「ヨシ子さん」の概要
タイトルの由来
本作のタイトル「ヨシ子さん」とはいったい誰のことを指しており、どのような意味を持っているのでしょうか。
実際に歌詞を見てみると、その内容と「ヨシ子さん」という名前はそこまで深くつながっておらず、象徴的なものであると感じます。
また、桑田さんご本人は「スタッフのうちのひとりにそのような名前の女性がいる」ということを明かしてくれています。
さらには、落語家として人気だった初代林家三平さんの持ち歌との関連もあるようです。
きっとその響きなどからインスピレーションを得て、このようなタイトルになったのではないかと推察できます。
「ヨシ子さん」の歌詞をチェック!
桑田さんご自身からのメッセージ
R&Bって何だよ、
兄ちゃん?(Dear Friend)
HIPHOPっての教えてよ
もう一度(Refrain)
オッサンそういうの
疎いのよ 妙に
サタデー・ナイトは
ディスコでフィーバー
出典: ヨシ子さん/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐
こちらは冒頭部分の歌詞です。
本作のサウンドはクラブサウンド的で、かつそこに和風の旋律が絡み、レゲエやスカのようなアクセントでまとめられたもの。
いろいろなジャンルの音楽がミックスされた「ごちゃ混ぜ」のスタイルです。
歌詞もそれに近いもので、まず主人公が若者に向けて「流行している音楽」について尋ねるところから始まります。
その内容は、60歳を超えた桑田さんの等身大のメッセージです。
自分自身を「オッサン」と自虐的に表現して「R&BもHIPHOPもわからない」と呟きます。
「サタデーナイト~」以降は、映画「サタデー・ナイト・フィーバー」からの引用。
ジョン・トラボルタ主演のディスコ映画によって、本作の主人公は若かりし頃を回想します。
日本の古き良き音楽への敬意
チキドン(チキドン)
チキドン(チキドン)
チキドン
チキドン(チキドン)
チキドン(チキドン)
チキドン
出典: ヨシ子さん/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐
この描写は、いわゆる「チキチキ」「ドンドン」という打楽器の音を表した部分。
「音遊び」のような、深い意味を持たないブロックです。
このような打楽器の音を模した言葉は、1950年代から60年代あたりの日本の歌に多く使われている印象があります。
また、現代では珍しい「チンドン屋」もそれに近い名称です。
ご自身が生まれ育った年代の、日本の音楽にも敬意を払っている桑田さんならではの歌詞だと感じます。
また、この部分で聴くことが出来るのはアラブ調の音階とサウンドです。
この何気ないアクセントが、本作の「無国籍」な雰囲気をより盛り上げます。
「レコード時代」を懐かしむ主人公
EDMたぁ何だよ、
親友?(Dear Friend)
“いざ”言う時に
勃たないヤツかい?
“サブスクリプション”
まるで分かんねぇ
“ナガオカ針”しか
記憶にねぇよ
出典: ヨシ子さん/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐
「EDM」とは「Electronic Dance Music」の略で、クラブサウンドの中でもより現代的なサウンドを持った音楽ジャンル。
それが、前半の「R&B」や「HIPHOP」に引き続き登場します。
どうやら、主人公はその「EDM」と何かを勘違いしているようです(笑)。
さらに登場する「サブスクリプション」とは、ここ最近で一般化してきたサービス形態のこと。
「定額料を支払い、その間にそのサービスを利用する権利を得る」という、新しいサービス提供の形です。
音楽サービスにおいては、「Apple Music」や「Spotify」に代表される月額制ストリーミングサービスがこれにあたります。
「ナガオカ針」とは、レコードで音楽を聴いていた時代のスタンダードだった「ナガオカ」というメーカーのレコード針のことです。
要約すると、この男性は「サブスクリプションよりもやっぱりレコードだよ!」ということを言っているのです。
この部分の歌詞からも、流行に疎くて、ちょっと回顧主義的な語り手の性格が浮かび上がります。
ディランにビートルズ
可愛い姐ちゃんに
惚れちゃったんだよ
ヨシ子さん 好きさ
「くよくよするな」って
ディランが歌ってた
Everybody say,
Ah…(Ah…Ah…Ah)
出典: ヨシ子さん/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐