誰にも見せなくても

誰にも見せなくても
キレイなものはキレイ
もう知ってるから
誰にも聞かなくても
キレイなものはキレイ
もう言ってるから

出典: PINK BLOOD/作詞:Hikaru Utada 作曲:Hikaru Utada

キレイなものは、誰にも見られることはなくても、ただ存在しているだけでキレイだと歌われています。

ここで歌われているキレイなものとは、一体何のことなのでしょうか。この部分だけだとよくわかりませんね。

ですが、その先の歌詞を見るとその答えが見えてきます。

私の価値

私の価値がわからないような
人に大事にされても無駄
自分のためにならないような
努力はやめた方がいいわ

出典: PINK BLOOD/作詞:Hikaru Utada 作曲:Hikaru Utada

ここには強いアイデンティティー自己愛を感じます。自分の価値がわからないような人には用がないと言っているのです。

つまり、キレイなものとは「自分自身」のことを言っているのではないでしょうか。

人間には承認欲求がありますよね。SNSのいいねの数を気にしたり、人からどう見られているかを気にしたり。

ですが、ここで歌われているのは、人からの評価に依存せず、自分で自分の価値を認めることが大切だということです。

誰からも評価されなくても、自分はキレイで価値のある存在である。そんな強いメッセージを感じます。

他者からの承認欲求を満たすための努力は自分のためにならない、無駄な努力だ、と言っているのです。

SNSが浸透した時代にあって、鋭いメッセージを放っています。

コドモのままじゃいられない

自分のせいにしちゃう癖

傷つけられても
自分のせいにしちゃう癖
カッコ悪いからヤメ

出典: PINK BLOOD/作詞:Hikaru Utada 作曲:Hikaru Utada

自己肯定感が低いと、人から傷つけられたときに「自分が悪かったんだ」「自分のせいなんだ」と、自分を責めてしまいがちです。

そのような謙虚さが、美徳とされることすらあります。

ですが、そんなのおかしい。むしろかっこ悪いと歌っています。

謙虚さも時として必要ではありますが、強い自己肯定感を持っていれば、必要以上に傷つくことなく自分の価値を感じられます。

自分を傷つけるものに対する毅然とした態度と、強い自己愛を感じますね。

過去との決別

あなたの部屋に歩きながら
床に何個も落ちる涙
自分の価値もわからないような
コドモのままじゃいられないわ

出典: PINK BLOOD/作詞:Hikaru Utada 作曲:Hikaru Utada

ここで歌詞に出てくる「あなた」とは誰のことなのでしょうか。歌詞の中には、具体的には出てきません。

ですが、歌詞全体を通して見ると、このように解釈できます。

「あなた」とは、この歌の主人公がかつて「自分を見てほしい」「自分の価値を認めてほしい」と求めた相手だったのではないでしょうか。

そして、傷つくたびに自分のせいにして、いくつもの涙を流していました。

ですが、そんな子供のままじゃいられない。ここには、そんな過去との決別を示しているように感じました。

自分を癒せるのは自分だけ

心の穴を埋める何か
失うことを恐れないわ
自分のことを癒せるのは
自分だけだと気づいたから

出典: PINK BLOOD/作詞:Hikaru Utada 作曲:Hikaru Utada

この歌の主人公は、このことに気づいて強くなりました。

今までは、「何か」や「誰か」に頼って自分の心の穴を埋めようとしていました。

そして、他者からの承認を失うことを恐れていました。ですが、心の穴を埋めようとそんなに求めても満たされることはありません。

誰かに認められたいという承認欲求はどんどん強くなり、本当に満たされることはないのです。

そんな日々の中で主人公は、本当の意味で自分を癒やすことができるのは自分だけだ、ということに気づきます。

そして強い自己愛を手に入れ、誰かからの承認を求めることなく、自分で自分の価値を信じられるようになったのです。

自分で選んだ椅子とは