ローソクの光に照らされたケーキ

部屋がライトダウン 動悸が狂う 昂るのは恐怖のせいじゃない
催し的に正解かどうかは たいらげた後で考える
等足のローソクを総則統率とり恍惚なりなりて芸術的なケーキ
パッパパヤパ
吹き消す姿 マリア?ヘップバーン? けれど髪にクリームがついてるぜ

出典: サンタクロースは渋滞中/作詞:田淵智也 作曲:田淵智也

食事を経て、とうとうメインのケーキが登場しました!

ローソクに火を灯す徹底ぶりです。

バースデーパーティのように、照明を消して火を吹き消すことになりました。

灯りを消してローソクの炎だけが灯っていると、辺りは幻想的な雰囲気になります。

暗闇という恐怖でハラハラしているわけではありません。

どこかロマンチックな部屋の中で、主人公はまたしてもドキドキしているようです。

一緒にパーティをしている人は、主人公の好きな人なのでしょうか。

友達であれば、このような雰囲気に高揚などしません。

3行目の歌詞は韻を踏んだユニークな歌詞になっています。

ローソクの火を灯したケーキは、確かに芸術作品のような姿になるでしょう。

さらに火を吹き消す姿もまた、絵になるのです。

その姿はイエス・キリストのマリアや、有名な女優のマリア・ヘップバーンのよう。

まるで一人の役者のような物腰で火を吹き消したのでしょう。

ところが、うっかり髪にケーキのクリームがついてしまいました。

プロの役者ではわざとでない限りありえないことです。

そうしたところも、主人公にとってはときめくポイントなのかもしれません。

終わらないクリスマスパーティ

大切な人とのクリスマスパーティは楽しいものです。

そして楽しい時間は終わってほしくありません。

これは主人公と相手が共通して感じていた思いでした。

すぐには終わらない、楽しいパーティナイトはまだまだ続きます。

しかしながら、パーティが終わらないと役目を果たせない存在が…。

幸せは量れない

エンパイアステートなんかよりギロッポンのヒルズなんかより
幸せって謀 秤ごときで比べちゃたまらない
踊り明かそうとかパーティーは終わらないとか
決まり文句はダサいね とは私とあなたの共通事項

出典: サンタクロースは渋滞中/作詞:田淵智也 作曲:田淵智也

「エンパイアステート」とはニューヨークにある高層ビルのことです。

細長い電波塔がついていて、天辺が尖ったように見えるのが特徴的でしょう。

「ギロッポン」とは業界用語で六本木のことを指します。

ダウンタウンの松本人志さんが六本木のことを「ギロッポン」と呼ばれたのが始まりという説が有力です。

そこに「ヒルズ」がついているので、六本木ヒルズのことだと考えられます。

どちらも食事をしたりイルミネーションを眺めたりして、非日常を味わう場所です。

クリスマスの夜をそこで過ごす、お上品なプランもあるでしょう。

一方主人公は、家で大切な人と小さなクリスマスパーティをしています。

規模は全く違うものです。

前者をやる人々からすれば、家でクリスマスパーティなんて質素に思えるかもしれません。

ですが、質素だから悲しいとか幸せではないのかといえば、それは絶対に違います。

主人公にとってはエンパイアステートや六本木ヒルズで過ごすより、ホームパーティをする方が楽しいのです。

幸せは秤で比べられるものではないのですから、「わざわざ比べないで」という気持ちがこめられています。

何者にも比べることのできない、楽しい時間なのです。

主人公の本当の幸せは、大切な人と楽しい時間を過ごすことなのではないでしょうか。

ダサい言葉を使ってでも、主人公は少しでもこの時間を長引かせようとしています。

パーティは終わらない

メリー本日! さあ、あなたから 流行歌なんてなぞらないで
メリー本日! ね、私から 肩肘なんて張らず だらけちゃう
クライマックス プレゼントは少し淀んで もったいぶって
もうちょっとだけこのまま そうだ 何気ない それが幸せ だから
サンタクロースは渋滞中

サンタクロースは渋滞 too tight!

出典: サンタクロースは渋滞中/作詞:田淵智也 作曲:田淵智也

今日はクリスマスなので「メリークリスマス」ではなく、敢えて「メリー本日」と呼び方を変えているようです。

わざわざ流行りの歌を歌って盛り上げる必要はありません。

せっかく一緒にいられるのですから、もっとリラックスして過ごしたいのが主人公の希望です。

パーティの最後ははたまたお決まりのプレゼント交換

しかしそれをやったら、楽しい時間が終わってしまいます。

だから今はまだやりません。

プレゼント交換までの時間をもう少し伸ばして、今という幸せに浸ることにします。

それが続く限り、サンタクロースは渋滞に巻き込まれっぱなしです…。

回ってこなかったサンタクロースの出番

サンタクロースは最後まで渋滞中

少しタイトルを振り返ってみましょう。

「サンタクロースは渋滞中」でしたね。

では歌詞の方はというと、あまりサンタクロースは絡んでいません。

ずっとクリスマスパーティの様子を描いています。

つまり歌詞の最初から最後までサンタクロースは渋滞していたのです。

その上結局、サンタクロースは渋滞しているまま終わってしまいました。

何故サンタクロースは渋滞していたのか