夜を照らす存在
例え月が消えてしまっても ほら
星が輝くから
偽りだとしても
出典: 月を追う真夜中/作詞:Eir 作曲:重永亮介
たとえ月がなくなってしまったとしても、それで夜空が真っ暗になるわけではありません。
小さな星たちが夜を照らしてくれます。
星は星であって、「月」そのものではありません。
つまり「本物」にはなれないわけですが、主人公は「偽り」でも構わないといいます。
「君」のこともそうでしたが、主人公は大切なものに関しては本物でも偽物でも構わないようですね。
大切なものに関するものであれば、「本当」である必要はないのでしょう。
狂気的な何かを感じる人もいるかもしれませんが、愛情とは意外とそういうものだったりします。
嘘でも幻でも、相手のことを感じられればそれで良いのです。
存在を確かめる温もり
寄り添った肩 君の体温
ずっと見てきた今までが
涙で終わらないように
私は私を信じていたい
出典: 月を追う真夜中/作詞:Eir 作曲:重永亮介
寒い日に寄り添い合っていたこともあったのでしょうか。
「体温」から「君」の存在を確かに感じることができます。
幸せな時間だからこそ、二人の末路が悲劇的なものになる予感を感じていたのでしょうか。
とはいえ、どんな末路を辿るのかは主人公と「君」次第です。
悲しい予感が当たらないようにするには、自分で自分を律するしかありません。
君の愛に気付いた
気付いたよ
大切な君が届けてた愛
その願いがどうか叶いますように
壊れてしまいそうだった夜がまた
朝と手を繋いだ
出典: 月を追う真夜中/作詞:Eir 作曲:重永亮介
主人公は「君」に愛を伝えようとしていました。
逆に「君」からも、行動や態度で愛を伝えられていたのでしょう。
主人公は相手の思いに気付くことができたようです。
愛されていると実感して、安心したのではないでしょうか。
そして同時に、相手が胸に抱いている願いを応援することにしました。
不安な夜が終わりを告げようとしています。
5行目の「手を繋ぐ」は、夜明けを意味しているようです。
最後に見つけた答え
もう 真夜中は月を追いかけない
一人背負いこまなくても良いんだよ
空白だったこの心だって
思い出で溢れた
きっとこれが答えだよ
出典: 月を追う真夜中/作詞:Eir 作曲:重永亮介
相手からの愛を確かめられたからか、主人公は月を追いかけないことにしました。
お互いがお互いを愛しているのですから、一人で痛みや悲しみを抱える必要はありません。
二人で楽しいことも辛いことも分け合っていけます。
今までの主人公は孤独と不安で心が空っぽだったのでしょう。
しかし「君」と出会うことで思い出が増え、心が豊かでいっぱいになりました。
だからもう、「月」を追う必要がなくなったのです。
何故主人公は「月」を追いかけていたのか
そもそも、主人公はどうして「月」を夜な夜な追いかけていたのでしょうか。
それは「月」を別のものに置き換えると分かります。
藍井さんは「月」を「大切な人との思い出」を意味する比喩として表現しているそうです。
夜というのは不安や孤独の象徴ですが、その中で輝く月は主人公にとって希望そのものだったのでしょう。
大切な人との思い出といえる月は、不安という闇を寄せ付けずに光り輝いているものです。
どんなに雲が広がっていても月がなくならないように、大切な人との思い出もなくなりません。
主人公が怖がっていたのは、この「思い出」がなくなってしまうことだったと考えられます。
しかし相手からの愛を感じたことで、「どんな辛い状況の中でも思い出は消えない」という確信を持てました。
これこそ主人公が辿り着いた結論です。
結論に辿り着き、不安を解消できたから最終的に月を追いかけなくなったのでしょう。