「函館の女」が大ヒットすると、当然のように二番煎じを狙うのが世の定め。
「・・・の女」というタイトルはこの後シリーズ化してゆきました。
当然、作詞が「星野哲郎」で作曲が「島津伸男」です。
この手のシリーズ連作は小さなヒットはでるのですが、意外と大ヒットが生まれないものです。
しかし、このコンビは再び大ヒット作を誕生させました。
それは「加賀の女」です。
「北島三郎」の歌唱力と相まって素晴らしい曲となっています。
wikiにシリーズの曲名がありましたので参考までに引用しておきます。
興味のある方は、YouTubeなどで探してみるとほかの曲も聴くことができますよ!
女シリーズ (すべて作詞:星野哲郎)
1965 函館の女 ※第17回
1966 尾道の女
1967 博多の女 ※第18回
1968 薩摩の女 ※第19回
伊予の女
伊勢の女
1969 加賀の女 ※第20回
1970 伊豆の女
1971 なごやの女
1972 沖縄の女
1973 木曾の女
1974 みちのくの女
1979 横浜の女
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/島津伸男
さて、うんちくはこの辺にして、次は「函館の女」の歌詞をじっくり見てみましょう。
じっくりと歌詞を見てみよう
「函館の女」の歌詞は「星野哲郎」の貯めていた歌詞のストックヤードのうち「東京の女」をリメイクしたことは非常に有名です。
でも、現在の歌詞を見ると「東京の女」というイメージが思い浮かびません。
まるで元からの歌詞がこちらのように見えます。
傑作とは多分そんなものなんでしょう。
「函館の女」1番
はるばるきたぜ 函館へ
さか巻く波を のりこえて
出典: 函館の女/作詞:星野哲郎 作曲:島津伸男
出ました!
この曲最大のキャッチーなフレーズです。
さかまく波は「星野哲郎」の持っている津軽海峡のイメージ。
でも、実際の津軽海峡を渡ったことのある人にとってはリアルなイメージです。
津軽海峡は青森と函館の距離は近いのですが風と海流がきついのです。
そのために、本州と北海道では生物の種類が違います。
今では簡単に行けるためイメージしにくいでしょう。
北海道新幹線ができた時のエピソードで、「もうはるばるじゃない」というのが有名になるほど、遠いイメージだったのです。
つまり、このセリフは、函館に行くというとても強い気持ちを表していますね!
あとは追うなと 云いながら
うしろ姿で 泣いてた君を
おもいだすたび 逢いたくて
とてもがまんが できなかったよ
出典: 函館の女/作詞:星野哲郎 作曲:島津伸男
この部分は女性との別れのシーンを回想する場面です。
「俺のことは忘れてくれ!」。
男性の都合の良いセリフ(笑)。
でも、後ろ向きで泣いていた彼女の姿がいつまでも忘れられなかった。
だから、逢いに帰ってきたんだよ。
多分、めったに帰れない函館に戻ってきたということは、ひとまず成功した時に、やっぱり彼女が忘れられなかったという状況を含んでいるのでしょう。
4行目の我慢できなかったという部分がこれらを連想させますね。
でも、実はこの部分、作曲中に後で付け加えられた歌詞なのです!
ビックリ!
どういう事かというと、作曲者の「島津伸男」がどうしても曲を完結させるのに1行足りないと言い出したんです。
ちょうど現場にいた「星野哲郎」は必死になって考え始めました。
途中、我慢ができなくなってトイレに行きます。
その後、ふざけながら、「とても我慢できなかった~」と言いながらトイレから出てきたのです。
これを聴いてた「島津伸男」はいきなり言います。
「これでいけます!」
なかなか面白いエピソードです。
でも、ビッグヒットが生まれるときってこんなものなのかもしれませんね。
続いて2番です。
「函館の女」2番
函館山の 頂で
七つの星も 呼んでいる
出典: 函館の女/作詞:星野哲郎 作曲:島津伸男
函館市は海に浮かぶ小島と陸地を砂浜で結び付けたような形をしています。
小島にあたる部分が函館山です。
函館を訪れたことがある人ならわかると思いますが、この山に登ると函館市が一望できます。
この山の上で光っている7つの星は北斗七星です。
船乗りにとっては大切な位置を知らせてくれる星です。
青森から青函連絡船に乗ってまっすぐ函館を目指すと、ちょうど北に向かいますので北斗七星が見えるわけです。
この部分の歌詞を要約するとこんな感じになるでしょう。
「彼女に会いに帰ってきた俺を迎えるかのように北斗七星も輝いているぞ…」。
意気揚々と帰ってきたわけですが…。
そんな気がして きてみたが
灯りさざめく 松風町は
君の噂も きえはてて
沖の潮風 こころにしみる
出典: 函館の女/作詞:星野哲郎 作曲:島津伸男
何年もほったらかしにしていた彼女の消息を一生懸命調べたのでしょう。
ちなみに、松風町は当時の繁華街で非常ににぎわった場所でした。
彼女のうわさは消え果ていた…、あちこち探したのですね。
函館駅からまっすぐ松風町へ向かい通り過ぎるとすぐ海です。
つまり、沖の潮風とは街の外れまで来たことを表現しているんです。
「星野哲郎!」、さすがニチロにいただけはあります。
函館市が手に取るように書かれています。
がっかりした気持ちを募らせながら歌詞は3番に移ります。