異彩な世界で生きる「絶世生物」って?
ポップでキャッチーなエッセンスあふれるメロディーで、人気、実力ともに急成長中のロックバンド。
そんなMrs. GREEN APPLEの楽曲の中で、ひと際異彩を放つ「絶世生物」。
2017年1月リリースのオリジナルアルバム「Mrs. GREEN APPLE」に収録されています。
ポップという言葉だけでは言い表せない、どこかダークでシリアスな歌詞が印象的です。
その中でも歌詞の中にある「命」とは何なのでしょう。
歌詞を書いたVo&Gtの大森元喜さんの表現する難解だけど輝く世界。
この後は歌詞の解説に移りましょう。
予測不能を感じさせる歌いだし
あゝ 生物・生存・造形
形が亡けりゃ不安なの?
あゝ 絶世唯一の生命
あの日の温もりはもう無いの?
出典: 絶世生物/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
言葉の並べ方はシンプルですが、なにか深い意味を感じさせます。
すべてこの世に存在するもの、自分だってその中の1つなのでしょう。
並べられた言葉には壮大さもあります。
手にしているようで感触が「亡い」のであれば心配になってしまうもの。
同時に目に見えないものなのでしょう。
生きている自分が作ったもののはずです。
自分の感情の中にはいるけれど、どうしても具現化できません。
そしてまた嘆きながら謎の「生命」に問いかけます。
それに対して捧げた言葉はとてつもない褒め言葉です。
この世の中で比べるほどのない、たった1つのもの。
ところが次は「無い」というワードに変化をしていきます。
しかも1度は手にしたものです。「あの日」がそれを表していますね。
無くなってしまったようなのですが、これからどうするのか、歌詞を追っていきましょう。
反省・謝罪・言い訳…そして
自分を省みる
はみ出す大事なモノ
紡ぎだす不安定なモノは
そう いつだってさ いつになったら
出典: 絶世生物/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
初めに出て来た「モノ」から見ていきます。
収まるべき場所に収まりきれず出てしまった大切な「モノ」とは何なのでしょうか。
本来いるべき場所にいないのが、決して悪いことではないのも感じられます。
そうでなければ飛び出てしまったものが「大事」な存在にはならないでしょう。
自分にしてみれば、なくてはならないものなのです。
次の「モノ」は安定をしていないのに、それを「紡ぐ」という行為で作りました。
丁寧に時間をかけた様子が浮かぶ言葉ですね。
自分がしていることは変わらない、変わっていない。
それでも相手はいつになったら分かってくれるのか。
反省をしつつも、どうしてよいのか分からない。
とりあえず自分の行為を振り返っているのでしょう。
自分なりの精一杯で
ちゃんとした轍を作るよ
来世に語り継げる様に
6つの感性を頼りに
出典: 絶世生物/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
「轍」は「わだち」と詠みます。
ザックリとした意味では、印をつけるでしょう。
車ならタイヤの跡ですが、ここでは人間がつける印や跡。
「ちゃんと」とあるので傷痕ではなく、良い印象を与えるものでしょうか。
それを未来につなぐ、しかも言葉にして続いて行くことを望んでいる。
そのために必要なのが「感性」。しかも数は「6」です。
通常感じるよりも1つ多いそれは、人知を超えた能力。
これさえあれば、自分はできるんだと信じています。
次こそは
堕落じゃない 少しばかり
やる気が亡くなっただけだろう?
そうだろう?
出典: 絶世生物/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
おとしめるような「堕」という言葉で始まっています。
この部分は自分に問いかけているのでしょう。
断定ではなく2度の「だろう」という疑問形で自問自答をしています。
目の前の誰かではなく、独りで自分自身を振り返った結果がここにつながりました。
もしかして許してもらえるかな。
2つのクエスチョンマークで心の中の微かな望みを表します。
歌詞が文字になるとこんな思いも伝わってきますね。
ちょっとだけ気を抜いた、手を抜いただけ。
そして上手くいかない自分を自分で嫌になってしまった。
ただそれだけのことです。
全てを否定されるほど悪くはなっていない。
そしてどうするのか、次の歌詞を見てみましょう。