暗闇の中を夜明けの光が照らし、体の細胞が刺激を受けてじわりと動き出して新たな日を迎えます。
眠れない夜に描いてた「絵空事」は曖昧に輪郭だけ残して、一体どんな話だったか覚えていない夢のようなものへと記憶に留まっているのでしょう。
半分に割れた太陽という部分の歌詞がきみコさんらしい表現だと思います。大きくて明るく照らす太陽も完璧ではないと表しているかのようです。
自由に舵を取って高く舞い上がる、という表現から、先が見えなかった暗闇から一気に光の世界へ羽ばたく解放感と喜びを感じます。
陰と陽がおり混ざった世界に存在している様子が伺えます。
感情は測れない
決め付けた答えの裏側で泣いてるあの子の声は聞こえない
感情なんてだれかの錆びた物差しで測るものではないだろう
出典: 作詞:きみコ/作曲:きみコ
自分の気持ちは間違っていると判断されることが多々ありますが、感情に白黒つけることはできるのでしょうか。
事柄に関しての真偽を問うことはあっても、人の感情は一概に測れるものではありません。
誰かの感情で他人の感情を裁くというのはナンセンスだということでしょう。
笑うために隠す
だれのためじゃなくあたしはあたしが 今を笑うために傷を
隠してる
少し枯れた声で絵空事を歌う 今ここにあるものがすべてだ
出典: 作詞:きみコ/作曲:きみコ
傷ついて笑うことができない時、自分のために笑うことができるのは自分自身で、自分ために笑うには傷を隠す強がりも時には必要です。今笑うために強がりながら、大げさにでも歌ってみましょう。
今この一瞬に存在しているものをすべてだと思うことは、「絵空事」だと言われても決してそんなことはありません。
辛くても笑うことができるのは、過去や未来の悲しいことも嬉しいことも傍に置いて、今ここにあるものがすべてだ、と感じることができるからかもしれません。
きみコさんが歌詞を考えるときに重要視している「今の瞬間」というテーマがこの《今ここにあるものがすべてだ》という歌詞に込められているのではないでしょうか。
愛されることがゴールじゃない
半分に割れた太陽でまた今日が始まる 物語の続きはこの手
の中
愛されることが結末じゃないから 満たされるだけじゃ足り
ないでしょう
出典: 作詞:きみコ/作曲:きみコ
暗闇の中を照らす光となる太陽がまた昇って、刻々と人生は続きます。
愛されることが結末ではなくて、満たされることも足りない、と書かれていますが、これは愛されることがゴールだとしたら、愛されてしばらくは満足を得ますが、いずれは不足を感じることになるということを意味していると思います。
心を自由に羽ばたかせる
自由に自由に舵を取って もっと遠くへ鳥になって
自由に自由に舵を取って もっと高くへ星になって
出典: 作詞:きみコ/作曲:きみコ
何かに執着するのではなくて、鳥のように軽やかにもっと自由に遠くへ行くこと、そして星のように高いところを目指すことで、心の解放を描いているのではないかと思います。
まとめ
いかがでしたか?小説のように色々と想像が掻き立てられるような奥深い歌詞の内容でしたね。
nano.RIPEの独特な世界観がしっかりと表れているアニメーションが特徴的な『絵空事』のPVをつけておきますので、ぜひご覧になってみてください。
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