【スピッツ/Y】

Yの概要

【スピッツ/Y】歌詞の意味を徹底考察!なぜ君は鳥になったの?目を伏せずに夜明けを迎える理由に迫るの画像

「Y」はスピッツの6作目のオリジナルアルバムハチミツ」に収録されています。

リリースされたのは1995年9月なので、バンドブーム全盛期の年代です。

「少し古い曲なので今の時代には合わないのでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかし本曲は全くそんなこともなく、いまなお多くの人から支持されています。

本曲は主人公の「僕」がもう会えない「君」のことを想う切ない曲です。

それはタイトルの「Y」の文字にも表されています。

Y字路のように途中で別れることになった君と僕。

彼らに何が起こったのか、君が鳥になるとはどういう意味なのか、解説していきます。

草野さんの歌声が存分に堪能できる

スピッツといえば、草野さんのハイトーンな歌声ですね。

高音でありながら、耳触りが優しくいつまでも聴いていられます。

バラード調である「Y」は、そんな草野さんの歌声が絶妙にマッチしています。

悲しげな歌詞なのに、草野さんが歌うと優しさに包まれる気がしてくるので不思議です。

アニメ「ハチミツとクローバー」の挿入歌に抜擢

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2005年4月に放送されたアニメハチミツとクローバー」の挿入歌として「Y」は抜擢されています。

恋愛に不器用な大学生達の報われない恋模様や、自分の才能や生き方について迷う若者達の姿を描いている。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ハチミツとクローバー

主人公、竹本の恋が「Y」の歌詞と重なるところもあり、聴いていると胸が締め付けられます。

まだ「ハチミツとクローバー」を見たことがない人は、一度視聴してみることをおすすめします。

歌詞解説スタート

僕は夢の中

小さな声で僕を呼ぶ闇へと手を伸ばす
静かで 長い夜
慣らされていた置き去りの時から
這い上がり 無邪気に微笑んだ君に会うもう一度

出典: Y/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

最初に申し上げますと、これは夢の中の歌だと筆者は考えています。

そのため歌詞解釈も、僕が夢を見ていることを前提に進めていきます。

「僕」は真っ暗なところに1人です。

ベッドに横たわりながら、夢をみている状態なのでしょう。

歌詞の「闇へと手を伸ばす」は2つの意味を表現しています。

1つは真っ暗な部屋の中で寝ぼけながら、空(くう)に向かって手を伸ばす現実世界の僕。

もう1つは自分を呼ぶ声を探してさまよう、夢の中の僕。

様子から察するに、僕は不安な夜を過ごしているようです。

歌詞2段目は君と過ごした楽しい夜の対比として、僕が1人であることが強調されています。

しかし僕が寂しい夜を望んだ訳ではありません。

歌詞からも読み取れるとおり、僕はその状況に「慣らされて」いました。

静かな夜をもたらしたのは君の意図だったのか、それとも偶発的だったのかは分かりません。

僕は君に会うために這い上がろうとしますが、ここで気になるワードが出てきます。

君は「微笑む」ではなく、「微笑んだ」と過去形になっていることです。

過去の君に会う方法はただ一つ。

現実で君と会うのではなく、夢の中で思い出の君と会うしかありません。

消え入りそうな君

強がるポーズがよく似てた二人は
弾き合い その後引き合った
生まれた頃と変わらない心で
触ったら すべてが消えそうな君を見つめていた

出典: Y/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

ここからは君との思い出を、夢の中で振り返るシーンになります。

過去を振り返ったときに、最初に思い出されたのが「強がるポーズ」です。

お互いに人に弱みを見せないタイプで、プライドが高かったのでしょう。

似たもの同士で惹かれ合う反面、意思がぶつかることも多かったようです。

「生まれた頃~」は僕の純粋な心を表しています。

そのころから僕は、君がいなくなるのではないかと心配していました。

「消えそうな」からは、君が弱っている様子がありありと読み取れます。

そして夢の中だからこそ、もう触れることのできない悲しさを表しています。