ゴールデンボンバー『†ザ・V系っぽい曲†』
楽器を演奏しないエアーバンドとして大人気のゴールデンボンバー。
自分たちもビジュアル系というジャンルの中で活動しながら、このタイトルをつけるとは…。
さすが彼ららしい、クスッと笑えるユニークさがにじみ出ています。
曲調はまさに「V系っぽい」
楽曲は初期のビジュアル系を彷彿とさせる展開です。
ビジュアル系大好きなバンギャなら「なつかしい!」
ビジュアル系を知らない人たちなら「なんかV系みたい…?」
きっと誰もが口をそろえて「これはV系っぽい!」と言ってしまうであろう、王道のV系ソングです。
全体的に重々しく、暗く、でもサビでは少し突き抜けた印象に変化する。
ちょっぴりふざけたタイトルからは想像できないくらい、カッコいい楽曲なのです。
今回はそんな『†ザ・V系っぽい曲†』の歌詞の魅力をたっぷりお届けしましょう。
主人公はビジュアル系好きな女の子たち
先ほどから数回登場している「バンギャ」という言葉。みなさんは聞いたことがあるでしょうか。
これはビジュアル系を愛する女の子のことを指している言葉です。
この楽曲ではそんな、バンギャたちの心理をメインテーマにしています。
作詞をしたボーカルの鬼龍院翔さん、バンギャの心わかりすぎ!
と言いたくなってしまうくらいに、バンギャたちの心模様が鮮明に描かれているのです。
好きな度合いで変わるバンドへの態度
神盤はとっくのとうに解散してそれっきり
大本命はこの前ライブで「メジャー行き」を言われてなんか冷めた
本命のドマイナー盤は客が少なくて楽しい
別格のバンドが地元へ来てくれるけど試験と被ってるorz
出典: †ザ・V系っぽい曲†/作詞:鬼龍院翔 作曲:鬼龍院翔
冒頭からバンギャのあるある心理がピンポイントで描かれている部分です。
バンギャは特定のバンドを愛するだけでなく、シーン全体を愛する人がたくさんいます。
そのため、そのシーンの中にいるバンドの立ち位置を、それぞれ理解していることが多いのです。
結成して数十年!?大御所バンドは
まず1行目から見ていきましょう。神盤とは文字通り、神のようなすごいバンドを指します。
神盤と呼ばれるには、ただすごいだけでは不十分。
すでに解散しており、もう活動をしていないバンドが神盤に該当するのです。
解散してから気付けば数年…思い出されるたびに「すごいバンドだったね」と伝説のように語られる。
そんなバンドたちのことを指しています。
ライブに通い詰める!大本命
続いて2行目。大本命とはまさに、自分が1番大好きなバンドのことです。
多くの場合、応援しているアーティストがメジャーデビューするとなれば、ファンは大いに喜びます。
つまりメジャーデビュー=有名になった証拠、売れた証だということです。
しかしビジュアル系では必ずしもそうとは言い切れません。
ビジュアル系バンドのほとんどがインディーズで活動していますが、バンギャはその世界を愛しています。
もともとビジュアル系が表現している世界は、あまり大衆に受け入れられるものではありません。
つまりインディーズだからこそ表現できる世界がある、ということです。
メジャーデビューしてしまうことはつまり、その世界を表現できなくなる可能性が高いということを意味します。
アンダーグラウンドな空気に惹かれるバンギャたちにとって、メジャーデビューはむしろ悪なのです。
マイナーなりの魅力もある
加えて、バンギャが本命バンドにインディーズで活動してほしい理由がもう1つ。それが3行目の内容です。
知名度が低い以上、ライブに集まるファンも少なくなります。
そのマイナーな世界と、自分たちだけがこのバンドを知っているのだという優越感が、バンギャは大好き。
それに、観客が少なければ少ないほど自由に音楽を楽しむこともできるのです。
ご存知の通り、ビジュアル系バンドのライブでは独特の振り付けが多く存在しています。
また、ヘッドバンキングやモッシュなどの激しい動きが多いことも特徴的。
客が少なくスペースの多いライブ会場は、バンギャから好まれるというわけです。