8thアルバム「Ø CHOIR」収録曲
6人体制で新たなスタートを
今回ご紹介する楽曲はUVERworldの【ENOUGH-1】。
今作から結成当時に活動を共にしていたサックスの誠果が正式に本メンバーとして加わり、UVERworldが再び6人体制で始動することになりました。
彼らにとって再スタートを意味するアルバムでもあります。
【ENOUGH-1】の意味
楽曲のタイトル【ENOUGH-1(イナフマイナスワン)】とはどういう意味なのか。
「ENOUGH」とは十分である、必要なだけの、足りているという意味で「満足」を指します。
そこから「1」を引いて現れるのは、満足できていない状態。
ビースティ・ボーイズの【Check Your Head】からインスピレーションを受けたHIPHOPテイストの強い楽曲も新生UVERworldらしい仕上がりです。
独特なディジュリドゥをベースに祭囃子のようなピッコロの音色。
ジャジーなピアノとメロディアスに繰り広げられる誠果のサックス。
上機嫌なアレンジをギターとドラムのリズムが支え、信人のウッドベースによる体の芯に響くグルーヴが包み込みます。
異素材にも思える要素が融合して成り立っている世界は変幻自在にサウンドを操るUVERworldにしかできない表現です。
そして心にダイレクトに届く強さを持ったメッセージ性を感じる歌詞。
語りかけるように綴られる【ENOUGH-1】の歌詞から届くメッセージはなんでしょうか。
やあ、調子はどう?
ジャンボ!ハバリザアスブヒ?
データベースに不満とピース持つウォーカー
この国は清潔で 腐った賞味期限に敏感
そのくせ腐った政治に やけに鈍感だ
貧乏より金持ちの方が 金にはもっぱら卑しい方だ
太っ腹に貢ぐ姿を見てたら モデルの女が苦手になった
お前は真面目に生きなくても良いが
真面目な奴をあざ笑い ぶたなきゃわからねぇ 豚はおめぇか?
スパンキング
出典: ENOUGH-1/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
陽気なスワヒリ語の挨拶を皮切りに、鋭い切り口の風刺が続きます。
描き出されるのは現代社会の矛盾。
平和ボケした日本の現状を憂う言葉が並べられています。
貧乏が卑しいというイメージは正しいのか。
金持ちほど金に執着し、汚い使い方をしている現実もあるでしょう。
仮タイトルにもなっていた「モデルが苦手」というフレーズ。
金持ちに惜しみなく貢がれているモデルの女もその行為を当然と思っているのかもしれません。
欲望渦巻く縮図が象徴されているように感じます。
どう生きるかはそれぞれで、いってしまえば人の勝手。
しかし真面目に一生懸命生きている人をバカにする権利は誰にもありません。
狭い価値観で自分と他人を比べるなんて、そもそもおこがましい行為ではないでしょうか。
そんなこともわからない人間たちには一発お見舞いしたほうがちょうどよさそうです。
真実の言葉たち
欲しいものなんていくらでもある
全部乞うだけ じゃ無く一つに絞って追うだけ
そこら中に散らばってる幸せ
ガキは気付くのがヘタクソなだけ
隔世遺伝って孫に行くらしい
可能性としてこの無謀な夢を追う遺伝子
ハイリスク ノーリターンの精神
出典: ENOUGH-1/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
人は自分が持っていないもの、手に入れたいものを追いかけます。
欲しいものがたくさんあるなんて当たり前のこと。
「あれが欲しい」とねだるのではなく、まずは標準と軸を絞って自ら突き進んでいくことが大切です。
本当は自分が恵まれた環境にいることも気づけないのはまだまだ子どもな証拠かもしれません。
夢を諦めない遺伝子
世間じゃ自分の子供に就いて欲しい職業ランキング第1位:公務員
親が安定を望むのは 当たり前
俺も孫にこう言うよ
そいつに何の才能もなかったとして
なのに音楽の夢なんか追っかけてしまったとして
そろそろ業界もヤバそうだからさ
『素敵なミュージシャンになれよ!』
出典: ENOUGH-1/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
子どもが将来なりたい職業で夢を語る時代は終わったのかもしれません。
親なら子どもには自分が苦労して通ってきた道とは別の行く先を望むのも当然でしょう。
ただ自分と一番近い遺伝子を受け継いだ孫にいえる言葉はひとつです。
「自分の夢を貫いて生きろ。」