RSP【さくら ~あなたに出会えてよかった~】歌詞の意味を解説!空から見守る想いは心にそっと寄り添うの画像

まず、高野健一の「さくら」がどういう楽曲なのか。

聴いた感じだと、死んでしまった女性への気持ちをとうとうと歌っているような印象を受けます。

歌詞の内容からはそれが幼い子供であるかのようなニュアンスも。

さくら さくら 会いたいよ いやだ君に今すぐ会いたいよ
天に召します神様お願い 僕の胸つぶれちゃいそうだ
さくら さくら 会いたいよ いやだ君に今すぐ会いたいよ
天に召します神様お願い 僕の息止まっちゃいそうだ

春に生まれた君を「さくら」って名付けた
かわいらしくひらがな3文字で「さくら」
明日晴れたらどこか遊びに行こうよ さくら
きっと桜がいっぱい咲いてキレイだよ さくら

出典: さくら/作詞:高野健一 作曲:高野健一

しかしこれ、実は亡くなってしまった子犬への想いを歌ったものなんです。

なんでも西加奈子氏著の「さくら」という小説を高野が読んだ際に物凄く感動して、この曲を作るに至ったのだとか。

この小説の中にその犬が登場するわけですね。

MVでは恋人の死が描かれていたけど

対するRSPの「さくら~あなたに出会えてよかった~」は死んでしまった犬から主人公への想いを歌ったもの。

前向きなイメージになっていたのは、悲しみに泣き暮れる主人公を慰めようという気持ちが込められているからではないでしょうか。

MVの中では死んでしまったのは主人公の恋人でしたが、犬にだって人と同じぐらいの情が生まれるものです。

そう考えれば、MVの描写は犬を飼っていない人に対してもその悲しみがリアルに伝わる内容に作られていたとも捉えられますね。

歌詞の内容は原曲に忠実に、犬の死を歌ったものとして解釈していきましょう。

見えない形になってもそばに居る

「さくら さくら 会いたいよ いやだ 君に今すぐ会いたいよ」
だいじょうぶ もう泣かないで 私は風 あなたを包んでいるよ
「さくら さくら 会いたいよ いやだ 君に今すぐ会いたいよ」
ありがとう ずっと大好き 私は星 あなたを見守り続ける

あなたに出会えてよかった 本当に本当によかった

出典: さくら~あなたに出会えてよかった~/作詞:高野健一 作曲:高野健一

サビでは原曲の一番耳を引く部分の歌詞がそのまま使われ、主人公が悲しみに泣き暮れる姿を浮かび上がらせます。

それに応える形で描かれる、その後に続く歌詞。

犬にせよ人にせよ、死んでしまった後どうなってしまうのかはわかりません。

死後の世界があるのかもしれないし、全く何もない状態になってしまうのかもしれない。

そしてここで歌われているのは「風になって包んでいる」「星になって見守り続ける」ということ。

大切な存在が亡くなってしまったとして、目に見えない形でもそばに居てくれるというのは素敵な話だと思いませんか?

「あなたに出会えてよかった」と言っているように、これは生前すごく大切にされていたことの表れ。

目に見えない形になったとしても、さくらは主人のそばに居たいと思っているのです。

自分の死期を悟ったさくらは何を思う?

主人を悲しませたくない

ここにもういれなくなっちゃった もう行かなくちゃ ホントゴメンね
私はもう一人で遠いところに行かなくちゃ
どこへ?って聞かないで なんで?って聞かないで ホントゴメンね
私はもうあなたのそばにいられなくなったの

出典: さくら~あなたに出会えてよかった~/作詞:高野健一 作曲:高野健一

「ここにはもう居られなくなった」「遠いところへ行かなくちゃ」

さくらは主人の元を離れる理由に死を感じさせる表現を避けている印象を受けます。

どこへ行くのか、なんで行ってしまうのかを聞かないでほしいというのは、それを話せば主人を悲しませてしまうからでしょう。

冒頭で主人公が悲しみに泣き暮れる姿が描写されていましたが、さくらにはきっと死ぬ間際からその様子が思い浮かんでいたのではないでしょうか。

だからこそここで、「遠くへ行く」という表現をすることで少しでも悲しみを和らげようとしているのです。

自分の死に直面してこの描写が最初に出てくるところに、さくらの優しさが滲み出ていますね。

飼い主との思い出がいくつも蘇ってくる

いつもの散歩道 桜並木を抜けてゆき
よく遊んだ川面の上の 空の光る方へと
もう会えなくなるけど 寂しいけど 平気だよ
生まれてよかった ホントよかった あなたに出会ってよかった

出典: さくら~あなたに出会えてよかった~/作詞:高野健一 作曲:高野健一

行き先はいつも主人が連れていってくれた散歩道のそのまた向こう。

自分は「平気だよ」と伝えることで、一生分大切にしてくれたということを。

「生まれてよかった」と伝えることで、今死を迎えたことに後悔の気持ちがないことを感じさせます。

思い出に残っている場所がいくつも描かれていることが、飼い主への感謝の気持ちを彷彿とさせますね。

嬉しい時も悲しい時も寄り添えたことが幸せだった