曲の冒頭とサビのパートの歌詞を聴くと、1人で見る日常の風景を歌っているようです。

ということは、以前は2人でその風景を見ていたのかもしれません。

平屋と言っていることからも、生活感が溢れ出ている雰囲気が窺えます。

以前は2人で暮らしていたけれど、今は1人だ!と歌っているのでしょう。

1人で見たり感じたりする風景は、到底耐えられるものではない。

なぜならあなたがそこにいないから

主人公の切ない感情がみてとれます。

まだその恋人のことを忘れられないのでしょう。

何気ない日の帰り道で想像してしまうくらいですから、傷は癒えていないようです。

季節という言葉が持つ重み

1年以上前のことを考えている

その季節思い出す

出典: 季節/作詞:星野源 作曲:星野源

この楽曲で特に重要なのが、上記の歌詞ではないでしょうか。

タイトルにもなっていますしね。

季節を振り返るという状態は、前の年かもっと前の同じ季節を思い出すということでしょう。

秋だったら、前年の秋を思い出しているのです。

同じ季節を指していない可能性もありますが、風景を歌っているので、同じ季節だという線が濃厚。

歌詞の主人公は、1年以上前の失恋を未だに引き摺っているようです。

彼の人生にとって、とても大事な人だったのでしょう。

時間の経過でも色褪せないという事実が、以前の関係の深さを想起させます。

そんな傷ついた状態なら、日常の何もかもが侘しく見えてしまうのかもしれませんね。

当時の自分を振り返った言葉

何かに取り付かれていたように

出典: 季節/作詞:星野源 作曲:星野源

この言葉では、主人公が当時の自分を振り返っているようです。

それだけ一心不乱に相手を愛していたと考えられます。

それと同時に、当時の自分と今の自分はまったく別の人間だと言っているようです。

現在から過去を振り返って、笑っているのは本当に自分なのか?と疑問を持ったのでしょう。

過去に、プラスの感情だけ持っているわけではないのだと考えられます。

恋人に対する懐かしさだけではなく、悔しさや憎さなどの感情もあるのかもしれません。

当時の自分は今とまったく別の人間に見えるほど、恋人のことを愛していたともいえます。

人間の心はとても複雑ですが、星野源はその辺りを巧みに表現していると思います。

2番から、主人公の心は癒えていくのでしょうか?

感情が具体的になる2番

なおも過去を思い出す

柳は揺れ あの日の
ああ 切なさがゆれてる
心の隅 喜び
白い息がお空に
消えてゆく 消えてゆく我は
落ちてゆく

出典: 季節/作詞:星野源 作曲:星野源

主人公はまだ過去を振り返っている最中のようです。

切なさを思い出して心の端っこが喜ぶのはどんな状態でしょうか。

過去の苦い思い出を振り返って、どこかせいせいしたような気持ちなのかもしれません。

恋人といたときの辛かった出来事を思い出せば、今の状況が合理化される。

そんな、もの悲しいイメージが浮かびます。

しかし、人間は過去を真っ正直に受け止めてばかりでは生きてはいけません。

心が耐えきれなくなってしまうからです。

過去を乗り越えるという意味で、気持ちの合理化はとても重要です。

ただ、普通の人はそんな状態を俯瞰してみることは難しいでしょう。

星野源の心理洞察力の高さが窺えます。

自分自身に失望

しかし歌詞の主人公は、過去の切なさを思い出して心を慰めている自分自身に失望しているようです。

白い息と言っているので、季節は秋の終わりか冬なのでしょう。

1番の湯気との対比が見事ですね。

そして自分が落ちぶれていくことを認識しています。

白い息は昇っていくので、相対的に自分が下がっていくようなイメージも湧きます。

過去をあまりいい思い出ではなかったと捉え、若干心が安らいでいる自分。

そう考えると、情けなくなってしまったのではないでしょうか。

曲はここからサビを繰り返して終わります。

「季節」のまとめ