もし、わかっていたなら
もし、こんなことになることが事前にわかっていたなら。
人生の中でそんなことを考えたことは誰しもあるのではないでしょうか。
何かしら選択を迫られたとき、人はよくよく熟考し行動に移すでしょう。
それが、自分だけの問題でなく他人を巻き込む決断であればなおのコト。
考えに考えて一つを選び出し人生の駒を進めていきます。
あれほど考え、その時は最良の決断と判断した答え。
それが、月日を経て後悔に変わっていくことがあります。
誰にもわからぬ未来。
もし、未来がわかっていたらというのはあり得ぬ夢物語です。
そうと理解しつつ「もし」と考えてしまう、この曲の物語を読み解いていきましょう。
立ち止まって思うこと
時間が経つほどに
言葉にならないほどに
ただ君を好きだったよ
でも夢を捨てられず
選んだ道を
とぎれとぎれに
彷徨ってる
カタチのない思いさえ
何かに表そうとしてた
そんなことしなくてもいいよ
少し笑って
我慢してた
出典: If ~I know~/作詞:ATSUSHI 作曲:Tomomi Narita
何か悩みの最中にあるとき、公平に冷静に物事を見極めるのは難しいことです。
どうしても少し悲観的になってしまったり、偏った見方をしてしまいます。
恋愛において、未来のことを考えるときそこに絡む要素はいろいろあるでしょう。
これから二人に起こるであろうこと、現在の相手の気持ち、二人を取り巻く状況など。
中でも大切なのは自分の想いです。
「好き」という気持ちがどれくらいあって、それをどう取り扱うのかということ。
相手がある分、自分の気持ちを優先するということができないことでもあります。
気持ちよりも、「最善の道」は何かを探ろうとしてしまうことがあるのではないでしょうか。
「最善の道」は必ずしも気持ちとは一致しません。
そうして選んだ「最善の道」を歩き出してから、ふと自分の気持ちに気付く。
そのときになって初めて、自分がどれほど相手を好きであったかがよくわかってくるようです。
形のないもの
人の気持ちに形はありません。
プレゼントや言葉、いろんなものでその形を表そうとする人がいます。
一方で、形のないものはそのままに、フィーリングでそれを表す人もいるでしょう。
そのどちらが正解というのでもなく、あくまで表現方法が異なるだけです。
形のないものは、後からその形に気付かされるということがあります。
そこにあった目には見えない「何か」。
その存在がふと消えてしまった後で、そこには確かに何かがあったと気づくこと。
物なら捨ててしまえばみえなくなりますが、想いは反対に大きくなります。
一生懸命に形のないものを見せようと努力してくれたその「想い」。
手が届かなくなった今になって、相手の気遣いが主人公の胸を熱くします。
これがきっと
自分が求めていたもの
あの日もし違う答えを
選んでいたとしても
心の中の本当の気持ちに
僕は嘘つけなくて
Oh,forgive me baby
ずっとあなたのそばで
そっと手を握りしめ
一緒にいた日々を忘れない
いまはこころの奥に
想いをしまい込んだら
I know,I know,I know
歩きだすよ
出典: If ~I know~/作詞:ATSUSHI 作曲:Tomomi Narita
人生の中で重きを置くものは人によって異なります。
仕事、夢、人間関係、家庭など。
それは、年齢や時期によっても変化していくもので、普遍的なものではありません。
主人公にとって、好きな人との関係が嘘であったわけではないのでしょう。
また、好きという気持ちが何かに比べて小さかったということでもありません。
ただ、好きな人を大切にするということを選ぶことができなかっただけ。
それは優先順位が低いとか、切り捨てたということではないでしょう。
好きな人と一緒にいたいという気持ちは本物でした。
ただ、それを選ぶことはできなかった。
ですがあのとき、違う道を選ぶことも可能であったのか、そう聞かれたら。
やはり、こうするしかなかったのだ、という気持ちも本物なのです。
選んでしまったから
主人公は自分が選んだ道を淡々と、そして粛々と歩いています。
そして時々、立ち止まり彼女のこと、あの日のことを思い起こすようです。
二人で共有した時間のこと。
手を伸ばせばすぐそこに好きな人がいた充実の日々。
それは、主人公の支えとなって優しく彼を取り巻いています。
二人の時間を忘れるのではなく、思い出にして。
その記憶は決して色褪せることなく主人公の心に生き続けていくでしょう。
時間とは不思議なモノです。
二人の歩む道が異なれば、二人の距離はどんどん離れていきます。
その一方で、過去の時間は自分が忘れてしまわない限りいつまでもいつまでも、そこに同じままです。