「Together When…」とある別れ

浜崎あゆみ【Together When…】歌詞の意味を徹底解説!「ありがとう」と言えなかった理由とはの画像

2007年12月5日発表、浜崎あゆみにとって初めてのデジタル配信のみのシングルTogether When…」。

この年の紅白歌合戦でも歌われた名曲です。

悲しい別れを描いた歌詞が印象的でしょう。

別れたパートナーとの来世での復縁を願う歌主人公の思いが健気です。

なぜ別れるパートナーに「ありがとう」の一言がいえなかったのか。

別れる際の男女の複雑な真理がそこに反映されています。

浜崎あゆみが描いた繊細な心を持つ主人公の心模様がリスナーの胸を打つでしょう。

デジタル配信のみでトリプル・プラチナ・レコードに輝いた大ヒット作。

ピアノとストリングスの壮大な響きが胸を焦がします。

浜崎あゆみのエモーショナルな歌唱も冴えているのです。

彼女が描いた悲しくも切ないドラマを丁寧に解説いたしましょう。

別れを経験したことのあるすべての人の心を捉える歌詞の秘密に迫ります。

それでは実際の歌詞をご覧ください。

若すぎたふたり

別れることの辛さを胸に

浜崎あゆみ【Together When…】歌詞の意味を徹底解説!「ありがとう」と言えなかった理由とはの画像

僕達は心に同じ
傷跡を残しながら
背を向けたまま振り返らずに
そっと強く歩き出しました

変わらないひとつのものを
見つけたと信じていた
ふたりはそれが変わっていくのを
感じて一歩離れた
やがてさらに一歩離れた
傷つかない様に

出典: Together When…/作詞:ayumi hamasaki 作曲:Kunio Tago

歌い出しの歌詞になります。

登場人物は語り手の僕と別れてしまった元パートナーの君です。

別れを決めたことは僕と君の双方にとって痛手になったよう。

別れる際の具体的な理由は明示されません。

浜崎あゆみはこの点を焦点にしたくなかったのでしょう。

とにかくふたりが別れたという事実から出発して過去に何があったかは問いません。

お互いの無力さによって関係が瓦解してしまった可能性もあります。

どこかふたりの関係が疲弊していたのは間違いないでしょう。

お互いが変わってしまったことだけが理由であったならば堪えることもできただろうと思われます。

悔しい思いも抱えながらふたりは別れを選択してしまったのです。

それでも過去を振り返ることはない、とにかくそれぞれ前へ向かうと決意しました。

すれ違ってゆくふたり

浜崎あゆみ【Together When…】歌詞の意味を徹底解説!「ありがとう」と言えなかった理由とはの画像

愛の永続性を信じられるようなお互いにとって大事な価値をかつては見出だせていました。

しかしこのふたりは若いカップルだったのでしょう。

それぞれが成長する過程ですれ違ってゆきます。

若い愛は一般的にもあまり持続しません。

まだ将来の進路も決まっていないうちに一緒になってしまう若いカップル。

こうしたカップルのうち多くの方が進路を決めて離れ離れになるだけで関係が終わったりするものです。

ここでの僕と君も一緒になることの意義をそれぞれが成長するごとに見失ってゆくのでした。

付き合いたての頃は運命の出会いじゃないかと盛り上がった心。

しかし成長するにつれて価値観が大きく揺れ動く歳頃です。

お互いが大切に思うものが徐々に変わっていったのでしょう。

少しずつ、また少しずつふたりの距離が遠くなってゆきました

やがて気付いたときには取り返しのつかないことになっていたのでしょう。

やはり具体的な理由は明らかにはされないのですが、こうした抽象的な説明だけで十分です。

リスナーも自分の経験に照らしてこの境遇を理解するでしょう。

具体的な理由はリスナーの記憶の中にそれぞれ多様に存在するはずです。

浜崎あゆみはリスナーが歌詞に自分の姿を投影するのを邪魔したくないので具体的な理由は書きません。

ただお互いに優しすぎたのかもしれません。

すれ違う思いを問題視するようなことさえ避けて通ってしまいました。

是が非でも関係を維持するための意志の強さというものが欠けていたのかもしれません。

運命を断ち切らない

「ありがとう」がいえない

浜崎あゆみ【Together When…】歌詞の意味を徹底解説!「ありがとう」と言えなかった理由とはの画像

ありがとうって言いたかった
ありがとうって言えなかった
だってそれじゃまるで永遠の
サヨナラみたいで悲しすぎるから
いつかまた僕は僕に生まれ変わって
君を探す旅に出るんだろう

出典: Together When…/作詞:ayumi hamasaki 作曲:Kunio Tago

僕には君への感謝の想いがあります。

しかし「ありがとう」という言葉には結晶しません。

なぜかその言葉を口にすると本当にすべてが終わってしまったと思わずにはいられなくなる。

別れは歴然とした現実なのですが、そのことを今は受け入れることができないのです。

今はここで一旦お別れしますが、後に運命がふたりをもう一度引き合わせてくれるのではないか。

僕はそんなことを夢想しています。

実際に別れてからも良好な関係を築けるカップルもいるでしょう。

元カレ・元カノと仲が良いという人は意外に多いものです。

一方で別れた相手とは一切の関係を断つというタイプの人もいます。

こうした人は人生を損しているような気もするのですが、事情を聞くと「生理的にダメ」だというのです。

人間というものは様々なタイプがいるからこそ、その分ドラマも色々な形があるのでしょう。

「Together When…」の僕は別れた先にも未来があることを信じたいのです。

未練のようなものとは少し違うのでしょう。

人生のひとときでも一緒になった人と永遠の別れをすることをもったいないことと感じてしまうのです。

浜崎あゆみの恋愛哲学

浜崎あゆみ【Together When…】歌詞の意味を徹底解説!「ありがとう」と言えなかった理由とはの画像

この箇所こそ「Together When…」のサビになっています。

浜崎あゆみはこのラインに一番伝えたいことを込めたはずです。

彼女自身の恋愛哲学・人生哲学がこのサビに見受けられます。

僕と同様に浜崎あゆみも一度運命がめぐりあわせた縁であるのならば断ち切りたくはないと願うのです。

彼女はその想いをドラマに昇華して表現します。

人間としての懐の広さのようなものがあるからこそ、別れた相手とも一定の友情をシェアできる。

そしてもしも来世というものがあるのだとしたら再びその相手と出会いたいと願います。

今生では難しい恋愛も来世ではうまくやれるかもしれない。

恋愛というものは何が運命を決するのか本人たちにも分からないときがあります。

ささいな一言で相手を傷つけてしまうこと、それが仇となって距離が生まれることもあるでしょう。

こうした失敗は後になってから気付くものです。

もう一度チャンスが与えられるのならば、そうした失敗をせずに済むかもしれません。

来世に再び会うことがあれば今度は過ちをすることなくうまくやれるはずなのに。

これは後悔と相手への申し訳なさが裏付けになった想いに違いありません。

僕に憑依しながら浜崎あゆみが願ったこと。

そこには彼女なりの経験が隠されているのかもしれません。

君は一陣の風