純粋なままでは心が苦しくなってしまう
極限状態を夢中で切り抜ける中でも、何も感じないわけにはいかないでしょう。
割り切って進んだつもりでも、後悔はきっと付きまとうはずです。
なぜ、どうして、ああすればとよかったと、答えのない思いが胸をいっぱいにします。
竹内涼真がドラマで演じた間宮響は、おそらくは実直で真面目な性格なのでしょう。
捻くれず真っ直ぐに純粋であることは、混沌が支配する世界では胸を締め付けるばかりなのです。
今は傍らにはない切実な思い
星が降る夜をただ仰ぐ
いつかの傷と寄り添ってきたけど
限りあるものに焦がれた夜のままで居れたら
君と居れたら
出典: 星を仰ぐ/作詞:Mega Shinnosuke 作曲:Mega Shinnosuke
星が今にも降ってくるように感じるほど瞬く夜空を、極限のさ中に眺めることもあるはずです。
その場のことに追われていっぱいになった頭を、しばし空っぽにしてくれるような美しさ。
そんな星空の元でふと、恋人のことを考えます。
ドラマの筋書きに沿っていえば、ここでいわれる「傷」とは響が抱える暗い過去のことでしょう。
16年前、母を病気で亡くした直後、父が失踪して周囲からは父に捨てられたと言われるが、父が言い残した「必ず帰ってくる」という言葉を信じ、今でも父の帰りを待っている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/君と世界が終わる日に
26歳の彼は、そんな過酷な子供時代を生きてきました。
そういう過去を背負って今まで生きてきた響は、命を懸けても惜しくはない恋人と出会います。
愛して結婚までしようと決めた彼女は、今は自分の傍にいません。
どれだけ相手を想っても、その関係が永遠に続く保証はありません。
死が2人を分かつわけではなくても、ささいなきっかけで愛は壊れます。
それでも追い求めてやまないのもまた、愛といえるでしょう。
恋人を愛し、焦がれて、ひょっとしたら2人で見上げた夜空もあったかもしれません。
「君」が傍らにいるそんな夜に戻れたらと、今はまだ叶わない切実な思いに沈んでいるのでしょう。
内から湧き出て尋ねる声
サビが挟まれ、【星を仰ぐ】は一旦は極限状態の現実から離れます。
以降のパートは、より男性の心情に触れた内容として見ることができます。
何気ない日々の中で考えること
ふいに握られた手
夜風の中でも暖かい
日めくり、 抗い、 迷ってた
「何が大切なのか分かるかい?」
出典: 星を仰ぐ/作詞:Mega Shinnosuke 作曲:Mega Shinnosuke
このパートに並んでる歌詞から、冬の景色が思い浮かぶような気がします。
2人で家路に就いているのか、あるいは散歩にでも出掛けたのでしょうか。
「握られた」とあるように、手を握ってきたのは彼女の方からのはずです。
何の前触れもなくそうされて、そこから温かさが広がるのを感じるのでしょう。
そこで不意に、この楽曲の主人公は考えます。
自分にとって大切なのは何だろうか?と。
何気なく過ぎ行く幸せな日々の中で、内なる声がそう囁きます。
自分にとって大切なのは…
尋ねた 偉大な夜に
乱れた 息を整えて 考えた
理想ってなんだ 君と居たいよ
出典: 星を仰ぐ/作詞:Mega Shinnosuke 作曲:Mega Shinnosuke
自分の内なる声にそう尋ねられ、「僕」は束の間、動揺したのでしょう。
鼓動が早くなって、息が上がってしまいます。
そんな呼吸をなだめるように落ち着かせて、再び考えるのです。
答えは簡単に分かっているはずなのに、世間的な見解や常識、理想がそれを邪魔します。
やっぱりまたそれにも惑わされてしまうけど、最終的に彼ははっきりと言えるのでしょう。
自分にとって一番大切なのは、愛する恋人と一緒に居られることだということをです。
傷もいつかは希望に変わるかもしれない
愛せない過去も今を創る
いつかの傷も僕を救ったかも
限りあるものに焦がれた
夜の先へ ゆけたら
出典: 星を仰ぐ/作詞:Mega Shinnosuke 作曲:Mega Shinnosuke