yonige「さよならアイデンティティー」が気になる!

「さよならアイデンティティー」は2015年8月19日に発売されたyonigeファーストミニアルバム『Coming Spring』に収録されている楽曲です。

ほとんどが実話に基づいているというyonige楽曲

『Coming Spring』の楽曲も基本的にボーカルの牛丸ありささんが昔付き合っていた一人の彼氏の歌だということを以前インタビューで語っていました。

では、「さよならアイデンティティー」に隠されている実話とは...?

歌詞解釈をする前に、まずはその背景からこの楽曲の意味に迫っていきたいと思います!

「さよならアイデンティティー」で歌われているのは、「アボカド」と同じ彼氏?!

Coming Spring
yonige
small indies table

yonigeといえば、彼氏との喧嘩でアボカドを投げつけたという衝撃的な歌詞の「アボカド」を知っているという人も多いと思います。

そして、この「アボカド」も『Coming Spring』収録曲なんです。

となると...察しの良い方はもうお分かりいただけたでしょう。

つまり、最初に書いたように『Coming Spring』収録曲が一人の彼氏についての歌なら「さよならアイデンティティー」も「アボカド」も同じ。

「さよならアイデンティティー」は「アボカド」に出てくる彼と同一人物のことを歌っていると考えられますね。

yonigeの「アボカド」から考える「さよならアイデンティティー」の背景

「アボカド」ではありささんの怒りが爆発して彼氏にアボカドを投げつけ、朝起きると彼氏からバッグでアボカドをすりおろされていたという衝撃の喧嘩と失恋が描かれていました。

それと一緒に、そんなことをしてしまった自分への後悔と、彼への未練も歌われています。

そこまで激しい喧嘩をして別れたなら、普通怒りの方が優って、未練は残らないと思うかもしれませんが、それだけ好きだったのでしょう。

このように「アボカド」から考えていくと、実は、「さよならアイデンティティー」の歌詞にもその彼への未練が描かれているように解釈できるんです。

では、早速この背景を踏まえつつ、「さよならアイデンティティー」の歌詞を解釈していきましょう。

yonige「さよならアイデンティティー」の歌詞を解釈!

ここからは「さよならアイデンティティー」の歌詞を解釈していきます!

実話から書かれた歌詞であることから、リアルな感情がストレートな言葉で歌われているのもyonigeの楽曲の魅力の一つです。

感情移入しながらお楽しみください。

やっと新しい恋に踏み出せたのに...すり抜けてった

やっと今繋げたこの糸も
きっといつかは切れるんだね
3度目の春が来ようとしているけど
すり抜けてった

たとえば君が描くような
明日さえ怖いなんて言えないな
こんなにも苦しいのに繋ぐなんて
バカみたいだ

イライラってして泣いて
こんな最低な夜は
キラキラって星空に
祈りを捧げよう

ダラダラってしてるだけ
期待なんてしてバカみたい
ケラケラって笑うだけ
何も言えないな

出典: さよならアイデンティティー/作詞:牛丸ありさ 作曲:牛丸ありさ

歌い出しは、激しい喧嘩の末に別れてしまった彼との失恋から3年が経ち、「3度目の春が来ようとしている」というところから始まります。

過去の失恋の経験から「やっと」新しい恋に踏み出せたのに、この恋も「きっといつかは」終わってしまうと思ってしまう「僕」。

そんな不吉な予感を裏付けるように、手の平に乗った桜の花びらは「すり抜けて」いったのでした。

今付き合っている相手に対して「たとえば君が描くような 明日さえ怖いなんて言えない」と自分の不安を隠して付き合っている苦しい心情が描かれていますね。

それでも言えないのは、その不安が自分が過去の恋愛からきているということに自覚があるからでしょう。

こんなに「苦しい」思いをするのをわかっていながらまた恋愛をするなんて「バカみたいだ」と自嘲する姿が痛々しいですね。

やっと吹っ切れたはずの3年前の恋愛を思い出して「イライラ」して泣くような「最低な夜」。

泣きながら「星空に 祈りを捧げ」たのは、もしかしたら、今付き合っている彼が家から出ていってしまい、一人ぼっちで彼を待つことしかできない状態だからかもしれません。

そんな自分の今の状況が、いつか戻ってくるのではないかと「期待」して待ちながら抜け殻のように「ダラダラ」することしかできなかった元彼との失恋後の自分を思い出させたのでしょう。

「アボカド」の喧嘩して別れた彼氏はすぐに新しい彼女ができたのに、自分は「抜け殻みたいに」「ダラダラ」しながら「君待っていた」という歌詞とも重なりますね。

ちなみに、この曲は一人称が「僕」ですが、ありささんの実話であることや「アボカド」とも繋げて解釈したいので、女性と捉えて解釈します。

もう少し早く気付けたら、綺麗な思い出としてじゃなく、今も一緒にいられたのに

さよならアイデンティティーよ
もう少し早く気付けたら
綺麗な昨日を思い出すこともなかった
呆れるほどに痛かった
もう少し君といたかった
嫌いなその癖今じゃなんだか愛しくて

愛していた
恋していた
無理していた

出典: さよならアイデンティティー/作詞:牛丸ありさ 作曲:牛丸ありさ

「アボカド」で歌った元彼のことを、サイコパスな人だったとありささんは語ることもありますが、そんな変わっているところも今となっては「愛しく」思っているとわかるのがこの歌詞。

付き合っていた頃は元彼の「癖」が「嫌い」だったものの、今ではそれを彼の「アイデンティティー」と捉えているのですね。

もしかしたら、その「嫌い」だった「癖」が元彼との喧嘩の原因の一つでもあったのかもしれません。

もしも元彼の「嫌い」だと思っていた部分も彼の個性(「アイデンティティー」)だと「もう少し早く気付けたら」。

そうしたら、付き合っていた頃を「綺麗な」思い出としてこんなに時間が経っても思い出すくらい後悔しなくて済んだのにということですね。

「無理」しても一緒にいたいと思うくらい「愛して」「恋して」いた相手との失恋は「呆れるほどに痛かった」心の深い傷。

この傷を抱えながら、今の彼氏も帰ってこなくなってしまい、嫌な予感が止まらない「私」はどうなってしまうのでしょうか。

続きの歌詞も見ていきましょう。

電話は途切れ、不安は確かなものに変わっていく