カメラと僕と君
約束の日、君はいない
君と見るはずだった花火が
夜の隙間を埋めてく
感傷にひたっちまうから
Twitterは閉じた
出典: シャッター/作詞:優里 作曲:優里
ふと夜空を見上げると、今の気持ちとは正反対に輝く花火が上がっているところでした。
スケジュール帳に記入するほどに、花火を楽しみにしていた主人公。
しかし今となっては、喜びも感動もさほど大したものには感じられません。
隣を見れば、そこにいるはずだった君の姿がぼんやりと思い出されます。
今日の約束をしたあの頃は、まさか独りぼっちで花火を見ることになるとは考えもしなかったはず。
決して隣にはいないけれど、君もどこかで花火を見上げている気がして……。
居ても立ってもいられずに、つい外へと足を踏み出してしまったのです。
1発、また1発と打ちあがるたびに、君はどんな顔をしているかと想像してしまう主人公。
夜空が明るく輝くほどに、気持ちはどんどんと暗く沈んでいってしまいます。
一心同体であるカメラでさえも
棚の上に置いたカメラも
今距離を置きたいくらい
僕は今日全て失って
一日中泣いていた
出典: シャッター/作詞:優里 作曲:優里
主人公の唯一の趣味は、お気に入りのカメラで写真を撮ることでした。
綺麗なもの、心動かされる風景、何の変哲もない生活の一部……。
そして何よりも撮りたかったのは、生活に彩りをもたらしてくれる君の姿でした。
嬉しい時も、悲しい時も、常にカメラだけは手離すことのなかった主人公。
言葉では上手く伝えられないようなことも、写真を通してならば伝えられる気がするのです。
しかし今は、いわば一心同体ともいえるカメラを手に取る気にもなれません。
想いを伝えたい存在が姿を消してしまったことで、もはや主人公に言葉は必要なくなったのです。
このどうしようもない気持ちは言葉にもならず、ただ嗚咽となって部屋に響くだけ。
そんな悲しい1日を過ごしたのはきっと、主人公だけではないはずです。
思い出にしか残っていない君の笑顔
本当の気持ちは
やっぱりわからないけど
君のアルバムに居る僕を全部
消したんでしょう
出典: シャッター/作詞:優里 作曲:優里
恋人と別れる時、思い出の品を全て破棄し、そのすべてをなかったことにする人も多いでしょう。
それは相手に恨みがあるのではなく、ただ「見ていると思い出してしまう」から。
楽しかったころを思い出して涙を流すのは、誰にとっても辛いことです。
主人公とは違い、カメラを趣味にしていなかった君。
それでも心の中に、主人公と共に過ごした日の思い出を保存していたはずです。
しかしそんな思い出たちも、既に君の心からは消えているのだろう……と嘆く主人公。
処分すればなくなってしまう物とは違い、記憶はそう簡単に消せるものではありません。
今も君の心の中には、あの日の笑顔がくすぶっているのです。
果たして、主人公の心から君の存在が消える日は来るのでしょうか。
記憶の中の鮮明な君
もう目の前に君がいない
シャッターが落ちるみたいに
君を切り取って恋に落ちて
心のアルバムに全部
そっとため込んでた
出典: シャッター/作詞:優里 作曲:優里
日常の中の大切な瞬間を、写真に撮るように切り抜いておけたなら……。
いつでも色褪せないまま、鮮やかな思い出を振り返ることができます。
しかし、ふとした表情や嬉しかった言葉など、写真に収められないことがたくさんあるのも事実。
ならば一生忘れないように、心に強く焼き付けておきたいと願うのです。
主人公の心の中には、出会ってから今までの君の姿がこれでもかと保存されています。
笑った顔、怒った顔、寝ている顔、照れている顔……。
そのどれもがこれ以上ないくらいに鮮明に思い出せるのに、当の本人の姿はありません。
それがどんなに辛いことかは、別れを経験したことのある人にしかわからないものです。