アスファルトの下から現れたのはネズミでした。
呆気にとられる主人公の前にふんぞり返って立つネズミ。
声の主はこのネズミだったようです。
先ほどは日本語で話しかけてきたネズミが、今度は鳴き声で主人公をまくしたてます。
正確には、早口すぎで「ちゅうちゅう」鳴いているようにしか聞こえないのでしょう。
主人公は何を言っているのか聞き取れないでいるようです。
それでも、必死にネズミの言葉に耳を傾ける主人公。
すると、ネズミが言っていることが少しずつ分かり始めるのです。
2番の歌詞の解説
ネズミは偉い
彼が言うにネズミとは
天下一の生き物で
偶然、身体だけ小さいと言い張ったのだ
出典: 夢みるドブネズミ/作詞:朝日 作曲:朝日
「彼」というのはネズミのことを指しています。
彼はたまたま会った主人公に「ネズミとは何なのか」について熱弁していたようです。
その内容な思わず笑ってしまうようなものでした。
ネズミは世界で一番偉い生き物だというのです。
しかし、小さい見た目のせいで、世間はそれを認めずにいるといい張ります。
呆れる少年
これほど小さな身体で
「舐めるな少年!」
何故、自信が溢れるんだ
ほら、偽が偽じゃなくなる
出典: 夢みるドブネズミ/作詞:朝日 作曲:朝日
ネズミが偉いと聞かされて、主人公は思わず呆れた顔をしてしまいます。
しかし、その呆れた態度にネズミは怒り、主人公を一喝するのです。
そんなネズミの姿を見て主人公は不思議に思います。
体が小さいネズミがこんなに自信を持っているのに、体の大きい自分には自信が全くないことに。
主人公は、先ほどまで都会の喧騒に悪態をついていた自分が情けなくなってきたのです。
自信を口に出すことができるネズミに対して羨ましさを感じ始めます。
ネズミの性格
ちゅらちゅらちゅらちゅちゅちゅらちゅら
鳴いてるような
ネズミ、偉そうに腕を組んでいた
「誰がどう言えど関係ないさ」
「俺が決めたから関係ない」
出典: 夢みるドブネズミ/作詞:朝日 作曲:朝日
この部分でネズミが語っている言葉には説得力があるように感じます。
自分が決めたことに対して、他人からどういわれようが関係ないといったスタンスのようです。
周りから隠れるように生きて来た主人公にとっては胸に刺さる言葉ばかりなのではなのでしょうか。
この楽曲を聞いているリスナーにとっても考えさせられる部分がありそうです。
変わる心境
ちゅらちゅらちゅらちゅちゅちゅらちゅら
泣いてるような
僕も偉そうに笑えるのだろうか
ちゅらちゅらちゅらちゅちゅちゅらちゅら
叫んでいたいな
地べたを這おうが進むだけマシか
出典: 夢みるドブネズミ/作詞:朝日 作曲:朝日
「偉い」という言葉に嫌なイメージを持っている方も多くいるかと思います。
しかし、この歌詞で使われる「偉い」という言葉は「自信」を表わしているのです。
ネズミが見せた自信によって、主人公の心境が変わり始めます。
周りの目を気にして静かに生きる人生は止めようと思い始めるのです。
泥臭くても、自分に自信を持って人生を突き進んでいく姿勢をネズミから学びました。
以上が歌詞の解説になります。
ここから、さらにネズミと主人公の関係性を紐解いていきましょう。
主人公が見つけた景色
ネズミと主人公の関係
歌詞の中で注目すべきなのは人間とネズミの立場の対比です。
人間が世の中における表の生き物だとしたら、ネズミは裏の生き物ということになります。
歌詞に登場する主人公は世間と関わらないように生きていました。
それは自分に自信がなく、何をやってもダメな人間だと思い込んでいるからです。
そんな自信のなさから、コソコソと動き回る裏の生き物のような生活を送っています。
一方、歌詞に登場するネズミは人間に話しかけるほど社交性に長けていて、自信満々です。
自分がネズミであることに全く引け目を感じていません。
まるで、表の生き物のようです。
ここまでの説明で分かる通り、生き物としての立場が逆転しています。
本来ならばネズミを見下す側の人間が、ネズミに見下されているのです。
この設定で伝えたかった本質とは何だったのでしょうか。