【椎名林檎/あおぞら】歌詞の意味を解説！"貴方"はどんな人？青という色に込められた人柄を読み解く

主人公の感受性はさらに先へ進みます。

 なぜ、星は光るのか？

根本的ともいえるところまで深く考えているようです。

ここでポイントの1つになるのが、1行目の漢字です。

「云う」という字があてられています。

自分の考えや思いを口に出すことは「言う」と書きます。

こちらの「云う」は、辞書を引いたり、人から聞いた話をする時に使う漢字です。

ここに、主人公の小さな茶目っ気が垣間見える気がします。

哲学的なことを考えていた恋人は、たくさんの本を読んでいたのでしょう。

辞書的な言葉の意味には精通していたはずです。

ここではそんな恋人に、あえて「知ってる？」と問いかけている。

星が光っている理由は、辞書には載っていないからです。

辞書的な言葉を覚えるのが理性的な領域だとしたら、理由を考えるのは心の仕事。

主人公は想像力と心を働かせて、自分にとっての「星が光る理由」を見つけます。

それは主人公にしか分からないことです。

だからこそ、少し偉そうに「心を映すから」だと教えます。

この一言に込められているのはほかでもない愛情です。

普通、心は目に見えません。

ですが、感じようとすることはできます。

愛情や親愛を示すために、礼儀正しくしたり、プレゼントを贈ったりするのです。

体を失った恋人は、もう主人公を抱きしめることはできないかもしれません。

代わりに、星空を輝かせることで何かを伝えようとしているのではないでしょうか。

最後に印象的な一言で曲は締めくくられます。

回想と感傷に浸っていた主人公は、未来に目を向けられるようになりました。

ここでポイントになるのが「綺麗」と「青」です。

青という色は、どちらかというとネガティブな意味合いで使われます。

気持ちがイマイチなことを「ブルーな気分」といいますね。

ですがここでは、直前に「綺麗」とあります。

綺麗はポジティブな意味合いの言葉です。

曲名にもなっている「あおぞら」は、晴天を連想させます。

心と空が並列になっているので、「心も晴れる」という意味もあるでしょう。

考えてみると、青にも様々な色が含まれているのです。

晴天の青空は、もっと細かくすると「水色」に近い明るい青。

海の水は、濃い青色。

制服のブレザーは「紺色」と表現されることが多いです。これも青系の色。

そして星空も、「インディゴ」など濃い青系の色だといえます。

「あおぞら」とは、広くとらえると昼も夜も表せるのです。

ここに主人公の決意が込められていると思われます。

最後の一節に、「明日は」というフレーズがあります。

裏を返せば「今日だけは」と読めるのではないでしょうか？

歌の前半で、主人公は恋人との回想に浸っていました。

主人公の想いはこうです。

「今日だけは、『貴方』との思い出にどこまでも浸ろう。

悲しくなっても良いんだ。

でも明日からは、心を晴れやかにして、私らしい人生を歩んでいくんだ。」

もちろん、恋人との思い出すべてを捨てるという意味ではありません。

歌詞の中で、恋人に教わったことを振り返っていました。

与えてもらったものをしっかり握りしめて、自分らしく生きていく。

それが主人公の新たな決意なのでしょう。

いかがでしたでしょうか？

今回は、椎名林檎さんの「あおぞら」を解説してきました。

ご存知の方も多いかと思いますが、椎名林檎さんは果てしない魅力を持つアーティストです。

真似できない魅惑的な歌声、醸し出す独特の世界観。

一度目にすれば、虜にならずにはいられません。

そんな椎名林檎さんの魅力に、ますますハマってみませんか？