「遠雷」と「DEEP FOREST」について
大ヒットしたアルバム「DEEP FOREST」
Do As Infinityの初期の作品の中でも高い人気を誇る「DEEP FOREST」は、7ヶ月間という短期間で制作されました。
それにもかかわらず、前作の「NEW WORLD」に引き続きオリコン初登場1位を記録するなどの快挙を成し遂げたのです。
当時のDo As Infinitiyが勢いに乗っていたことが分かりますね。「深い森」「遠くまで」「タダイマ」「Week!」「冒険者たち」そして「遠雷」と今でも人気の楽曲が多数収録されています。
再結成前のベストオリジナルアルバムという方も多いことでしょう。
ラストを飾る「遠雷」
「遠雷」は「DEEP FOREST」の通常版のラストに収録されています。
アコースティクギターのアルペジオとストリングスの上にしっとりかつ力強いボーカルが印象的なナンバーです。
アルバムのラストを飾るのに相応しく、余韻が残るアレンジだと思います。
ベストアルバムの「DO THE BEST」と「DO THE BEST GREAT SUPPORTERS SELECTION」にも収録されました。
後者は、ファン投票による選曲が行われています。人気順位をそのまま曲順に反映している為、9曲目の同曲は9位だったということです。
ファンからも支持を集めている人気曲であることは疑う余地もありません。
歌詞の意味!
はじめに
この歌詞の意味がよくわからないという意見が多いようです。実際に、文面からは具体的に何があったとは記されていません。
そして「みんな1人で生きていくもの振り返らない」の部分がわかりにくいと思います。ここを中心に考えていきたいと思います。
普通は、「人は1人では生きていけぬもの」「人と人の間と書いて人間」等の考え方が一般的です。
しかも、「音楽は人類共通言語」と言われるくらい、共感・シェアする感覚を大事にする世界ですよね。
この常識に真っ向勝負しているとも取れる一文です。ここにはある事情がありました。
ストーリーについて
この歌詞を考える上で重要な事実が一つあります。それは、ボーカルの伴さんは幼い頃に両親から離れ祖母の下で育てられているというエピソードです。
後ほどご紹介するPVを見る限り、この歌詞はその両親と離れた祖母に預けられた日をベースに書かれているようです。
作詞クレジットにはD・A・I(Do As Infinitiyの略)とあります。このクレジットはユニットの「誰が書いてもD・A・I」という制作スタンスによるもので、誰が書き上げたものかどうかは不明です。
その後、「BE FREE」以降は作詞が個人名で明記されるようになり、作曲は再結成後に明確化されるようになりました。
「みんな1人で生きていく」って?!
隙間ない入道雲の下
あの日は 母と二人
日傘を差して手を引かれ
歩いてた 夏の道
蝉時雨に消えそうな声で
何度も言った
「みんな一人で生きてゆくもの
振り返らない」
出典: 遠雷/作詞:D・A・I 作曲:D・A・I
「みんな1人で生きてゆくもの振り返らない」は、繰り返し「母」が言っています。
「蝉時雨に消えそうな声」ですから自信満々ということはないでしょう。不安そうに、力無く聞こえたのでしょうか。
PVでは、「父親」と思しき人物も登場します。
3人が仲良くしている姿がない代わりに、子供が書いた絵が出てきます。幼き主人公が書いた楽しかった思い出でしょうか。
その辺りからは、「母」「父」「主人公(子供)」が「それぞれ一人で生きる、過去は振り返らない。」と、自身と愛娘に言い聞かせているとも推察できます。
いつの日か自立して自分の道を歩く、私たちのことは忘れて欲しいとも取れます。人間にはそういう時期もあるでしょう。
しかし、あまりにも早過ぎますよね。
幼すぎる私はきっと
答えられない事を聞き
あなたの背中で いつしか
眠ってた 泣きもせず
これからくる夕立の予感
響く遠雷
あれからの私達をまるで
占うような
出典: 遠雷/作詞:D・A・I 作曲:D・A・I
その後のそれぞれの境遇や味わった淋しさを夕立に、予感を遠雷に見立てているのでしょうか。
遠雷とは、文字通り遠くで鳴り響く雷のことで夏の季語です。ちなみに「入道雲」「蝉時雨」「夕立」も夏の季語なので、文全体で夏を強調しています。
あの日のあなたに近づいて
はじめてわかる
突然しゃがみ込んで流した
最後の泪
あなたの気持ち
あの夏の匂い
出典: 遠雷/作詞:D・A・I 作曲:D・A・I