嵐×米津玄師のNHK2020ソングを徹底解説!
2020年東京オリンピックの開催に伴い、NHK2020ソングとなった嵐×米津玄師「カイト」。
米津玄師さんが作詞作曲された楽曲を嵐が歌唱するというサプライズに、心を震わせた方も多いでしょう。
2019年末の「第70回NHK紅白歌合戦」での初披露後にはスペシャルムービーも公開されました。
NHKのYouTubeチャンネルにもアップされています。
この動画を併せてご覧いただくと、より感動が深まるでしょう。
1番の歌詞をチェック
糸に注目!
小さな頃に見た
高く飛んでいくカイト
離さないよう
ぎゅっと強く 握りしめていた糸
憧れた未来は 一番星の側に
そこから何が見えるのか
ずっと知りたかった
出典: カイト/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
それでは早速1番Aメロの歌詞から見ていきましょう。
タイトルにもなっているとおり、この楽曲ではカイト=凧(たこ)がモチーフとして描かれています。
凧といえば子どもの頃、空に飛ばして遊んだ方も多いはず。
大人になっても懐かしい遊びとして心に残っているのではないでしょうか。
また、親になってから子どもと一緒に凧を楽しんだ方もいるでしょう。
この歌物語の主人公は大人です。
子どもの頃に遊んだ凧のことを思い出しています。
手元で握っていた糸と、空高く舞い上がる凧、そして星との対比が美しいですね。
- 手元の糸=子ども時代の主人公。
- 凧=未来。大人の自分。
- 星=未来の光景。
上記のようにたとえているでしょう。
大地に立つ、子ども時代の主人公。
糸を介して自由に空を飛び回る凧は、まるで未来の自分の姿=大人の自分みたいだと感じていたようです。
夕暮れ、星が輝き始める時間まで夢中になって遊んでいたのでしょう。
その星の近くを飛ぶ凧に触発されて未来について想像していたわけですね。
つまり、大人になったときにどのような光景を見ているのか知りたかったと語っています。
家族との繋がり
母は言った「泣かないで」と
父は言った「逃げていい」と
その度にやまない夢と
空の青さを知っていく
出典: カイト/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
続いて1番Bメロの歌詞です。
ここではお父さん、お母さんが登場しています。
子どもの頃、ご両親と一緒に凧を飛ばしていたのでしょうか。
もしかしたら誰か他の子どもが上げていた凧とからまって、落ちることもあったのかもしれません。
そこで子ども時代の主人公が泣いていると、ご両親が励ましてくれた光景が浮かびます。
もちろんこのような具体的な物語は描かれていませんので、想像をふくらませて楽しむ部分です。
いずれにしても困難な状況に陥ったとき、まるで凧の糸のように繋がる家族が近くにいたという話でしょう。
家族の温かさを感じながら、未来への夢が青い空のように確かで美しいものに育っていったと解釈できます。
サビを見てみよう!
「風→歌→夢」の流れ
風が吹けば 歌が流れる
口ずさもう 彼方へ向けて
君の夢よ 叶えと願う
溢れ出す ラル ラリ ラ
出典: カイト/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
1番Cメロ、サビの歌詞です。
ここではなぜこの楽曲で凧がモチーフとして取り上げられたのかが段々わかってきます。
凧は無風状態では飛びません。
風を受けることによって、凧は飛ぶ仕組みになっています。
つまり風は凧を飛ばす絶対条件。
こうした必然性を踏まえて「風」という言葉が歌詞に登場しています。
そのうえでこのサビの冒頭1行を見てみましょう。
さらに風が「歌」の生まれるきっかけになっているところが美しいですね。
そして遠くまで響くよう歌うことによって夢の実現を願う姿が見られます。
この「風→歌→夢」という流れを描きたいという願いから、凧が題材となったのでは?と解釈してみました。
また「風を必要とする凧」を選んだ理由は後ほどさらに深読みします。
子どもに刺さる歌
「風→歌→夢」の流れから実際に導かれる歌が「ラル~」の部分です。
同楽曲と同じく米津玄師さん作詞作曲の「パプリカ」も大ヒットしました。
こちらはとくに子どもが夢中になって踊る姿が話題です。
子どもに刺さる歌は、老若男女問わず幅広く受け入れられやすいでしょう。
NHK2020ソングの本楽曲は嵐が歌唱するという使命を担っています。
そのため子ども時代の楽しい遊び、凧を引き合いに出して懐かしさを感じる歌物語を描いたのでしょう。
そして実際に子どもからお年寄りまで幅広く歌いやすいフレーズが盛り込まれたと考えられます。