いつか叶うと
探し続けてきた朝に
No one finds me
戸惑いながら Black Bird

出典: Black Bird/作詞:aimerrhythm 作曲:飛内将大

「あなたになりたい」と願い続けていた、黒いステージの黒い鳥。

光がさす場所に近づけば、誰かが自分の存在に気づいてくれるかもしれません。

劣等感を引きずりながらも、暗闇の向こうにある「朝」を求めていました。

しかし「誰も」見つけてくれませんでした。

自分すらも自分を見失ったという意味が込められているのでしょう。

今どこにいて、どの高さを飛んでいるのか。そばに誰がいるのか分からない。

抜け出すにはどうすればいいのかも分からない状況です。

あなたの目なら 歪んだ世界の
何もかもが どんなに綺麗だろう

出典: Black Bird/作詞:aimerrhythm 作曲:飛内将大

もしも自分が「あなたのように」なったとしても、劣等感で黒く汚れた目から見える景色は変わりません。

しかし自分が「あなたに」なったら。

愛されて育ったあなたのきれいな瞳から見える世界は、全く別の世界なのだろうと想像します。

人間の汚い部分やマイナスの感情すらも「あなた」を通して見れば真っ直ぐに補正されてしまうのでしょう。

傷だらけになっても照らされていたい黒い鳥

不意に消えていきそうだ
急に光り出す景色
真っ赤な太陽 羽根を溶かすの I fly

出典: Black Bird/作詞:aimerrhythm 作曲:飛内将大

求めていた光を見つけたのもつかの間、光が強すぎました

朝の穏やかな太陽とは異なる、赤く燃えるような太陽は強い熱で黒い鳥を痛めつけます。

それでも飛ぶことをやめません

映画に重ねてみると、太陽は「ニナ」を表すのでしょう。

容姿にコンプレックスを抱く累にとって、美しすぎるニナの光は強すぎます。

羽根が溶けるかもしれない状況の中、累は飛ぶことをやめませんでした。

なぜなら、願いが叶うチャンスだと気づいたから。

口紅の力を使えば、愛される存在「ニナ」の瞳で世界を見ることができると気づいたのです。

こんな声の鳴き声なんて
誰も気づいてくれなかったよ
真っ黒焦げに 身を焦がして I walk

出典: Black Bird/作詞:aimerrhythm 作曲:飛内将大

暗闇の中でいくら鳴いても、誰にも気づいてもらえませんでした。

しかし、太陽だけは黒い鳥に気づき、羽根が溶けるほどの光で照らします。

黒い鳥の羽根は溶けて飛べなくなりましたが、歩くことはできるようです。

真っ黒な体はいくら焦げても焼かれても、黒いまま。だから気にしません。

黒い鳥は、声に気づいてくれたことが嬉しかったのでしょう。

「誰かになりたい」と思っている累の願いを照らし、演技力を認めて欲してくれたニナ。

ギブ・アンド・テイクの関係だとしても、累は嬉しかったのです。

抱きしめるようなあなたになりたかっただけ

出典: Black Bird/作詞:aimerrhythm 作曲:飛内将大

黒い鳥にとって、太陽は救世主のようなものです。

光が強すぎはしますが、それでも明るく照らし、包み込んでくれます。

そして太陽は誰もが待ち望む、愛される存在です。

愛されつつ、自分のような黒い存在に気づき抱きしめてくれる太陽。

黒い鳥は「太陽になりたい」と願ったのです。

劣等感を抱いている累は、誰かを抱きしめてあげることができません。

しかしニナにはその余裕があります。

優劣の「優」にいるニナになりたい、累はそう願いました。

着飾っても自分は自分でしかない

すぐに落ちていきそうだ 
不意に消えていきそうで
真っ暗闇で 声を枯らすよ I cry
ずっと空の飛び方なんて
誰も教えてくれなかったよ
真っ逆さまに 夢の淵に I fall

愛されるような誰かになりたかっただけ

出典: Black Bird/作詞:aimerrhythm 作曲:飛内将大

たとえ太陽の容姿に成り代わったとしても、内面は黒い鳥そのものです。

外見を入れ替えたところで、劣等感は消えません。

気づけばまた暗闇の中にいて、行き場を失ってしまいます。

飛べなくなり、落ちたのは海の底ではなく「夢の淵」

夢はいつしか覚めるものです。その「淵」に落ちるという表現には、どんな意味があるのでしょうか。

「淵」とは、川の流れが緩やかで深くなっている場所を指します。

淵の周りは水が流れていて、一歩踏み出すだけで足を取られ、場合によっては流されるかもしれません。

淵は変化に乏しいと言えるでしょう。つまり夢の淵に落ちてしまえば今と何も変わらない。

自ら踏み出そうとしなければ、黒い舞台の中で太陽になることを永遠に夢見ているしかありません。

誰かになりたかった「だけ」だとしても、夢の外に飛び立つ方法を自ら模索しなければ永遠に叶わない願いなのです。

歌詞を知れば映画がもっと楽しくなる!

【Aimer/Black Bird】歌詞を解説!映画「累ーかさねー」の世界観を反映!愛されたい…!の画像

胸の奥を潰されるような息苦しさを感じる「Black Bird」の世界観。

映画の内容を知らなくても「自分が自分であるためには……」と足を止めて考えてしまう歌詞でした。

映画主題歌は、エンドロールとともに流れます。

作品の余韻に浸っているうちに曲が終わっていた!ということはありませんか?

映画の主題歌は、多かれ少なかれ映画の内容にリンクする部分が存在します。

歌詞の内容を知っていると、エンドロールの最中にもう一度映画が楽しめるのではないでしょうか。

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デビューシングルの一曲「六等星の夜」歌詞にはAimerの思いが込められています。