アルバムの画像も本人が描いたもの。
米津玄師にとって音楽も映像も画像もすべて自己表現の一つにしか過ぎません。楽曲はまさに彼の肉の一部。
「マルチな才能の持ち主」というよりも「才能の塊」。今一番売れているシンガーソングライター、マルチプレーヤーと言えるのでしょう。
アルバム『BALLOOM BEST』について
また、『乾涸びたバスひとつ』は、インターネット発アーティストによるレーベル「BALLOOM」の集大成ベスト・アルバムである『BALLOOM BEST』にも収録されています。
2枚組のアルバムのうち、1枚は楽曲にボーカロイドを使用した楽曲を収録する「ボーカロイド盤」、もう1枚はリアルボーカリストが歌った「ボーカリスト盤」となっています。
『乾涸びたバスひとつ』の歌詞をチェック
小さなバスで暮らしている 少女はいつでも待っている ひとり
呆けた色に変わっている 緑の木目と蛍光灯 ひとり
愛されては 宙に浮かんだ 夢のあと 探して歌ってる
ピンホールの あやふやな写真ばっか
並んで凍えてる
出典: http://j-lyric.net/artist/a0579b7/l02f9f8.html
ねえ あなたとふたりで逃げ出した あのほの灯りへと行きませんか
煉瓦の短いトンネルを 潜り抜けるのをためらって
何でもないような秘密つくって 二人は共犯者になって
とても深くまで落ちたこと 口を開いてしまったこと
小さなバスで暮らしている 見つからないまま泣いている ひとり
大事に大事にしていたのに 二人を写した写真がない どこにも
出典: http://j-lyric.net/artist/a0579b7/l02f9f8.html
太陽のような林檎が落ちた 心ばっか 探して歌ってる
ピンホールの あやふやな写真ばっか
並んで凍えてる
ねえ あなたは「どこにもいかない」と そう言葉贈ってくれたこと
霞に沈んだ朝の街 揺れるバスの背に寄り添って
このままどこかにいけたらなって 海に沈んでしまえたらって
ありもしないと言えないこと 何処にもいけないこと
出典: http://j-lyric.net/artist/a0579b7/l02f9f8.html
気になる歌詞の意味は?
モチーフは孤独
これ、深い孤独を歌ったものだと私は思ったのですが。物理的にだけでない、精神的にも「わたし」はひとり、捨て置かれたとしか言いようがありません。
喪失感というか、自分の肉体から何かが欠落した感覚というか、そういった感じが伝わってくるのです。秘密基地のような乗客はふたりだけのバス。そこにはもう「あなた」はいない。
「わたし」に残されたものは「あなた」と共有した時間への追憶だけ。「あなた」の存在や「あなた」との記憶を形に残すものが何も残っていない。
米津玄師の世界観
この曖昧模糊(あいまいもこ)とした捉(とら)えどころの無い意味深な歌詞が、米津の魅力でもあります。
まるで夢の中で繰り広げられるような不思議な世界で、たったひとりになってしまったという孤独感がこの歌詞にはあふれています。光は影によって意識されると言います。
孤独もまた、誰かと時間を共有したからこそ、強く感じられるもの。孤独感にとらわれるのは、孤独でなかった自身を知っているからなのかもしれませんね。
恋に破れた気持ちを歌った歌なのかもしれませんし、友情が壊れたのかもしれない。
状況はオーディエンスに委ねられてはいるのですが、この楽曲に共鳴する人は確かに孤独を有している人なのではないかな、と思うのです。
米津玄師を楽曲で知りたい方には
楽曲を知るには演奏してみるのが一番。バンドスコアやコード譜などいろいろあります。気になる方はチェックしてみるとよいのでは?