椎名林檎の恐ろしい挑発
ほら災ひを起こして
取り憑いてあげる
出典: ドッペルゲンガー/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
このラインには椎名林檎の確信的な挑発が見受けられます。
リスナーはただ歌を聴いているだけですが、自分が取り憑かれたのではないかと身震いするはずです。
幾通りも可能な歌詞解釈
アーティスティックな歌詞
見えてしまつたよ 美意識を孕むだ愛憎
まう辭めたよ ほら須く示して
其処は天國
出典: ドッペルゲンガー/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
「ドッペルゲンガー」の歌詞は怪異現象について歌っているとの解釈の他にも別の解釈が可能です。
自分の姿に見えた欲深さや高い美意識を捨て去ることで天国にいるような快活な気分になれるはず。
そんな解釈も可能。
他人の意見に軽々しく自分を重ねて同調することで自分自身を殺してしまわないか? という解釈も可能。
いずれにしても決して一筋縄ではいかない歌詞なので要注意です。
どこまでもアーティスティックな歌詞ですから、解釈も何通りか考えられます。
ドッペルゲンガー現象のように客観的に自分自身の姿を見て思うことを歌詞にしているのは間違いありません。
ただし、そこから何を引き出すのかはリスナーひとりひとりの読解力に委ねられています
サンプリングの多用
男の声が聴こえる?
椎名林檎はアルバム「加爾基 精液 栗ノ花」収録曲にてサンプリングやコラージュを取り入れます。
過去の作品や街角のノイズなどをサンプリングしてそれぞれの曲に散りばめました。
「ドッペルゲンガー」でも「歌舞伎町の女王」などの音源をサンプリングしています。
またバスの音を録音した際に「こちらどうもお世話になってます」という男の声が混在。
このように裏話には事欠かない曲が「ドッペルゲンガー」です。
「ドッペルゲンガー」を逆再生する
呪詛の言葉が聴こえる
中でも一番の都市伝説的な裏話は、この曲を逆再生すると呪詛の言葉が聴こえるというもの。
空耳なのか意図的なのか逆再生すると「誰か死ぬ」という言葉が聴こえます。
デジタル音声データを逆再生するのは波形編集ソフトを使えば簡単にできるようになりました。
逆再生すると隠されたワードが聴こえるというのはロック音楽ではお馴染みのネタです。
「リバース・スピーチ」と呼ばれています。
Led Zeppelinの「天国への階段」を逆回転するとオカルト・悪魔崇拝のメッセージが聴こえる。
そんな論争がありました。
バンド側は明確に否定しています。
それでもアメリカでは「バンドが悪魔崇拝のメッセージを逆再生で伝えて洗脳している」と信じる人が続出。
過激な10代の青年たちがレコード店を焼き払う事件にまで発展しました。
椎名林檎の「ドッペルゲンガー」の「リバース・スピーチ」が意図されたものかどうかは分かりません。
それでもそんな都市伝説のような曰く付きの裏話に欠くことがないのも理解できます。
「ドッペルゲンガー」というタイトルも曲調もそれだけ不思議な存在感があるからです。