楽曲について
顔を出し始めた夏に憂う恋心を歌い上げた彼女たちらしい楽曲です。
3ピースのシンプルなサウンドに乗った痛烈なメロディーが魅力的。
YouTubeには当楽曲のリリックビデオが公開されています。
可愛らしいイラストに乗った歌詞の1つ1つに必見です!
内容としてはジャケットにも書いてあるように、ただ恋人を欲している純粋な姿を描いています。
夏にある色んなイベントを、ただ大好きな人と一緒に過ごしたいと思うのです。
夏に焦らされた想い
タイトルについて
楽曲のタイトルになっている『妄想サマー』についてみていきます。
安直ですが、タイトルを分解すると「妄想」と「夏」。
楽曲の歌詞を紐解いていけば分かるように、夏に恋を憂う純粋な姿を描いています。
未来の自分の大切な人へ向けて、ただひたすらに真っ直ぐな恋の妄想。
夏の暑さが加速すると共に、焦燥感と何処にも昇華出来ない想いも増し続ける。
恋のステータス
年々暑くなってます
地球も 私の焦りも
あの子にもあの子にもあの子にもあの子にも
彼氏ができた
この夏1人なのは私だけ
出典: 妄想サマー/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子
ひと夏の情景を沿わせて、若さ溢れる焦燥感をリアルに表した歌詞。
あの涼しかった春も、じめっとして嫌いだった梅雨すらにも置いていかれたのです。
ただ夏を前にして、誰の物にもなれていない自分にただ嫌悪感を抱く。
世間では、よくクリスマスに恋人が居ないことを憂いている状況を目の当たりにします。
しかし、夏も同様にどこか人肌が恋しくなってしまうのです。
そして、ここまで焦っているのは、所属しているコミュニティとの比較をしているから。
仲の良い友人や距離の近い人ほど、自分の能力を比べたり、つい過剰に意識してしまいます。
そしてこの歌詞の根底には共通して、「恋人がいない」=「ダメ」だという固定観念があります。
その若さ故の思考や、集団心理が顕著に表れた青年期特有の心情がまた楽曲の趣を助長しているのでしょう。
誰かと一緒に
行きたいとこ やりたいこと
たくさんあるけど
全部1人じゃだめなの
隣に誰か 誰かいないと
出典: 妄想サマー/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子
花火大会・海・旅行…と言い始めたらキリがないほどのイベントの数々。
主人公は以前からずっと夏にやりたいことを考えてきたのです。
そして深層心理には「誰かとしたい」と思い続けてきた。
それらは決して不可能なことではなく、1人でもやり遂げられることでもあります。
しかし、「大切な人と行くこと」が目的となってしまったのです。
そうなった今、「したいこと」はあくまでもその手段にすぎません。
主人公の心情は焦りと虚無感が混在しながら、常に誰かを想い憂いています。
理想を妄想
夏の淡い感情
手を繋いで出かけたい
お揃いの服も恥ずかしくないね
時々抱きしめて欲しい
別れ際には寂しがってね
出典: 妄想サマー/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子
まるで隣に大切な人がいるかのような、可愛らしい想いが綴られた歌詞。
この楽曲のサビこそが、タイトルにもあった「妄想」を表しているのではないでしょうか。
誰にも話せないけれど、心の中で壮大に広がった自分だけの知られたくない想いなのです。
さらに、語尾の使い分けもリアルな恋心を投影していると解釈します。
「~したい」と「~ね」が使用されているここの歌詞。
前者は、口には出しにくいけれど、強く心の中で想っていること。
後者からは、恥ずかしくも大切な人に向かって声にしているというニュアンスが感じ取れます。