気付いてよ
大切な君へ届けたい愛
君の嘘も幻も受け止めたい
欠けてしまったものだってすぐに
また集められるさ
偽りだとしても

出典: 月を追う真夜中/作詞:Eir 作曲:重永亮介

いつか二人一緒にはいられなくなるかもしれません。

だから一緒にいられる今の内に、自分がどれだけ相手を愛しているのかを伝えようとします。

そのためなら、相手のどんな部分も受け止める覚悟があるのでしょう。

「愛する」とはそういうことです。

ところが、相手は主人公の気持ちに気付いてくれていないのでしょうか。

確かに、愛していることをダイレクトに伝えるのはなかなか難しいです。

それに、言葉で伝えてもどれだけの想いを抱えているのかまでは伝えきれません。

言葉は淡々とした事実しか伝えられないので、その分伝わる気持ちも薄っぺらくなってしまいます。

だから相手に気付いてもらうしかないのでしょう。

この先喧嘩したり複雑な関係になったりして、主人公の中の「君」が月のように欠けてしまう可能性もあります。

要するに、離れてしまうことで満たされなくなってしまうのです。

そうなったらたとえ嘘でも幻でも、相手の要素をかき集めて「満月」にしなければ主人公の心は満たされません。

偽物でも良いから集めるという、狂おしいほどの愛を感じさせます。

世の中は冷たくない

世の中は世知辛いもので、なかなか思い通りにはいきません。

周りの人も助けてくれず、主人公の大切な相手は苦しんでいるのでしょうか。

しかしながら、世界はそこまで残酷なものではないと主人公は思っているようです。

そして相手にそのことを教えようとしています。

赤い月

赤い月 夜を照らして
黒い影を作って笑う
誰かの願いが 痛みに変わる
歯車が時を動かす

出典: 月を追う真夜中/作詞:Eir 作曲:重永亮介

今夜の月はどういうわけか赤いようです。

赤いといつもと比べて暗い雰囲気で、どこかダークな気配を匂わせます。

赤い月が照らし出す影が、世界の闇際立たせているのでしょうか。

人の幸福は、いってしまえば誰かの不幸です。

誰かが不幸になることで、他の誰かが幸せになります。

願いや祈りもまた、誰かの首を絞めることになりかねません。

現に誰かの願いによって、主人公は苦しんでいました。

この願いと苦しみのサイクルが、次第に主人公を取り巻く状況を進展させていくようです。

大切な記憶

私に何一つなくても
君が笑う日を愛しく思うから
記憶よ 消えないで

出典: 月を追う真夜中/作詞:Eir 作曲:重永亮介

主人公にとって、「君」がどれだけ大好きで大切な存在なのかは先の歌詞でも描かれていました。

一緒に過ごした思い出が、何よりも宝物なのです。

主人公の身に何かが起こってすべてを失ったとしても、その宝物だけは手放したくありません。

「記憶」とは唐突な印象がありますが、このキーワードは『グランベルム』と関連付いているのでしょう。

優しい人の存在に気付いて

気付いてよ
優しい人で溢れてる現実
誰一人代わりなんていないから

出典: 月を追う真夜中/作詞:Eir 作曲:重永亮介

この世界には信用に値しない人や悪い人は確かに存在します。

しかしそれ以上に優しくて良い人々だってたくさんいるのです。

人生甘くないのも現実ですが、良い人で溢れているのもまた現実です。

主人公はそのことを知っていました。

大切な人は「この世は酷い人ばかり」「自分なんていなくてもいい」と嘆いているかもしれません。

しかしながら、主人公は「そんなことない」と教えようとしているのでしょう。

少なくとも主人公にとって、相手はかけがえのない存在です。

代わりなんている筈がありません。

世知辛さに耐えかねて「君」がどこかへ行ってしまわないよう、つなぎ止めようとしているように思えます。

最後にした決断とは

月を追いかけている内に、やがて主人公はある答えに達します。

そしてそれと同時に決断を下すのでした。

主人公は何を決めたのでしょうか。