9作目のシングル
【振り子】は2020年10月28日にリリースされたUruさんの9作目のシングルです。
近年ではLiSAさんとのタイアップ曲「再生」をリリース。
また、新作発表後に公開された15秒のSPOT動画が話題を呼んでいます。
今作の主人公は「辛い現実と向き合う人」です。
現実と理想の狭間で揺られながら、それでも人との繋がりを鍵に希望を取り戻していく。
そんな情景をドラマチックなストリングスやピアノとともに届けられています。
誰かの都合の良い「後押し」を求める
それでは早速、歌詞を見ていきましょう。
【振り子】の作詞・作曲は、いずれもUruさんご本人が手掛けています。
2016年にデビューを果たしたUruさん。
デビュー後に映画やドラマ主題歌として楽曲が起用され、Mステへの出演も果たしています。
アーティストとしての夢を掴み、成功者として脚光を浴びる。
そんな一方で生放送終了後には泣いてしまったというエピーソードがあります。
理想と現実のギャップにUruさんご自身も苦悩していたことを吐露しています。
自分の殻に閉じこもってしまう
薄汚れた網戸が ずっと目の奥にはまってて
青い空が見てみたくて 誰かに開けて欲しかった
出典: 振り子/作詞:Uru 作詞:Uru
陰鬱としたピアノと透き通るようなUruさんの声が合わさり、曲が動き出します。
主人公には抜け出したい現実が目の前にあるのに、抜け出せずにいるようです。
青い空を「輝いている自分」になぞらえて見てみようとしますが、自分の殻から出られずにいます。
仕事でも学校でも、現実には逃げたいような辛いことが少なからず待ち構えています。
辛いことから逃げ出して自由になりたいという思い。
そんな思いとは裏腹に最初の一歩が踏み出せずにいます。
汚れた網戸を開けることが出来ないことと、辛い現実から逃げられないことを繋げて表現しています。
辛い時にどこかから人がやってきて、ご都合主義的に後押しして欲しいという気持ち。
誰しも一度は感じたことがあるはずです。
今青い空を見たところで、それは結局「辛い現実」というフィルターを通して見た世界です。
フィルターを取っ払って自分の気持ちに正直でありたいと願う姿を丁寧に描いています。
人と居ることでギリギリ存在できる「自分」
求めれば求めた分だけ汚れてった
でも、誰かの傍にいることで
私はここに在った
出典: 振り子/作詞:Uru 作詞:Uru
そんな絶望的な日々でも努力することだけは忘れずに、より良い未来を求めて邁進します。
しかし、頑張れば頑張る程空回りしているようでますます自己嫌悪のスパイラルに迷い込む主人公。
自己嫌悪に陥っている時でも、隣で自分の存在を許してくれる。
そんな人がいるだけで頑張れる様子が歌詞から伺えます。
仕事や学校で嫌なことがあったとしても、家に帰れば自分を待ってくれる人が居てくれる。
困難に立ち向かうのは辛いけれど、人との繋がりのお陰でなんとか踏ん張ることが出来る。
前向きなメッセージを伝えています。
生きる意味を自問する
ただ朝が来て夜が来る
ただ生まれて死にゆく
そこには何の意味もない
独りごちては腐った
出典: 振り子/作詞:Uru 作詞:Uru
試行錯誤と苦悩を繰り返す様子が歌詞から伺えます。
しかし、どんな事でも即座に成果を出すことは難しい。
それは主人公も痛感していることでしょう。
たった一日で人生は変わらないのは分かっているのに、今すぐに全てを変えてくれるような成果を夢見る日々。
自分勝手な予定調和を夢想して物思いにふけってしまいます。
毎日こんなに頑張っても、なかなか結果が出ない。
「これまでやってきた努力は何だったんだろう」と虚しく独り毒づいている情景が浮かんできます。
落胆するような出来事が続いて、自分が生きている意味が見出せなくなります。