その後はもうやりたい放題。

クルマをジャックした3人が向かうは広大な高台です。

最後は3人ともスケボーの後のように傷だらけになっています。

Soulja Boyの「Crank That」 並みにノリノリで踊る3人。

スーパーの裏口にぶら下げられたコンバース

いつものSUSHIBOYSらしい手作り感とヒップホップ愛に溢れるMVです。

見ていると不思議と癖になります。

その秘密はヒップホップへの愛情がそこかしこに溢れているからなのですね。

「Shopping Cart Racer」の正体は?

歌詞を見てみよう!

We got fucking shopping cart to go めっちゃfamous
並んでる商品 すべてが エンターテイナー
精肉 青果 鮮魚 スーパーマーケット 黄金ロード
第四回ショッピングカートレーサー大会優勝候補

出典: Shopping Cart Racer/作詞:FARMHOUSE,サンテナ,EVIDENCE 作曲:SUSHIBOYS

初っ端から怒涛のパンチラインの連続です。

「第4回ショッピングカートレーサー大会優勝候補」!

過去3回もやってるの?

パンチラインとはラップにおける決め技の一種

一度聴いたら忘れられないフックのこと。

日本で数多くのパンチラインを残したラッパーはNIPPSですね。

ここでFARMHOUSEはスーパーマーケットをレース会場に見立てています

棚に所狭しと並ぶ商品はマリオカートにおけるコインやキノコ

素早く駆け抜けるだけでなく高得点の商品をゲットするのも勝負の決め手なのです?

ショッピングカートで広い世界に飛び出そう?

SUSHIBOYS【Shopping Cart Racer】MV解説!手作り感ある映像が癖になる!?の画像

ショッピングカート押してる今
棚の商品が訴えてくるんだこのコーナー
華麗に曲がってさ
カートの中身は大切だろ?
新商品 入荷された と聞いて
カートの中身が増えてく一方
新しいマシンが入荷
カートが増えてく
今度の試合どのカートか迷う
公道 走っても 問題ない
走る車の 視線がすごい
けど 月曜日の朝から笑ってるから問題ない
朝から晩までショッピングカート

出典: Shopping Cart Racer/作詞:FARMHOUSE,サンテナ,EVIDENCE 作曲:SUSHIBOYS

最初に一言。

ショッピングカートで公道は走っちゃいけません

ダメ!絶対!

SUSHIBOYSのクリエイティビティは止まりません。

スーパーのいわゆる精肉等の”コーナー”とレース場の”コーナー”

さらにはショッピング”カート”はレース用の”カート”にすり替わっています。

カートの中身の商品、それらは同時に日々の暮らしのエンジンになるのです。

そしてその勢いで外の広い世界に繰り出してしまいます

前作収録の「アヒルボート」ではアヒルボートが大海原に飛び出しました

今回はショッピングカートが広い世界に飛び出したのです。

最強のパンチラインが登場!

SUSHIBOYS【Shopping Cart Racer】MV解説!手作り感ある映像が癖になる!?の画像

ショッピングカートレーサー
主人の稼ぎが悪ければ悪いほどスピード上がり出す
カートの中身当たり前に半額商品が山積みです
公文に水泳に通わせなきゃならないからMy Baby
月火水木金金
社畜の旦那が呑んでる安いビールはもちキンキン
財布がスカスカ レジ袋は無駄
3丁目のミハエル・シューマッハはあたいだ

出典: Shopping Cart Racer/作詞:FARMHOUSE,サンテナ,EVIDENCE 作曲:SUSHIBOYS

最後のリリックで優勝候補のショッピングカートレーサーの姿が輪郭を帯びてきます。

主人の稼ぎが悪いから

日々家計簿と睨み合い最適な支出を計上する主婦の姿がそこにはありました。

「3丁目のミハエル・シューマッハはあたいだ」

若い世代の方に向けて注釈を入れておきます。

90年代テレビのゴールデンタイムで放映されるほどF1というカーレースが盛り上がっていた時代

当時数々の賞を総なめにしたヒーローがミハエル・シューマッハでした。

SUSHIBOYSの世代にとっては「そんな時代もあったんだ」程度に古い時代です。

特筆すべきはショッピングカートというコンテンツからストーリーを深く掘り下げる創造性

現代日本が抱える格差社会の現実にまで深く切り込むストーリーテリングは見事としか言えません。

人によってはシリアスにもなりかねない現実をシュールに表現できるラッパーは数えるほどしかいないでしょう。

ラップの価値基準の1つに「リアル」であることが持ち出されます。

貧困、暴力、ストリートライフを歌う歌詞が日本語ラップでは当たり前になって久しいです。

SUSHIBOYSはストリートスケーターのように日常に潜む死角にズバリと切り込んでいきます

もちろんラップのスキルは言うまでもなくハイレベルです。

”月火水木金金”から”ビールはもちキンキン”に持っていくあたりが白眉なポイントでしょう。

この”月火水木金金”はYouTuber時代の名曲「お米食べろ」でも使われています。

コラボ相手も巻き込む個性派集団

アイドルも巻き込む独自の世界観

熟女になっても feat.SUSHIBOYS/私立恵比寿中学

SUSHIBOYSがあるインタビューで語っていたことがあります。

東京には何でもある。その変わりに遊び方を選ばされている。

彼らが何もないと語る出身地の埼玉県の越生市

何もないところから創造性を発揮する術を覚えたSUSHIBOYSのスタイルは他に類を見ないものです。

動画投稿から徐々にファンを増やした彼らはついに東京に触手を伸ばします

最初にSUSHIBOYSの世界にやられてしまったのが私立恵比寿中学です。

2018年6月にリリースされた「熟女になっても feat.SUSHIBOYS」は中毒性の高いポップチューン。

アイドルのキラキラ感とSUSHIBOYSのユーモア感覚が絶妙にブレンドされています。

シャープペンシル feat.SUSHIBOYS/Lyrical school

SUSHIBOYSの勢いは留まることを知りません。

一部の日本語ラップファンをざわつかせたラップアイドルグループのTengal6

新体制になりLyrical schoolに改名した彼女たちが客演に選んだのがSUSHIBOYSでした。

2018年12月リリースの「シャープペンシル feat.SUSHIBOYS」

作詞は全てSUSHIBOYSが担当

サウンドもSUSHIBOYSをフックアップしたタイプライターが手掛けています。

そしてトピックはずばりシャープペンシル

シャープペンシルを人生に例えて「前向きに行こうよ!」と優しく語りかけます。

これぞまさにSUSHIBOYSワールド!楽曲に仕上がっています。

次に彼らが触手を伸ばす先は一体どこにあるのでしょう?

ワクワクが止まりません。