無神経な言葉

「誰にだって辛いことはある」 そういうのは自分にだけ言って
君の辛さを平凡にしたがる 人の無自覚が誰かの辛さになる

出典: とどめを刺して/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ

1行目の言葉を周囲から投げかけられたことがある人も多いのではないでしょうか。

しかし主人公はその言葉にある、他人の辛さを一般化するようなニュアンスが嫌なのでしょう。

自分以外の辛さや苦しみというのは他人には分からないのです。

それを分かったような口をきくことに対して怒りを感じているのかもしれません。

また他にも、その言葉を言うということそれ自体が無神経だと感じているのではないでしょうか。

言われた人の気持ちになれず、自分の目線でしか見られない他者に対して憤っているのかもしれません。

主人公が彼女にしてあげたいのは苦しみというものを無理に分かろうとせず、ただ寄り添うということ。

そこには底知れぬ優しさが隠れています。

夜明け前に逃げ出した2人

amazarashi【とどめを刺して】歌詞の意味を解釈!なぜ自分の気持ちを認めないの?逃亡の結末とはの画像

青い国道をひた走って 逃げ切れるような気がした
何かに追われてるような気分に追われてた
鼓動が速い分だけ 人より速く進めると言い聞かせ
苦しい顔で走らない 苦しいなんて認めない

出典: とどめを刺して/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ

ここでいう「青」は夜明け前の色を表しているのだということが分かります。

白日の下に晒されれば誰かに見つかってしまうかもしれない。

それを避けるため、まだ暗い夜明けに逃げ出したのでしょう。

しかしそれを追いかけてくるような気配があります。

本当は何も追いかけてきてはいないのかも知れません。

その追われているような気持ちというのは、恐怖心という言葉で言い換えられるかもしれません。

今までの抑圧された気持ちから解放されようと逃走する2人。

走り続け、息が苦しくなってきてもそれを認めようとしないのも世界に対しての抵抗なのでしょう。

自分の気持ちを認めないことによって強さを保とうとしているのかもしれません。

普通でいられなかった

2人の切実な想い

amazarashi【とどめを刺して】歌詞の意味を解釈!なぜ自分の気持ちを認めないの?逃亡の結末とはの画像

ねえ二度と泣かないように 君を見くびる君にとどめを刺して
僕と逃げよう 潔白ではいられなかった人生 呪いながら

出典: とどめを刺して/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ

1行目の言葉には「君」の中にある自分の可能性を信じない自分のことを指しているのでしょう。

そんな彼女の心を主人公は無くしてあげたいと考えているのだと思います。

自分を疑うような心があることによって、彼女は自分の人生に対して消極的なのかもしれません。

主人公にとって2人で逃げ出すということはそんな彼女を変えたいという気持ちもあるのでしょう。

2行目の「潔白」には真っ当に社会の規範の中で生きることを指していると考えられます。

しかし自分たちはそうはなれなかった。

社会に対しての違和感が自分自身を苦しめてしまうのだからそこから逃れるしかない。

そこには彼らの切実さが感じられます。

逃亡のニュース

立ち寄ったダイナーで 君と僕の顔写真 指名手配のニュース
「自分の気持ちを殺害したとされる男女二人が」
「計画的逃亡」
「服装を変えながら」
「知人の元を転々と」

出典: とどめを刺して/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ

逃げ出した2人に関するニュースが耳に飛び込んできます。

2行目の言葉が意味しているのはすべての感情を殺したということではないでしょう。

自分自身を疑う気持ちや世界に対しての失望。

そんな感情を殺すことで本来の自分を取り戻そうとしている様子を表しているのではないでしょうか。

窮屈な場所から逃げ出し、自分らしく居ようと奮闘しているのです。

その先にあるのがどんな未来であっても2人が現状を変えようともがいているのが分かります。

どこまでも車を走らせて

無敵の2人

amazarashi【とどめを刺して】歌詞の意味を解釈!なぜ自分の気持ちを認めないの?逃亡の結末とはの画像

ねえ カーラジオのボリュームを上げて
ねえ もっと上げて
最高な気分なんだ 笑いが止まらない
どこまでも行けそうだ どこまでも行けそうだ

出典: とどめを刺して/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ

車内に流れているのはお気に入りの音楽なのかもしれません。

音量を上げ、爆音にして2人で車道を走る光景が浮かびます。

ここでは自分たちを束縛してきた世界から逃げ出せたことを喜んでいるのでしょう。

その喜びの大きさは2人に無敵感さえもたらしています。

未来に対しての希望が見えてきているのか、それとも解放された今を楽しんでいるのか。

もしかしたら、その両方かもしれません。

スピードが上がる車に乗りながら2人は刹那的ともいえる逃亡を繰り広げています。