「君は薔薇より美しい」の時代

「君は薔薇より美しい」は布施明の44枚目のシングルとして、1979年1月17日にリリースされました。

1979年という時代

1979年というと、平成の時代が始まる10年前

江川卓がプロ野球選手になった年。

第二次オイルショックが始まった年。 

堂本光一が生まれた年。

日本は高度成長期と言われる景気の良い時代を終え、景気もこれといって良くも悪くもない時代にありました。

この数年後から世間はバブル景気の様相を帯びてきて、その後、経済的には絶頂を迎えるので、まだまだ元気な日本がそこにあったと言えます。

ヒットチャートでの記録は?

数多くのヒット曲を持つ布施明にとっても、1975年にリリースした「シクラメンのかほり」と双璧をなす楽曲です。

しかし、ヒットチャートでの記録を見てみますと、オリコン週間チャート8位が最高順位でした。

また、TBSのヒットチャート番組「ザ・ベストテン」でも第4位が最高位となります。

「シクラメンのかほり」のオリコン週間チャート最高位は1位です。

「シクラメンのかほり」の方が勢いのあるヒットだったんですね。

ただし、NHKの「紅白歌合戦」では、1979年の第30回のほか、2003年(第54回)、2007年(第58回)、2008年(第59回)の計4回も歌われています

「シクラメンのかほり」が紅白歌合戦で歌われたのは3回ですので、布施明も大切に長く歌い続けている楽曲と言えます。

「君は薔薇より美しい」の誕生

オリビア・ハッセーという女優

【布施明/君は薔薇より美しい】星野源も惚れ込んだ歌詞の意味を解説!美しく変わったのは元恋人のこと?!の画像

ところで、オリビア・ハッセーというイギリス人女優はご存知でしょうか。

アルゼンチンのブエノスアイレスの生まれのイギリス人女優で、のちに布施明と結婚することになる女性です。

オリビア・ハッセーはカネボウの1979年春の化粧品のCMに出演していました。

そして、そのCMソングこそが「君は薔薇より美しい」でした。

布施明とオリビア・ハッセーはこのCMをきっかけに出会い、結婚するに至ったのでした。

きっかけは化粧品競争

このカネボウのCMについては、布施明とオリビア・ハッセーの結婚というエピソードのほかに、もう一つ大事なエピソードがあります。

そのころ、化粧品会社カネボウにとっての最大のライバルは資生堂でした。

両社は、この年まで毎年のように様々な歌手や女優とタイアップしCMを発表してきました。

「Mr.サマータイム(サーカス)」、「時間よ止まれ(矢沢永吉)」、「薄化粧(サーカス)」、「君のひとみは10000ボルト(堀内孝雄)」。

これらはすべて1978年にカネボウと資生堂両社のCMタイアップから生まれた楽曲です。

そして1979年になって「君は薔薇より美しい」が生まれますが、なぜこのようなタイトルの楽曲になったのか。

これが、大事なもう一つのエピソードなのです。

「君は薔薇より美しい」というタイトル

1979年。

資生堂は、前年までのCM楽曲戦争を終わりにし、映画ベルサイユのばら」とのタイアップキャンペーンを張り込みました。

映画ベルサイユのばら」は10億円を超える製作費をかけた大作で、資生堂にとっても一世一代の大規模なキャンペーンでした。

資生堂は「バラ」に勝負をかけたのですが、もう、お分かりですね。

カネボウはオリビア・ハッセーを起用し「君は薔薇より美しい」というキャッチコピーで資生堂を迎え撃ちました。

バラにはバラを。

「君は薔薇より美しい」は資生堂とカネボウの戦いの中で生まれた楽曲だったのです。

「君は薔薇より美しい」の歌詞1