。

BRAHMANは前作からおよそ3年以上の時を経てこの楽曲を世に発信しました。

その間、彼らの音楽人生価値観はあることをきっかけに大きく変わっていったのです。

3.11をきっかけにリリースされたシングル

2011年3月11日…東日本大震災が各地に爪痕を残しました。

生きる意味を再確認し、これからどうあるべきかを考えたBRAHMANは誰よりも早く行動に出ます。

今自分にできることを精一杯やる…彼らにとって選択肢はただ1つでした。

そしてライブでは自らの心の内を一切表には出してこなかったボーカルのTOSHI-LOW。

震災後には胸に秘めた想いや未来への願いをMCで熱く語るようになりました。

楽曲「賽の河原」の歌詞は、そうやって次第に変わっていくBRAHMANの思想を表しているのかもしれません。

今まで信じて貫いてきた道を一度壊してまた始めていく…。

まるで人生そのものを表現したような考え方が楽曲の至るところから伝わってくるのです。

ここからは「賽の河原」の歌詞に込められた本当の意味に迫っていきたいと思います。

積み上げたものは壊されていく

この世に生きている意味

叫んで揺れた仙境に潜む
限りない憎悪
耐えて耐えた犠牲の裏
形ない業

出典: 賽の河原/作詞:TOSHI-LOW 作曲:BRAHMAN

この部分は、叫びのような掛け合いが印象的な序盤の歌詞です。

それはまるで自らの意見を主張し合っているようにも聴こえます。

例え同じ世界に住んでいても置かれている状況は人それぞれです。

ただ静かに暮らしていきたいと願っていても、様々な事件がその些細な幸せを崩していきます。

それはいつ起こるか分からない、そして誰に起こるかも分からないのです。

そんな状況にただ怯えながら生きるわけでもなく人々は平穏な毎日を過ごしていきます。

しかし、そうしている間にもどこかで誰かが何かの犠牲になっているのです。

東日本大震災の後、BRAHMANはいち早く行動することを選び、まず現状を知ることから始めました。

被害の状況や被災者の気持ち、そして今何が必要なのかを考えて寄り添い続けたのです。

誰かが必死に生きてきた人生を無駄にしない為にも残された人々が伝えなければいけないことがあります。

生かされた意味と真剣に向き合うことによって想いは継承していくのです。

崩れていく恐怖

重ねた回向の塔崩す
ねだる梢と賽の河原
揺るいだ決意はどこに
揺れて 鳴り響く

出典: 賽の河原/作詞:TOSHI-LOW 作曲: BRAHMAN

人生を生きていく中で積み上げていったものがたった一瞬で全て壊されてしまう…。

タイトルにもある「賽の河原」がまさにその意味を象徴しています。

今まで信じて疑わなかったことも、もしかしたら意味のないことなのかもしれないと思ってしまうのです。

ここでの決意はとても不安定であり、状況に応じて変わっていく様子が歌詞から伝わってきます。

BRAHMANの決意…それは音楽人生そのものをどう生きていくか?なのではないでしょうか。

かつてはライブで無骨なパフォーマンスを繰り広げ、余計なことは一切喋らなかったBRAHMAN。

そして震災後に初めて喋ったTOSHI-LOWの言葉はまるで犠牲者の想いを代弁しているかのようでした。

もしかしたらその変化こそが彼らの"揺るぎ"なのかもしれません。

全ては神のみぞ知る

世界の沈む姿を見つめる
一切の空
一つ二つ三つ四つ数えて受ける
無限の罰

出典: 賽の河原/作詞:TOSHI-LOW 作曲:BRAHMAN

この部分は災いをという言葉に置き換えた印象的なフレーズになっています。

いつ起こるか分からない罰は平穏な生活を脅かす存在です。

何度も何度も繰り返される試練は人々を絶望させていきます。

神の気まぐれなのか、それとも人々の日頃の行いなのか…。

それすらも空想に過ぎないのです。

無限という言葉が終わることのない神への報いを表しているようにも思えます。

世界が犠牲になっていく姿をただ眺めているのはとても辛いことです。

同じ場所に生きる者としてできることはあるのだろうか?

そうやって罰が下るたびに自問自答していきます。