ねえ 見ている?
ほら 星が光っているのを
明日は心も空も素敵な青

出典: あおぞら作詞/椎名林檎: 作曲:椎名林檎

主人公は、恋人に語りかけます。

が見えることから、この歌詞の時点はなのでしょう。

人が亡くなることに関して、様々な言い回しや考え方があります。

その中の1つには、「先祖が星空から我々を見ている」というものも。

先祖、つまり亡くなった人々は星空に上り、天から地上を見下ろしているというのです。

確かに星空は、古代から人類を魅了してきました。

空を見上げて星座と神話を作りあげた人々も、星空に何かを感じたのでしょうか。

星には私たちを神聖な気分にしてくれる何かがあります。

そこに恋人がいることを祈るように想像するのも、自然なことかもしれません。

「貴方」の人柄

考える人

堅苦しい言葉懐かしくて
貴方は小さなモンテスキュー

出典: あおぞら作詞/椎名林檎: 作曲:椎名林檎

2番に入ると、「貴方」の人柄がより鮮明に見えてきます。

モンテスキューは、社会の教科書にも登場する名前です。

シャルル=ルイ・ド・モンテスキューは、フランスの哲学者である。執筆に20年かけたと言われる自身の著作『法の精神』の中で、政治権力を立法・行政・司法に三分割する「三権分立論」(「権力分立論」)を提唱した。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/シャルル・ド・モンテスキュー

主人公の恋人「貴方」も、哲学的なことを考えるのが好きだったのでしょう。

人の語彙力は、本を読むことでも発達していきます。

哲学書には、日常会話的でない難しい言い回しも多いです。

それらを多読していれば、堅い話し方が常になるかもしれません。

主人公が、もともとそれをどう感じていたかは不明です。

しかし今は、それも懐かしく思い出しています。

哲学者は大勢いますが、ここであえてモンテスキューです。

モンテスキューは、自由な政治のために三権分立を唱えました。

「貴方」も自由を大切にする人だったのでしょうか。

「貴方」からのメッセージ2

本当の自分に正直で飾らないあたしで
良いのだって教えてくれたね

出典: あおぞら作詞/椎名林檎: 作曲:椎名林檎

ここでも、貴方が主人公に遺したメッセージが取り上げられています。

人は自分を良く見せたいと思う生き物です。

特に、自分が好きな人には、良い面だけを知ってもらいたいと思ってしまいます。

はじめのうちは上手くいくかもしれません。

しかし、時間が経つごとに無理がきてしまいます。

思い切ってありのままの自分を見せる勇気が必要です。

不思議なことに、「こんな一面は嫌だ」と思っているのは自分だけということもあります。

恋人にとっては、相手のすべてが愛おしいと思えたりもするからです。

「貴方」も、主人公の内面に魅力を感じてくれる人だったのでしょう。

好きな人からありのままを認めてもらえることは、大きな自信に繋がります。

星と「貴方」

心の深み

ねえ 見ている? この星が光っているのを
貴方の心の様な星を見ている

出典: あおぞら作詞/椎名林檎: 作曲:椎名林檎

そうして、主人公は再び恋人に語りかけます。

星が「貴方」の心と似たものに感じているようです。

これは、「貴方」の内面がとても深くて大きいことを意味しているのではないでしょうか。

星は一見、天球に貼りついているように見えます。

しかし実際は、星の距離はばらばら。

しかも、星の光が地球に届くまでに、何万年もかかります。

今頭上に見えている星は、実はもう存在していないかもしれないのです。

考えだすと不思議な気持ちになります。

「貴方」の心の本質も、それほどに奥深いものだったのではないでしょうか。

主人公は星を見ることで、恋人の心に思いを馳せているのです。

「言う」と「云う」