キュートな歌声と心地よいサウンドがマッチしたポップロックバンド
パスピエは、成田ハネダ(Key.)、大胡田なつき(Vo.)、三澤勝洸(Gt.)、露﨑義邦(Ba.)の4人で活動するロックバンドです。
2009年に、東京藝術大学音楽学部器楽科を卒業した成田ハネダの呼びかけで結成されました。
今さら聞けないバンド名の由来は?
バンド名の由来は、ドビュッシーが作曲したピアノ独奏曲『ベルガマスク組曲』の第4曲「パスピエ」です。
17世紀のパリで流行した軽やかなステップを踏む舞曲パスピエをモチーフとした曲で、軽快な8分音符の伴奏にメロディーを重ねる曲となっています。
少し耳慣れない響きのバンド名ですが、その由来を知ると、リズミカルでポップな楽曲を生み出す彼らにピッタリだと分かりますね。
コンセプトは印象派音楽×ポップロック
そんなパスピエの全曲を作曲している成田ハネダのルーツは、ピアニストをめざして学んできたクラシック音楽と、大学生になってから出会った日本のポップスです。
クラシック音楽では、19世紀後半~20世紀初頭に活躍したドビュッシーに代表される印象派音楽が好みで、そのコード感や複雑な音の組み合わせをポップロックとして消化したいと語っています。
また、ポップスでは矢野顕子を「モスト・フェイバリット・アーティスト」として挙げており、ピチカート・ファイヴやYMOから影響を受けているとのこと。
80年代のニューウェーブを踏まえつつも多様性に富んだ成田の楽曲は、伝統を踏まえつつも新しいものを取り入れていった印象派の作曲家たちと同じ音楽との向き合い方を感じさせます。
文学的な歌詞を歌い上げるキュートな歌声
一方、作詞を担当しているのはバンドの紅一点、大胡田なつきです。
曲からイメージをふくらませるという独特な言葉選びで紡がれた歌詞は、時に心をざわつかせる強い言葉で、時にやわらかい古風な言葉で、プリズムのように多面的な女の子を描いています。
ボーカルとしては、愛らしくも伸びのあるしなやかな歌声が特徴的ですが、もともとはナンバーガールのように激しい歌い方をしていたそうです。
加入当初、自分が続けてきた歌い方とパスピエで求められる歌い方との間で悩んでいた彼女ですが、2011年、ミニアルバム『わたし開花したわ』を発表した時に変化があったと言います。周囲の意見を取り入れて変えたスタイルが形になった時、「これでいくべきなんだ」と強く実感したとのこと。
CDジャケットやPVなどアートワークも見どころ
そして、大胡田なつきを語る上で忘れてはいけないのが、彼女自身が手がけてきたアートワークの数々です。
「絵が描けるなら」と軽いノリでフライヤーを描いたのがきっかけでしたが、CDジャケットや『電波ジャック』などのオールアニメーションPVの制作へと拡がっていきました。
彼女ならではのタッチで描かれる少女のイラストは、パスピエの世界観を表現する上で欠かせないものとなっています。
また、『パスピエ TOUR 2017“DANDANANDDNA”』では、ステージでマーブリングを披露するなど新しい試みにもチャレンジしています。
パスピエ TOUR 2017“DANDANANDDNA”
今年1月25日に4thアルバム『&DNA』を発表したパスピエは、同アルバムの収録曲を中心に全国17都市をまわるツアーを敢行。3月3日のCLUB CITTA(川崎市)を皮切りに、5月7日のNHKホール(渋谷区)でラストを締めくくりました。
満員のNHKホールで演奏されたセットリストはこちらです。
『&DNA』に収録されている『ヨアケマエ』や『永すぎた春』、『ハイパーリアリスト』のほか、メジャーデビュー時からの定番曲『チャイナタウン』、アニメ『境界のRINNE』のエンディング曲『トキノワ』などが演奏されました。
さらにアンコールに応えた『シネマ』や『最終電車』、『フィーバー』はパスピエ初期の頃からの人気曲であり、観客も大いに盛り上がりました。