エルマが綴るエイミーとの思い出

思い出を失いたくない

さぁ揺蕩うように雨流れ
僕らに嵐す花に溺れ
君が褪せないような思い出を
どうか、どうか、どうか君が溢れないように

出典: 雨とカプチーノ/作詞:n-buna 作曲:n-buna

1行目の意味は自分の気持ちを揺れ動かすかのように、涙が流れている様子。

雨は悲しみや孤独、そして涙を連想させます。

ここでは「流れ」とあるので涙を流していると考察できますね。

3行目は「色褪せることなく」と解釈できます。

つまり、「君(エイミー)」との思い出をいつまでも色褪せることなく大切にしたい、という想いです。

思い出という器から僕(エルマ)の涙によって「君」が溢れてしまわないよう、祈るような気持ち。

エイミーとの思い出は大切だけれど、それと同時に泣いてしまう程の寂しさに襲われているのでしょう。

このことからもエルマはエイミーと一緒に音楽を作っていた頃をとても懐かしんでいるのがわかります。

スウェーデンのヴィスピーで

波待つ海岸 紅夕差す日
窓に反射して
八月のヴィスピー 潮騒
待ちぼうけ 海風一つで

出典: 雨とカプチーノ/作詞:n-buna 作曲:n-buna

前作から続く物語ですから、エイミーとエルマの物語はスウェーデンが舞台となっています。

3行目に出てくる「ヴィスピー」はスウェーデンにある世界遺産都市のこと。

つまりエルマは、ヴィスピーの海岸が見える窓辺で夏の終わりを感じつつ想いに耽っているのです。

真っ青な空と鮮やかな屋根の色、そしてどこまでも続く海。

ヴィスピーのそんな情景が目に浮かぶようです。

日が落ちてきてセンチメンタルな気持ちを盛り上げます。 

終わってしまった関係を受け入れられずにいたエルマ

夏が終わり、止まらない涙に蓋をして

夏泳いだ花の白さ、宵の雨
流る夜に溺れ
誰も褪せないような花一つ
どうか、どうか、どうか胸の内側に挿して

出典: 雨とカプチーノ/作詞:n-buna 作曲:n-buna

とても詩的な表現が美しいこの歌詞

1行目は暑い夏を越した花を自分たちの思い出と重ねているようです。

「泳ぐ」と表現することで夏の海を連想させていますね。

花の動詞として通常「泳ぐ」は使いませんが、敢えてそうすることに文才を感じます。

繊細な花が夏(海)を泳ぐという表現により、「暑い夏を越えた」とイメージできるのです。

夏の思い出が一気に蘇ってくるようですね。

そしてここでも「雨」、つまり「涙」が出てきており、そのまま2行目の歌詞に続いています。

溺れる程沢山の涙を流した夜だったのでしょうか。

夏の終わりとともにエイミーと離れてしまったのかもしれません。

花を挿すのはきっとエルマの心の奥から溢れる涙に蓋をして、ということを意味しているのです。

もうどうしたらいいのかわからない

ずっとおかしいんだ
生き方一つ教えてほしいだけ
払えるものなんて僕にはもうないけど
何も答えられないなら言葉一つでもいいよ
わからないよ
本当にわかんないんだよ

出典: 雨とカプチーノ/作詞:n-buna 作曲:n-buna

物語もいよいよ終盤です。

エルマはエイミーに対する想いを吐露しています。

1行目はおそらくエイミーと離れてしまってからのことでしょう。

今までの自分と何かが違う…。なにかがおかしい…。そんな自分に苦しんでいる様子が伝わってきます。

エイミーがいなくなってどう生きていったらいいのか分からなくなっているのです。

それほど一緒にいた時間はかけがえのないものだったのでしょう。

3行目で「払えるもの~」と綴られています。

ここから推測できるのは、払える代償、犠牲ではないでしょうか。

もしかしたらエルマが払うべき代償や犠牲があるような離れ方だったのかもしれません。

または、エルマは元に戻れるならどんな代償や犠牲を払っても構わない、と思ったのかもしれませんね。

しかしそれももう限界です。

エルマはどうしたらいいかわからなくなってしまったのです。

エイミーとの思い出は決して忘れない