名盤「Attitude」の一曲
外国語のような独特なサウンドが印象的
「Viking」は、Mrs.GREEN APPLEのアルバム「Attitude」に収録されている一曲です。
「インフェルノ」や「青と夏」などのヒットソングが収録された出世作「Attitude」。
その5曲目に収録された「Viking」は、一聴すると外国語のような独特の雰囲気のナンバー。
楽曲もヨーロッパの民族音楽を意識した響きで不思議な雰囲気に包まれます。
北欧に伝わる「ヴァイキング」をタイトルに置いた一曲。
そのタイトルの通り、北欧の音楽を聴いているような印象の楽曲に仕上がっています。
しかしきちんと聴いてみると、歌詞は基本的に日本語で書かれていることがわかります。
高い表現力と音楽に対する遊び心。
Mrs.GREEN APPLEの音楽センスを詰め込んだ印象的な一曲が「Viking」なのです。
恋の行方を航海に例えて
北欧で海の旅人や海賊として言い伝えられるヴァイキング。
そんなヴァイキングをモチーフにしたこの一曲には、どんな思いが込められているのでしょうか。
歌詞を読み解いていくと恋する思いを宝を求めたヴァイキングの航海に例えていることがわかります。
恋する自分自身をヴァイキングになぞらえ、恋の行方を旅路になぞらえたこの一曲。
そんなヴァイキングの目的地とは何を表しているのでしょうか。
そして揺れ動く思いの先にある答えとは何なのでしょうか。
その点に注目しつつ「Viking」の歌詞を読み解いていきましょう。
君と僕の「距離感」とは
距離感という言葉に惑わされて
「距離感」と云うワードが
垂らしたらしめるが
どちら付かずのラブは
愛と呼べるのか
出典: Viking/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
距離感、という言葉で歌い出すこの一曲。
登場する僕と君との間にあったものが他でもない「距離感」であったことが描かれています。
僕と君との間には、「どちら付かずのラブ」と呼べるものがあったのでしょう。
僕と君とは恋人ともそうでないとも言える微妙な距離感にあったことが伝わってきます。
それを恋=ラブであるとはっきりさせたい思いが僕の中にあったのではないか。
そう読み取れる一節です。
縁を信じて今日を過ごす
縁に運を賭けて
Todayをたらしめるが
どちら付かずのラブは
人と呼べるのか
出典: Viking/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
縁があることに賭けて過ごす毎日。
「人と呼べる」という言葉ですが、ラブとつなげれば「恋人」という言葉が出てきます。
縁があると信じて君との関係に賭け、「恋人」と呼べる関係性を手に入れようとする。
それはまさしく、宝があると信じて航海に乗り出すヴァイキングのような心境だったのでしょう。
結果はわかっていたとしても
思い出に付箋を貼って
忘れうる微弱な銃も
どれもこれも見た果て
わかって居たけど
出典: Viking/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
付箋は注釈や説明のために用いられるもの。
そう考えれば、思い出を自分の都合のいいように解釈しようとする姿が見えてきます。
銃は不穏な雰囲気が見え隠れする言葉。
思い出に都合のいい説明をつけ、不穏な予感は忘れたふりをする。
そうして君との関係がうまくいくと信じようとしていたのです。
けれど、見たままに解釈すれば結果は見えていた。
不吉な可能性に僕は心の中で気づいていたのでしょう。
それでもうまくいくと信じ込むのが、恋の魔力なのかもしれません。