【宇多田ヒカル/Movin'on without you】歌詞の意味解説！いいオンナを演じる真意とは

他の楽曲同様に、もちろん宇多田ヒカル本人が作詞と作曲を手掛けた楽曲です。

前年12月に「Automatic」で鮮烈なデビューを果たしました。

次の曲への期待が高まる中、わずか3か月で「Movin'on without you」をリリース。

「Automatic」がミディアムテンポだったのに対して、この曲はアップテンポな曲調。

さらに歌詞は、自分から別れを切り出そうとする大人な恋愛の歌詞。

15歳の宇多田ヒカル自身が作詞作曲していることに改めて日本中が驚きました。

期待を裏切らず、誰にもマネできない宇多田ヒカルの才能を見せつけられたのです。

この曲は、日産自動車テラノCMソングとしても流れ、122万枚のセールスを記録しました。

「Automatic」のMVでは暗がりであまり見えなかった宇多田ヒカルの表情。

一転「Movin'on without you」は明るいライトの中、彼女の姿がくっきり映し出されています。

当時は彼女の顔があまり認知されていなかったので、Every  Little Thingの持田香織かと思ったという声もありました。

現在は母となった宇多田ヒカルですが、20年前はあどけない表情を見せています。

服装やメイクは少し時代を感じさせますが、彼女のパフォーマンスや映像自体には古さを全く感じさせません。

今見ても最後まで楽しむことができます。

PHSは、宇多田ヒカルがこの曲を書いた頃、約20年前に全盛期で使われていました。

ガラケーの未完成版といったらいいでしょうか。

基本的には、機能は電話とメールのみです。

同じキャリアでないとメールができなかった時期もありました。

電波が弱くすぐに圏外になる・メールは20文字までしか打てないなど今では考えられないような縛りがあるものを使って連絡を取っていたのです。

では、いよいよ歌詞を読み解いていきましょう。

時代が変わっても、恋をすると誰もが経験する揺れ動く恋心が描かれています。

さっそく登場するPHS。主人公は相手からの着信をひたすら待って、深夜の3時。

今ならLINEなどSNSで、ある程度相手の気持ちや状況を想像することができます。

既読なら、脈があまりないことに薄々気づき、未読ならば、もう寝てしまったのかなと。

もしかしたら、このふたりが持つPHSではメールができなかったのかもしれないですね。

着信がなく、相手が何をしているのか全く分からない状況。

“待っていても電話は掛かってこない。時間が無駄なことは分かっている。

でも、もしかしたら電話が掛かってくるかもと期待を捨てることもできない。”

主人公は自分の気持ちに決着することができず、電話を待ってしまっているのです。

いよいよ決心をして自分から電話をしたのに関わらず、今度は電波が届かない。

呼び出し音すら鳴らない。

相手が何をしているのか全く分からない状況に変わりがないのです。

“電話に出ないのは、ただ単に電波がないから？それとも誰かといるの？もしかして事故にでも遭ってしまったの？”

いろいろな考えが頭の中を駆け巡ります。

また、今は試行錯誤した上で文字でも気持ちを伝えることができます。

でも、PHSはそれができません。

文字数も少なく、カタカナしか打てない機種もあったからです。

相手が電話に出たときに、ちゃんと言いたいことを言えるように、主人公はセリフを事前に準備をしました。

なのに、何も進展なく迎えてしまった午前4時。心も体もしんどいですね。

相手に対してなのか、あるのに使えないPHSに対してなのか、イライラが募ってきています。