「Maria」の歌詞では「君」や「マリア」が幾度となく登場します。
ブラック・マリア事件でも「君」は誰なのかについてはわからぬままと記されています。
本当の事はわかりませんが、おそらく「君」とはリチャードを信じ、愛してくれた人なのでしょう。
全体的な流れからくみ取ると、これは筆者の勝手な解釈ですが「君」は…。
被害者の「ヴィヴィアン・プロムナイト」の事ではないかと考えました。
リチャードは実際にはヴィヴィアンの事は殺害していないのです。
しかし、抵抗することに疲れすべての罪を認めた…。
このことにリチャードはヴィヴィアンに対して申し訳なさを感じていたのかもしれません。
「僕が罪を認めた事で、君を殺した犯人を見つけることができなかった。」という解釈です。
ヴィヴィアンとリチャードは若さゆえの人生に対する行き詰まりを感じていたのでしょう。
ヴィヴィアンとリチャードの暮らしぶりこそ違いますが、心は同じ気持ちだったのかもしれません。
なんともはっきりとした事がわかっていないストーリーの為、様々な憶測が飛び交いそうです。
「運命」とは何か
孤独との戦い
誰も‥‥傷つけるつもりなどなかったんだ
今も‥‥僕はまだ恨まれているかい?
酷く‥‥強い孤独を感じるんだ
ねぇマリア…もう一度 抱き締めてくれ
出典: Maria/作詞:林保徳 作曲:林保徳
この部分の歌詞ではリチャードの涙が見えてくるのではないでしょうか。
彼は何もしてはいないのですが、誰かを傷つけ恨みをかっていたのかもしれません。
その事を強く恐怖として感じている様にも思えました。
そして、無実を主張しても誰も信じてくれず、味方などいないと孤独を感じています。
きっと「君」がいたらリチャードは孤独を感じずに済んでいたのでしょう。
味方でいてくれたはずの「君」を想い、ぬくもりを求めます。
それだけリチャードは不安で恐怖を感じていたのですね。
まっすぐ君へ向かう
透き通る世界がどこにもないとしても
ただ一つの真実は君への"愛"
"命"を"運"ぶってことが"運命"なんだとしたら
僕の逝く道はまっすぐに
君へと 今繋がっているんだ
出典: Maria/作詞:林保徳 作曲:林保徳
このまま生きていってもおそらく綺麗で濁りの無い人間関係はないと悟りが伺えます。
嘘だらけの世界でも揺るがない真実は「君」を愛しているという事。
どれだけの人がリチャードを疑い、リチャード自身が嘘を受け入れてしまっても「君への愛」だけは変わらない。
本当に愛していたことがわかりますね。
リチャードは運命とは何かを考えたのでしょう。
その答えがこの歌詞で表現されているというわけですね。
筆者はこの部分の歌詞にとても納得しました。
運命というものの解釈。
これは人それぞれですが、運命は命の未来です。
リチャードにとっての運命は「君」のもとへ逝くことだと思ったのでしょう。
生きていくことの「諦め」でもありますが、本当に信じてくれる人のもとに行きたいという気持ちの表れでもあります。
「死」が「希望」だったのかもしれない。
君を愛する資格
マリア…まだ僕は蔑まれているかい?
僕なんて‥生まれて来なくてもよかったのかな?
マリア…マリア…マリア この僕にまだ
君を愛する資格はあるかい?
出典: Maria/作詞:林保徳 作曲:林保徳
本当に大切な人を失い、誰からも疑われ、生きる希望を失くしたリチャード。
それでも自分の存在価値を見いだそうとしています。
リチャードにとって自分の存在価値とは、「君」を愛していくことにあるのだと感じました。
今自分がいる世に「君」はいなくても、「君」にとって酷いことをした僕でも、「君」を愛していたい。
そんな強い気持ちが伝わってきますね。
「僕なんて生まれてこなくてもよかったのかな」という歌詞に筆者は胸を締め付けられる思いがしました。
自ら命を絶つその時、人はそう考えてしまうのかもしれません。
そして飛び立った君のいる世界へ
風が静かに消えた…今、君に逢いに行くよ…
出典: Maria/作詞:林保徳 作曲:林保徳
この歌詞の冒頭で「遠い世界」と出てきましたね。
それは天国では無く、「気が遠くなるような世界」という意味だったのかもしれません。
頑なに生きていく事を諦めなかったリチャードは疲れ果て獄中で自殺を図りました。
愛する「君」のもとに行けたのでしょうか。
リチャードにとってその「死」は安らぎであったのかもしれませんね。