Poppin'Party「切ないSandglass」
今回ご紹介するのは、Poppin'Partyの「切ないSandglass」です。
「Sandglass」とは、日本語で砂時計を表します。
砂時計というのは、3分間などの短い時間を測るためのタイマーのようなものです。
上から下に砂が落ちていき、落ちきることで一定の時間を測れるという仕組みになっています。
今回の「切ないSandglass」はそんな砂時計を歌詞のモチーフとしています。
砂時計というものを通してこの楽曲が伝えたかったのは、一体どのような物語なのでしょうか。
今回はその歌詞に注目し、その意味を徹底解釈していきます。
早速冒頭の歌詞から順に紹介していきましょう。
砂時計は何故切ないのか
時の流れ
またたく間に 季節は駆ける
切ない砂時計[sandglass]
誰にも気付かれないままに
落ちてゆく時間
出典: 切ないSandglass/作詞:中村航 作曲:上松範康(Elements Garden)
まず最初1行目で表されているのは時の流れの速さです。
振り返ると一瞬のように過ぎ去っていく季節。
2行目には早速タイトルでもある「切ないSandglass」という言葉が登場。
砂時計というのは見ているとあっという間に砂が落ちていきます。
ここでは時の流れを砂に例えているのでしょう。
3〜4行目も、砂時計をモチーフとして表現をしています。
何故主人公は、砂時計を切ないと歌っているのか。
それは3行目の言葉にその意味の一部が隠されているのではないでしょうか。
つまり、その砂時計は誰の目にも留まらずただ孤独に時を数えている。
時計というのは、見るものがいないと意味を持ちません。
だからこそ、砂時計を切ないといっているのではないでしょうか。
今という時間
過ぎ去ったら 何が残る?
青春はどこへ?
こんな夜は キミの声が
聞きたくて
出典: 切ないSandglass/作詞:中村航 作曲:上松範康(Elements Garden)
ここでは主人公の不安な気持ちが吐露されています。
今という時間が過去になった時、自分はどうなってしまうのだろうか。
そんな言い知れぬ不安に苛まれているのが分かります。
彼女にとって、今という時間が大切なものであるということが伝わってくる歌詞です。
そして3〜4行目の歌詞で分かるのは、主人公にとっての「キミ」という存在の大きさです。
不安な時に、大切な人の声を聞いて安らぎたい。
そんな主人公の気持ちがここには表されているのでしょう。
美しく切ない時間
思い出は切ない
すべて
幻めいて
終わってしまう
ものだと知ってもなお
ああ 世界は
愛しく 優しい――
泣いちゃいそうなほど
まぶしい
出典: 切ないSandglass/作詞:中村航 作曲:上松範康(Elements Garden)
大切な時間が過ぎ去った後に残るのは、ただ思い出のみ。
主人公は、それをまるで幻のようだと感じているのかもしれません。
一瞬のように過ぎ去っていくからこそ、世界というものは輝いている。
もし今が永遠であったなら、人生を大切に生きようという気持ちにはならないかもしれません。
彼女にとって砂時計が切ないというよりも、今という時間が終わっていくことが切ないと感じているのでしょう。
しかし同時に、その切なさが世界を美しくしていると思っているのではないでしょうか。
落ちた砂のように
春に泣いて 夏に決めた
これからのこと――
秋に秘めて 冬に知った
これまでを――
零れ落ちてしまうだけの青い砂
輝いてる キラキラと
煌めいてる いつまでも
切なくて――
出典: 切ないSandglass/作詞:中村航 作曲:上松範康(Elements Garden)
ここでは主人公が今まで過ごしてきた時間について振り返っているのでしょう。
春夏秋冬の巡りの中で、彼女は過去と未来を見つめてきました。
あっという間に1年が過ぎ去っていきます。
そして今では、彼女は過ぎ去っていった時間を砂時計の落ちた砂を眺めるかのように思い出しています。
その砂というのは、思い出を表しているのではないでしょうか。
今では記憶の中に存在しないその輝かしい時間。
過去に戻りたくても、私たちには戻る能力は備わっていません。
しかし、主人公は戻ってこないからこそ思い出が美しいということに気がついているのでしょう。
そんな美しくも切ない時の流れが可視化されるものが砂時計なのです。
時間は戻っては来ないけれど、確かにそこにあった。
その思い出の感触を砂時計の砂に例えているのかもしれません。