“僕”は忙しい毎日にかまけて“君”をややないがしろに扱ってしまっていたようです。
やはり、先ほどの五月雨は、このBメロに続く重要なお天気ワードでした。
きっと、「言葉のないまま」“君”は姿を隠してしまったのでしょう。
ここの“君”には、どことなく「雲間に隠れる太陽」のような感じも受けます。
お天気ワードをリスナーに想像させる歌詞になっているのです。
雨は涙の象徴
逢いたいと泣く雨上がれば
空は君の居場所を照らす
想定外の風に吹かれ
明日は僕に行き先知らす
きっとまだ強がりなままで
笑う君が愛しい日々よ
出典: Sunny drop/作詞:竹中雄大 作曲:竹中雄大・沖聡次郎
今回のテーマは「雨が何を意味するのか」です。
この1番のサビを考察することで、見当を立てられます。
雨が止んだ後の柔らかい日差しに、“君”はこれからの自分の居場所を悟っています。
つまり、「“僕”に逢いたい!」と泣いていた“君”は、涙を拭き前に進み始めたのです。
つまり1番の歌詞を考察する限り、雨は涙を意味すると仮定できるでしょう。
歌詞を「雨=涙」に置き換えても意味が通じます。
いよいよ“僕”は一人になり、寂しいという気持ちが募っている様子です。
新しい道を選んだ“君”と未練タラタラな“僕”といった対照的な様子が描き出されています。
彼らの気持ちは2番になるとどう変化していくのかを、お天気ワードを軸に見守っていきましょう。
別々の未来を歩みだした2人の気持ちの変化を空に投影
別々の場所で見上げる空
1番で別々の道に進むことになってしまった2人ですが、2番では2人のその後が歌詞の中心です。
2番のAメロで2人が別々の道を歩み始めたことが分かります。
潤す目に映る群青色の空
夕焼け色づき頬を撫でる
恋に似たような夢を描いてみた僕らは
道は違えど駆け出したよ
繰り返し負う傷が疼く日だってあった
でも簡単に逃げ出したくないやと 涙目を擦り繕う笑顔で
立ち尽くす君の姿を探す
出典: Sunny drop/作詞:竹中雄大 作曲:竹中雄大・沖聡次郎
「群青色の空」や「夕焼け」など2人の目にしている空模様がありありと頭に思い浮かんできます。
Novelbrightのボーカル竹中雄大氏の書く歌詞の美しさに、惚れ惚れしてしまう箇所です
Bメロ2文目は新しい世界に飛び出した“君”視点のように感じられます。
しかし捉え方によっては“僕”の描写であるようにも感じられる表現になっています。
傘も持たずに走り出す僕
さてBメロの解釈を“晴れ”にするため、2番のサビについて詳しく解説していきましょう。
一読すると“僕”はまだ涙に明け暮れ、“君”のことを思い続けているように感じます。
散々泣いた雨あられで
傘も持たず足早に行く
最低な色のこの空も
明日は君を見つけてくれるのかな
出典: Sunny drop/作詞:竹中雄大 作曲:竹中雄大・沖聡次郎
ここから先は解釈の仕方が分かれるところでしょう。
“最低な色の空”は雨が降っている空ではなく、雨が上がってもまだ厚い雲が残っている空であると解釈します。
サビの最初に登場するお天気ワード“雨あられ”は、“感謝感激雨あられ”という言葉に用いられる言葉です。
このように感謝を表現するときにも用いられることが連想できるでしょう。
したがって、すでに“君”に感謝をできる状態になっていると考えられます。
つまりここでの“僕”は感情の赴くまま将来へ向かっているのではないでしょうか。
“明日”という未来のワードが擬人化されている点においても、この説は有力であると考えます。
さらに、サビの直後に晴れやかな印象のコーラスが流れることからも前向きな印象を受けるでしょう。
でも簡単に逃げ出したくないやと 涙目を擦り繕う笑顔で
立ち尽くす君の姿を探す
出典: Sunny drop/作詞:竹中雄大 作曲:竹中雄大・沖聡次郎
この歌詞はおそらく“僕”視点でもあります。
ただ、文章的に“君”にかかる修飾文でもあるのは事実です。
ここは両者の状況がリンクした作詞者の妙が光る1文です。
ここはリスナーの想像を膨らませることのできる、素晴らしい箇所です。