駐車場にて
静まるモータープール
色のない車
街灯とアイドリング
オレンジの束
出典: モータープール/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh
ようやくここでタイトルにもなっている「モータープール」という歌詞が登場します。
「街灯」という歌詞もあるので、車中で乗船を待ちながら、船の中の車を見ているのでしょうか。
高速道路やトンネル、そして駐車場でもオレンジ色のライトがよく使われているイメージです。
波長が長い、オレンジ色のライト。そのため遠くまで届きやすいというメリットがあります。
デメリットはモノ本来の色が飛んでしまうこと。赤が黒っぽく見えるなど別の色になるわけです。
つまりオレンジ色のライトに照らされると、車の色がなくなったように見える……ということ。
視覚が変化するだけで、なぜか物悲しい気持ちになる感じを表しているようです。
いよいよ乗船?
アイロニーとは?
コインパース
焦ってぶち撒けたアイロニー
一枚ずつ拾った
夜はこれからさ
出典: モータープール/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh
曲の冒頭と同じ、「Oh~」と吠えるような歌声が印象的な間奏。
続いて2番です。
独自の想像物語を再開しましょう。いよいよ乗船。チケットを出そうとして財布を取り出します。
いや、チケットは財布の中じゃない……と慌てて、硬貨をバラバラと落としてしまいました。
硬貨じゃ船には乗れないって……と自虐的な皮肉を込めながら丁寧に拾ったのかもしれません。
アイロニーとは皮肉のこと。皮肉のひとつも言いたくなるような気分なのでしょう。
もちろん想像ですが、独自解釈の物語もこれからです。
飼い犬とは?
犬を連れて参戦?
飼い犬たちが戯れ合って喧しい
鼻歌 歌った
好きな曲じゃないのに
出典: モータープール/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh
ここにきて犬が登場します。しかも何匹かいる様子。車や船での移動だと興奮するでしょう。
うるさく吠えるはずです。そう想像してMVの吠える映像を思い出したのではないでしょうか。
負け犬の遠吠えは比喩的な表現で、実際に吠えていたのは人間でした。ということは……。
具体的な想像物語を展開してきましたが、すべては皮肉まじりの抽象表現とも考えられます。
飼い犬とは、もしかしたらアジカン自身を含むアーティストのこと。
やかましいと言われがちな発言やメッセージ性の強い曲が多いと暗示しているのかもしれません。
そのため好きな曲が作りにくい……と。
そこまでは深読みしすぎの可能性もアリ!ということで、独自の想像物語に戻ります。
フェスには飼い犬たちも連れて行っていたのでしょう。うるさく吠えるのでなだめたわけです。
ペットのワンちゃんたちが静かになるのは、なぜか好きでもない曲だったという展開です。
再び駐車場
「モータープール」が登場するサビが繰り返されます。静かなので犬は鳴き止んだようです。
街灯も見えているので、まだ乗船していないのでしょう。ここで深読みをもう一度。
「色のない車」とはメッセージ性の強くない曲を暗喩していたのかもしれません。
これから始まる夜とは好きなメッセージを込めた曲を歌うよ!という意味だったりして……。
「アイロニー」や「飼い犬」というキーワードが挟まったことで、サビの解釈が深まりました。
挑戦は続く
旅客機と流れ星の意味
月夜の雲に
目を合わせて追えば
遠く旅客機が空をすり抜けて
流れる星を躱すんだ
どこまで行くんだろう
出典: モータープール/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh
空が見えているということは……最後まで乗船せず。フェス帰りではなかったようです(自爆)。
ただ船内の駐車場はゴッチさんご本人のイメージなので、その様子を外から見ていたのでしょう。
MVで紙飛行機が本物の旅客機になっていたのは、この最後の歌詞を表現したものでした。
「駐車場で感じる物悲しさ」を描写しながら「バンドとしての方向性」を表していたのでは?
好きなメッセージが見え隠れすることを旅客機と流れ星が象徴しているのかもしれません。
ミュージシャンは音楽性について常に葛藤があるものでしょう。どこまで行っても挑戦です。
吠えるような「Oh~」の歌声が、最後は前向きな雄叫びに聴こえます。
陰に振り切ると陽になる……を実践。「モータープール」は最も暗いからこそ前向きな曲でした。