アップテンポなロックチューン「月を追う真夜中」
藍井エイルの16thシングル
疾走感のあるアップテンポな曲調とクールなロックが、実に藍井さんらしい曲にしています。
「月」や「真夜中」というと穏やかな雰囲気がありますが、この曲はそうではありません。
何かに駆られる焦燥感と、何かを探し求める苦しさが表現されています。
何故主人公は夜な夜な「月」を追いかけているのでしょうか。
歌詞に隠された本当の意味を考えてみましょう。
アニメ『グランベルム』OP曲
魔法バトルアニメではありますが、「魔法が消えてから1000年後の世界」が舞台という異色の作品。
タイトルにもなっている「グランベルム」はバトルロワイヤルの名前です。
可愛らしいビジュアルの反面、かなりダークかつ人間味あふれる物語で、藍井さんも驚かされたとか。
主人公の名前は「満月」、もう一人の主人公が「新月」という「月」になぞらえた名前になっています。
このことは「月を追う真夜中」に何らかの形で関わっているように思えてなりません。
彼女らの気持ちを重ね合わせながら歌詞を見ると、よりこの曲の深みを味わえるのではないでしょうか。
夜に浮かぶ月を見ながら
真っ暗な夜空に輝く「月」は美しく、人の目を引く存在です。
主人公はそれを追いかけているようですが、実際に地上にいる人が空に浮かぶ月に追いつくことはできません。
追いかければ追いかけるだけ、月も等間隔で逃げていきます。
それでも追いかける主人公は、何を目的にしているのでしょうか。
月が消える時
光る月 夜に浮かんで
黒い影に隠れて消えた
目を伏せた時に見える世界は
偽物の夢で溢れる
出典: 月を追う真夜中/作詞:Eir 作曲:重永亮介
夜空には月が浮かびますが、毎晩いつも月が見えるとは限りません。
2行目の月を隠す「黒い影」は雲のようにも、月を欠けさせる地球の影のようにも思えます。
前者は夜空が曇っていて月が見えない状態で、後者は新月の夜という意味です。
月明かりのない夜は一層暗く、主人公の目には辛く感じているのでしょう。
月が見えなければ、当然追いかけることもできません。
追いかけるものがない夜なんて、希望がないのです。
「いつまでも」は続かない
ふたりで一緒に歩いた
いつまでも続くはずだった道が
もしも壊れたら
出典: 月を追う真夜中/作詞:Eir 作曲:重永亮介
「ふたり」とは、アニメの主人公である満月と新月のことでしょうか。
いつも一緒にいて、並んで同じ道を歩んでいたようです。
しかしながら、その道が突然壊れて分かたれてしまう日が来るかもしれません。
主人公はそれが不安なのでしょう。
もし一緒にいられなくなって、大好きな相手がいなくなってしまったら。
そんなネガティブなことを考えてしまうのは、今日が月の見えない夜だからなのでしょう。