【ナナヲアカリ/妄想ハッピーエンド】歌詞を徹底解説！バイバイの準備をする理由は？ネガる主人公の恋物語

泪を分け合って終わるのが「甘いアンハッピーエンド」です。

女の子らしく終わるためにはこの形が望ましいのでしょう。

でも彼女はこの想像を彼女なりの「妄想ハッピーエンド」で塗り替えるのです。

塗り替えるということは、全く逆の色を重ねることではないでしょうか。

つまり妄想ハッピーエンドは、平和的な平等解決ではなく自分優位の終わりです。

終わってしまうなら「ハッピーエンド」とは呼べませんが、それは一般論。

彼女にとっての「ハッピーエンド」とは、「彼女優位で迎える別れ」という意味なのです。

今の関係を続けていっても終わりは確実です。

彼女は「クソつまんない」と言いますが、これはネガっているセリフだと推測します。

このままの状態では優位で終われない。だから先手必勝、先んじてNOを突きつける。

「つまんない」からNOを歌うわけではないのでしょう。

もし彼女に相談相手がいて、彼女の考えの善悪や今後のことに意見をくれる人がいれば、少し状況が違っていたかもしれません。

しかし彼女が頼るのは、自分の頭の中だけ。結論を導き出す力が足りないのです。

それでも彼女は一人を選び、同情を退けました。

彼女なりに慎重に、しくじらないように懸命に妄想を繰り広げています。

別れに向けて着々と準備をしているのは彼女だけではありません。

彼女が別れの気配に気づくということは、彼が別れの準備をしているからなのです。

しかし彼はそれを隠したまま、笑顔で彼女との関係を続けています。

そんな偽物の笑顔は見たくない、と彼女は一蹴しました。

逆にいえば、本物の笑顔が見たかったのに、ということではないでしょうか。

またこのセクションは、彼女が彼女自身を投影しているようにも読み取れます。

優位に終わらせようと強気な構えでありつつも、彼を目の前にすれば笑顔で取り繕ってしまう。

そんな自分は見たくない、と歌っているのかもしれません。

無様な最後を迎えたくない！そう考える方は少なくありません。

「別れても構わない」「別れたいって言おうと思っていたところ」

平気なふりをして強がって、自分のプライドを保つのです。

この曲の主人公が考える『妄想ハッピーエンド』は、果たしてハッピーな結末だったのでしょうか。

心の奥底で望んだのは、「エンド」という言葉が付かないハッピーだったはずです。

そう考えると、この曲がさらに重く切ないものに感じますね。

ナナヲアカリのデビューシングルでアニメの主題歌に起用された『ワンルームシュガーライフ』。

ラブソング一つとってもこんなに違うものか、と思いながら聴きたい一曲です。

SNS世代の心を打ち抜く『インスタントヘヴン feat.Eve』。

承認欲求と自己否定の間で揺れる心が描かれています。