ミクスチャーサウンド全開のCMソング!

King Gnu【傘】歌詞の意味を解説!心が土砂降りになった理由は?「曇りガラス」は何を例えている?の画像

トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイルを歌い、我が道を突き進み続けるKing Gnu

2019年の1年は、メジャーデビューを果たした彼らにとって大躍進の年となりました。

今回ご紹介する楽曲は、そんな今波に乗った彼らが送るCMソングである【傘】

坂口健太郎の登場するブルボン「アルフォート」のCMに起用された曲となっています。

彼らはこの曲で、どんな「傘」の必要な日の情景を描いているのでしょうか?

さっそくその歌詞に迫っていきたいと思います。

その別れはもう覆せないもので

冒頭のフレーズを解説

さよなら ハイになったふりしたって
心模様は土砂降りだよ 傘も持たずにどこへ行くの?
あれこれ 不安になったって
どうしようもない “運命でしょ?”
曇りガラス越しのあなたには もう何も届いちゃいない

出典: 傘/作詞:常田大希 作曲:常田大希

冒頭の一説から、この楽曲別れを歌っているものであることがわかりますね。

偶然か必然か、心の中と同じようにこの日も外は土砂降りの雨。

喫茶店の窓側の席で別れを告げたのは、きっと相手の方からなのでしょう。

茶化すように気丈に明るく誤魔化そうとしても、悲痛な思いに満ちた表情が変わることはありませんでした。

別れの選択は、それほどまでに強く固い決意だったのでしょう。

これからの事を考えようとして、ふといつかのあなたの言葉が記憶の片隅から蘇ります。

もしかしたらこの別れも、来るべくして来たものなのかもしれません。

別れを告げ、重い空気から逃げるようにそそくさと1人で先に店を出るあなた。

店に取り残されたわたしが見つめる雨に濡れたあなたの背中には、もうどんな言葉も思いも届かないのです。

曇りガラスに隔てられた、2人の越えられない心の距離のように。

どうしようもできない心模様

先ほども触れたとおり、別れを描いた本楽曲

人は悲しみに直面すると、様々な行動をとります。

1度悲しみのどん底まで沈んでその気持ちに浸る人もいれば、気にしないように感情へ蓋をする人もいる。

この楽曲の主人公は後者でした。

1行目にあるとおり、自分の本当の感情を誤魔化して正反対の行動をとっているのです。

しかしこれで悲しみを癒せるわけではありません。あくまでも一時的な処置でしかないのです。

当然主人公も、別れの悲しみを乗り越えられたわけではありませんでした。

2行目にあるとおり、本当は抑えきれないほど苦しい気持ちでいっぱいです。

かと思えば3行目以降では、急にさめた態度で状況を俯瞰している様子も見られますね。

どんなに泣き喚いたって状況が変わるわけではない。すべてを受け入れているのでしょうか。

本来は遠くにあるはずの3つの感情が、別れをきっかけにして一気に襲い掛かってきました。

軽快なリズムに乗せて歌われるのはこんな風に、整理されていないぐちゃっとした主人公の心の内です。

あなたとの別れを考える日々

それでも日常は続いていく

3回目のアラームで
ようやく起き上がれそうな朝
眠い目を擦りながら
顔を洗ってコーヒーを流し込め

出典: 傘/作詞:常田大希 作曲:常田大希

外は朝から降りしきる雨。

けたたましく鳴り響くアラームを止め、やっとのことでベッドから抜け出します。

暗い空模様や昨日の記憶に気分も沈みますが、いつまでも重たい気持ちを引き摺るわけにもいきません。

それぞれの責務を果たしに、会社や学校、バイトに行かなければならないのです。

何事もなかったかのような顔で、自分の生活を続けなければならないのです。

運命なんてハナから
信じきれやしないよな
深読みのし過ぎばかりじゃ
満たされやしなくて

出典: 傘/作詞:常田大希 作曲:常田大希

昨日記憶の奥底から蘇った、いつかのあなたの言葉

あなたと出会い、幸せな時間を共にし、最後に別れが来ることは最初から全て決まっていたのでしょうか。

そんなはずはないとわたしは思うのです、そんなはずはないと、わたしは信じたいのです。

2人が悲しい結末を迎えずに済む方法は、なかったのでしょうか。

一体いつから、2人の歯車はかみ合わなくなっていたのでしょうか。

いくら考えを巡らせたところで、答えは見つかりません。

きっとこの別れを決める、決定的な出来事などなかったのでしょう。

2人が過ごす日々の中の、小さなすれ違いや意見の食い違い。

積もり積もった小さなヒビは、いつのまにか修復の効かない大きな溝となっていたのです。

結局は愛がどうとか
わからないよ未だに
そう言い放った自分の
頼りない背中を見た

出典: 傘/作詞:常田大希 作曲:常田大希

信じていたはずの人との別れ。

わたしはあなたを愛していたはずだったのに、そう思っていたのはどうやら自分だけのようでした。

一体いつから、2人の思いにすれ違いが生まれていたのでしょう。

それすらも今はわからないのです。

あなたとの別れは、大きな傷となって私の手元に残りました。

あなたとの間に確かにあったと思っていた、愛とは一体なんだったのか。

共に長い年月をあなたと過ごしたからこそ、わたしはもうわからないのです。

友人や周囲の人々に、大切な人だったあなたとの別れの話を告げるあなた。

その背中は、いつもの自信や誇りは一切身を潜め、とても寂しそうな姿をしているのです。

巻き戻せない時間への後悔と