「恋の予感」に振り回される

意外とシビアな歌詞

井上陽水のバックバンドからプロ・アーティストとしてのキャリアを積んだ玉置浩二率いる安全地帯

彼らの7枚目のシングルが「恋の予感」です。

井上陽水による絶妙な作詞とメロディ・メーカー・玉置浩二による合作で43万枚のヒットになります

のちに井上陽水アルバム9.5カラット」でセルフ・カヴァー。

井上陽水自身の代表曲になります。

「恋の予感」というタイトルからは甘いラブソングを想像しがち。

しかしこの曲は意外とシビアな視線から、いつも「恋の予感」に踊らされるだけの女性を描いているのです

まずYouTubeの公式動画をご覧ください。

そして実際の歌詞を見ていきましょう。

愛に対して受け身な女性像

愛されることばかり気にする

井上陽水【恋の予感】歌詞の意味を解釈!恋をしているのに「好きだ」と言えない…届かない想いがもどかしいの画像

なぜ なぜ あなたはきれいになりたいの?
その目を誰もが見つめてくれないの?
夜は気ままにあなたを踊らせるだけ
恋の予感が ただかけぬけるだけ

出典: 恋の予感/作詞:井上陽水 作曲:玉置浩二

「恋の予感」というタイトルに甘い歌詞を望んでいると、最初のラインから痛い想いをします。

他者から愛されることばかりを考えて、他者を愛することを忘れている女性像が描かれています

恋愛のハウツー本は「どうやったら彼から愛される女性になれるのか」、そんなことばかり書かれている。

しかし愛の本質は愛されることよりも、愛することにあります

他者から与えられるよりも、他者に与えることこそ愛の本質です。

周囲から注目されるコーディネイトやメイク術を伝授する女性雑誌。

そこに愛の本質たる他者を愛する技術は書かれていません。

シビアな歌詞にびっくり

毎晩、アフター5の時間を受動的な恋愛に割きますが、それでは「恋の予感」がすり抜けていくだけです。

結果、家に帰宅するとひとりぼっちの身になってしまいます。

彼女の絶対的な孤独は埋められません。

そもそもなぜ綺麗になりたいのか?

理由が他者から愛されたいだけのためであったら、それはあまりにも虚しすぎる。

井上陽水の視線は真摯かつシビアです

井上陽水、または玉置浩二の甘いムードの歌唱に惹かれたら、痛い切り傷を負います。

「好きだ」の一言がいえない

受け身では恋は実感されない

井上陽水【恋の予感】歌詞の意味を解釈!恋をしているのに「好きだ」と言えない…届かない想いがもどかしいの画像

なぜ なぜ あなたは「好きだ」と言えないの?
届かぬ想いが夜空にゆれたまま
風は気まぐれ あなたを惑わせるだけ
恋の予感が ただかけぬけるだけ

出典: 恋の予感/作詞:井上陽水 作曲:玉置浩二

どうして自分から相手に直截に愛の言葉を発せないのでしょうか。

受け身で恋を待ち受けてばかりでは決して道は開かれません。

自身を生産的な人格に生まれ変わらせて、愛を与える側へと成長しないと恋はいつまでも予感のままです

伝えられない愛では相手に想いを気づいてもらえません。

一番悲しい想いをさせられるのは届かない恋愛それ自体です。

主導権を誰も持とうとしない恋愛ではひとの行き交いは偶然に任されたまま。

雰囲気に流されて「恋の予感」に振り回されたままなのです。

恋愛を偶然まかせから必然へと変えるには、運命を自分のものにするだけの強い決意が大事

しかし残念ながらそのことに気づくひとは少ないです。

自分の中の良き衝動を信じて

誰かと融合したい気持ち

井上陽水【恋の予感】歌詞の意味を解釈!恋をしているのに「好きだ」と言えない…届かない想いがもどかしいの画像

誰かを待っても
どんなに待っても
あなたは今夜も

出典: 恋の予感/作詞:井上陽水 作曲:玉置浩二