Acid Black Cherry 4thアルバム「L-エル-」
透き通っていながら、非常に太く強い芯のある歌声が特徴的なボーカリスト。
それが、Acid Black Cherryの名で活躍している、yasuさんです。
Janne Da Arcというバンドのボーカルとしてデビューしたのち、ソロ活動を始めました。
そんなAcid Black Cherryが2015年にリリースした、4枚目のアルバム。
それが「L-エル-」という作品です。
今回ご紹介する『versus G』も、このアルバムに収録されています。
テーマは「運命」
そんな『versus G』のテーマは、ずばり人の運命。
定められた運命に反旗を翻し、勇敢に挑む主人公の様子が描かれています。
運命に抗う?そんなこと、あまりにも壮大過ぎてイメージできない…という人もいるでしょう。
いえいえ、そんな事はありません!誰もがそうできる可能性を秘めているのです。
勇敢な主人公の姿に、あなたもきっと勇気を貰えることでしょう。
受け入れることができない、この現実
格差に憤る主人公
神よ 何がしたいんだ?
『なぜこの世界は?』
どうしてこんなにも不公平で 窮屈で 息苦しいんだ?
楽園なんてないのかい? Hey! GOD!
出典: versus G/作詞:林保徳 作曲:林保徳
世界を創造したと考えられている神。
そんな、世界にとって最も偉大とも思える存在に対し、冒頭から挑発的な態度をとっています。
主人公は憤っているのは、世の中にある大きな格差。
2行目のセリフに続く言葉は、まさに3行目にある通りでしょう。
世界にはとても豊かで、食べる物も着る物も、住む場所にも困らない人たちがたくさんいます。
その反面とても貧しくて、生命を維持することさえ危ぶまれる人たちもたくさんいるのです。
誰のもとに生まれるか、どこの国に生まれるか、それらは個人で選択することができません。
しかしそうであるからこそ、この格差はおかしいのではないか?と訴えているのです。
また、主人公が頭を悩ませているのは格差問題にとどまりません。
生まれた国、生まれた家庭によって、多少なりとも「生きやすさ」「生きづらさ」といった差が生まれます。
貧困問題に比べれば、非常にわずかな格差です。
それでも主人公にとっては、取り払いたい大きな壁なのでしょう。
哀しみで溢れるこの世界…
神よ 目をそらすな
『あの子が泣いている』
それどころか 世界中には
もう哀しみが満ちて
今にもこぼれ出しそうだ
出典: versus G/作詞:林保徳 作曲:林保徳
神への訴えかけは続きます。
世界には毎日笑って楽しく過ごせる人がいる反面、俯いたまま悲しい気持ちで泣きながら過ごす人もいます。
夢や希望を描ける人もいれば、いまを生きることに必死で前など向いている余裕のない人もいるのです。
そんな差がある原因は、神がそれらの格差から目を背けているからだ、と主人公は主張しているようですね。
人々にとって神は、世界を意のままに変えることができる存在です。
それでも状況が変わっていないということは、神が見て見ぬふりをしているからに違いない…。
主人公はそう考えたのかもしれません。
世界が変わらないなら…
開き直ってやる!
Let’s count to 1 2 3 4 5!
Hey everybody!
Let‘s make cocktail with teardrop and make a toast!
どうせ考えたって 世界はかわらない
さぁお前!どうしたい!?
出典: versus G/作詞:林保徳 作曲:林保徳
(和訳)
さあ、数えよう 1 2 3 4 5!
さあ、みんな!
涙のしずくでカクテルを作って、乾杯しようじゃないか!
(解釈)
ここまで大きな格差のある世界を見つめながら、現状を悲観していた主人公。
ここにきて、どうにでもなれ!と言わんばかりの態度をとりはじめました。
ここまで必死に格差のことを考え、頭を悩ませていた彼も、とうとう匙を投げたのでしょうか…?
4行目で綴られている言葉からは、悲しみというよりは呆れた気持ちが強いようにも感じられます。
先ほど紹介した歌詞にあった通り世界中に悲しみや涙が溢れているなら、それさえも娯楽に変えてしまおう。
半ばヤケクソかもしれません。やりたい放題の主人公が描かれていますね。
しかし一見するとヤケクソに思える態度でも、実は主人公の考えにはきちんと根拠がありました。
その根拠とはいったい何なのか、この先の歌詞と共に読み解いていきましょう。