だからさ だからさ
仕草も匂いも覚えている
シャッターを切る時間も
君に触れていれば良かった
全ての時間を君だけに使えばよかった
出典: シャッター/作詞:優里 作曲:優里
君については、どんなに細かいことだって覚えている自信のある主人公。
それならば、常々カメラを構えたりせず、真正面から君と向き合っていればよかったと気がつきます。
レンズ越しに見る君の姿と、本物では若干の差があるでしょう。
いつだってカメラの向こうから自分を見つめる主人公に、君はとてつもない寂しさを覚えたはず。
しかしそれほどまでにカメラを愛し、自分を愛している主人公には、伝えることができなかったのです。
離れてみて初めて、君がどこにもいないことがこんなにも悲しいのかと気がつけた主人公。
初めて自分の口から想いを口に出そうとしてみても、それを聞いてくれる人はもういません。
長年我慢を積み重ねた君と、やりきれない気持ちを抱えた主人公は、まだ共に苦しんだままです。
君の本心に気づかぬまま
綺麗なものを撮りたくて
お決まりのデートコースと
お決まりの愛の言葉
見栄えの良いものばかりが
インスタに残った
出典: シャッター/作詞:優里 作曲:優里
主人公がカメラを構えるのは、綺麗なものや感動するものなどさまざまです。
しかしそこに汚れたものや、悲しい気持ちは1つだって残っていません。
輝くものばかりを追い続け、その裏にある悲しみにカメラを向けることはしなかった主人公。
その結果出来上がったアルバムは、どれもこれも格好ばかり良い中身のないものばかり……。
君の悲しみに背を向けて、見たいものだけを選びとってきた主人公の「後悔」が感じられます。
どんな時も目と目を合わせ、気持ちを共有したかったであろう彼女。
主人公の構えるカメラに、本当の気持ちが届くことはありませんでした。
カメラでは映せないもの
棚の上に置いたカメラじゃ
映せないものが
君と僕の間にあって
それに気づけなかった
出典: シャッター/作詞:優里 作曲:優里
カメラを通して、君のどんなことも知っていると思い込んでいた主人公。
実際に君の長所や素敵な部分については、他の誰よりも詳しくなっているといえます。
しかし、そこに辛さや苦しみが入り込む隙間はありません。
どこからどう見ても幸せそのものだった2人の間には、お互いに隠した心の傷があったのです。
言葉にできないことも映し出せる、魔法のようなカメラを持っている主人公。
本当ならば、そんなカメラを使って「君の本当の気持ち」を知りたかったはずです。
幸せにしたいと思うがあまり、カメラには映せない「本心」を見過ごしてしまった後悔……。
言葉足らずの2人が招いた悲劇は、もう二度と喜劇に変わることはありません。
僕の面影を過去に追いやって
今でも気持ちは
やっぱりわからないけど
君のアルバムに居る僕は全部
いらないんでしょう
出典: シャッター/作詞:優里 作曲:優里
大切なカメラを手に取る気にもなれず、ついに君の本心を知らないまま終わってしまった2人の日々。
もう、君がどう思っているのかを確かめる術もありません。
しかし確実にいえるのは、君の心の中にいる「僕」が次第に薄れていくだろうということ。
未来に向かって歩き始めた君にとって、僕の存在はもはや「過去」でしかないのです。
すぐに消えはしないけれど、それでも確実に薄くなっていく面影。
あんなに近いところにいたはずなのに、今は世界で一番遠いところにいるような気がしてきます。
見て見ぬふりをして
映りの悪い僕
シャッターが落ちるみたいに
君を切り取って恋に落ちて
壊したくなくて無難に
きっとやり過ごしてた
だからさ だからさ
映りの悪い僕だったろう
シャッターを切る時間も
君に触れていれば良かった
全ての時間を君だけに使えばよかった
出典: シャッター/作詞:優里 作曲:優里
恋に臆病になる主人公は、君が悲しんでいる姿にも薄々気がついていました。
そして、無理にその姿を写真に収めないようにと避けていた日々。
トラブルが起こるのを恐れ、自分の前から姿を消してほしくないと願った結果の行動だったのです。
しかし彼女にとっては、どんなに臆病でも寄り添っていてほしかったはず。
見て見ぬふりをするのではなく、何も聞かずにそばにいてくれるだけでよかったのです。
一番近いところにいながら、心の距離がどんどんと離れていってしまっていた2人。
しかし突き詰めればお互いに、お互いを離したくなかっただけだったのです。
苦しみを避けてきた主人公の表情は、きっと彼女よりも苦しんでいたでしょう。
主人公を写真に収めたのなら、きっと誰よりも酷い出来になっていたはずです。
それをすべてわかっていて、さよならを告げた君。
想い合っていながらにして離れ離れになってしまった2人に、胸が締め付けられる想いです。