もう流れる日々の中に前進はありません。主人公が相手との間に感じている心の隙間が埋まることもありません。
むしろその隙間は大きくなり、二人を遠ざけてしまいます。
相手のことを好きでいられるうちにサヨナラをしようと決めたのに、「なんていやだよ」という抗えない感情が顔を出して主人公を悩ませます。
いつの間にか距離が離れて
抱き締める腕はあたたかくて いつも幸せを感じてた
信じるたびに強くなれた 求めてばかりで脆くなった
花は散りゆく想いはめぐる 涙ひとしずくこぼれ落ちる
これ以上そばにいれないの 届かない背中にサヨナラ
サヨナラ サヨナラ サヨナラ サヨナラ
出典: サヨナラ/作詞:miwa 作曲:miwa,Naoki-T
恋人のあたたかさに幸せを感じて、相手を想うだけで強くなれた主人公。
しかしその強さは相手がいてこそのもの。際限なく愛を求めてしまって、それが満たされないとむしろ弱くなる、という脆さも表れていきます。
一方的に募る想いを持ち続けるのは容易ではありません。届かない背中を追うのに疲れたことも、主人公が別れを告げようと思った大きな理由なのでしょう。
いつか思い出に
巡り会えたこと 間違いじゃないよね
だけどもう伝えられない こんなにも好きなのに
出典: サヨナラ/作詞:miwa 作曲:miwa,Naoki-T
たとえ終わってしまう恋でも、それまで一緒にいたこと、愛し合う恋人同士として巡り会えたことは本当です。
そうやってひと時だけでも幸せを与えあえる関係だったことは決して間違いではありません。
そんな揺るぎない事実があり、それでも避けられない別れもあります。
花は散りゆく季節はめぐる 涙ひとしずくこぼれ落ちる
いつか思い出に出来るかな 好きすぎるからもうサヨナラ
サヨナラ サヨナラ サヨナラ サヨナラ
名前呼ぶ声も 抱き締める腕も
二人の未来も 昨日までの思い出も
(I don't wanna say)
出典: サヨナラ/作詞:miwa 作曲:miwa,Naoki-T
そうして、歌詞は冒頭の言葉につながっていきます。
「好きすぎるからもうサヨナラ」。そんな辛い決断の背景には、二人の未来が見えないこと、自分ばかりが焦がれて追いかける今に疲れてしまったことが理由としてありました。
何度もくり返される「サヨナラ」という言葉は、まるで決心が揺らがないように必死で自分に言い聞かせているように思えます。
そして、ひっそりと呟かれる(I don't wanna say)という言葉には、主人公の本音、抗えない本心が表れています。
自分を呼ぶ声や抱きしめるその腕、思いを馳せた未来やこれまでの思い出、そんな恋人との今までを忘れ去ろうとするように、それら全てに対して「サヨナラ」と言っているのでしょう。
あまりにも切ない恋の終わりです。
まとめ
「サヨナラ」の歌詞で描かれる物語は、ひたすらに切なくてドラマチックな恋の終わりの風景です。
相手を求める本心と、理性的に現実を見ての決断。そんな2つの相反する考えを抱えて葛藤する様子がリアルに描かれています。
恋人との関係を描いた曲の中で、「君」や「あなた」といった相手を指す言葉が一切出てこないのは狙ってのことでしょうか。
心情や風景を描くだけでこんなにも切ない恋を想像させてくれるところに、miwaのソングライターとしてのセンスが表れているように思えます。
無料で音楽聴き放題サービスに入会しよう!
今なら話題の音楽聴き放題サービスが無料で体験可能、ぜひ入会してみてね