本当の光を探す自分に追いつかない心

ふと気付くと朝が泣き
いつの間にか夜が笑い
嫌がらせの様な空を ビルが真似し始めて

君も僕もそれに習い
誰よりも光ろうとし
完成を待たずして 僕等背伸びをするんだ

言葉がこぼれて
気持がそれに追いつけずに

出典: city/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平

朝が泣き、夜が笑うという部分は様々な解釈が可能ですが、ポイントとなるのは「光」です。

太陽が昇り明るく照らし出される朝。

その朝が泣いているのは、夜の方が明るいからかもしれません。

街のネオンや街灯、家々から漏れる光によって夜は、朝を凌ぐほど明るくなってしまいました。

それは喜ばしいことではなく、人工的な光が照らし出す夜は「嫌がらせのような空」。

その空をもっと明るくしようとするのは、深夜でも消えることのないビルの明かりです。

「君」も「僕」もその人工的な光を真似して、自ら発光しようとします。

「君」と「僕」が作り出そうとした光の世界の完成を待ちきれず、二人は背伸びをします。

背伸びをして見えたのは、朝かあるいは夜。

自然の光にはなれないと知ると同時に、夜の強引ともいえる人工的な光にもなることはできないと知りました。

溢れる言葉たちはこぼれ落ち、気持ちが追い付かない「君」と「僕」は、本当の言葉を探し求めます。

言葉に弄ばれ嘘をつき偽ってきた自分

【[Alexandros]/city】歌詞を解釈すると見える真実…”言葉”に翻弄されて見失うのは?の画像

君は何を言いたくて
この場所を選んだのだろう
意味の無い叫びでも良い
今すぐに吐き出して

言葉の中身を満たしたくて
意味のある心を見せたくて
嘘ばっか 嘘ばっか 嘘ばっか
偽って 偽って 笑った

出典: city/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平

これまで主語が「僕」だった部分が「君」になっています。

おそらく「僕」と同じ疑問を抱える「君」を客観視し、まるで自分に言い聞かせるように言葉を繋ぎます。

言葉について、深く深く考え続けてきた「君」と「僕」。

心や気持が追い付かないまま、言葉に溺れ言葉がこぼれて、ある種の無力感を感じていたのかも知れません。

しかし、ここで「僕」は「君」に言います。

深く考えず、思ったことを言葉にすればいい。

たとえそれが意味の無い叫びでも構わない。

今すぐに、ありのままの言葉を吐き出して、と。

そして「僕」は知りました。

これまで、無理に何か中身のある言葉を言おうとしていたこと。

意味のある言葉で、意味のある心の持ち主だと主張しようとしていたこと。

言葉によって自分を飾ろうとし、嘘ばかりついて、偽りの笑いを浮かべていたこと。

そんな「僕」が「意味の無い叫びでも良い」と思うようになったのは非常に大きな変化です。

やっと掴み始める自分の言葉

【[Alexandros]/city】歌詞を解釈すると見える真実…”言葉”に翻弄されて見失うのは?の画像

誰の為でもない自分自身の言葉との再会

言葉が流れて
身体から全部搾り出したら

僕は何を言いたいか
やっと理解し始めた
だれの為でもない自分の言葉を悟った

出典: city/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平

言葉に翻弄され続けてきた「僕」は、身体から溢れる言葉をありのまま吐き出そうと決めました。

飾らない心からの言葉をすべて出し切った時、「僕」は新しい自分の言葉と出会います。

何を言いたいのだろう、どうしてここにいるのだろう、と自問自答を繰り返してきた時間。

その葛藤を経て「僕」は新しい境地に辿り着きました。

自分が何を言いたいのか、理解し始めた「僕」。

自分が本当に言いたかったのは「誰のためでもない自分の言葉」。

人に伝わるのは、虚栄心で飾り立てた言葉ではなく、自分のための言葉という嘘偽りのないありのままの言葉だ。

そう悟った僕は、自分の言葉、自分の場所を見つけたのです。

「君」に贈る𠮟咤激励

【[Alexandros]/city】歌詞を解釈すると見える真実…”言葉”に翻弄されて見失うのは?の画像

君は何を言いたくて
この街に居座ってんだろう
この歌も捨て 自らの言葉と身体で生きていけ

ここはどこですか
私はだれですか

出典: city/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平

この街で自分の言葉と居場所を見つけた「僕」。

最後に、同じように迷い苦しんだ「君」に語りかけます。

「君」は何を言いたくてこの街にいるんだろう。

それは、かつて自分に問うた問いと同じものです。

「僕」は自分との記憶も、この歌さえも捨て、「君」自身の言葉と身体で生きていけと伝えました。

少し強引にも聞こえるこの言葉ですが、「君」を自分や自分にまつわる言葉から自由にすること。

それこそが「君」にとっての幸せだと「僕」は思ったのです。

「君」はかつての「僕」と同じ疑問を胸に旅立ちます。

ここはどこなのか、自分は誰なのか。

その問いの答えは「君」が自分自身で見つけるしかないのでしょう。

「僕」も「君」も、言葉に翻弄され見失ったのは自分自身でした。

「僕」は自分の言葉を取り戻すことで、自分自身も取り戻します。

今はまだ自分を探しもがく「君」も、いつかきっと「君」なりの答えを見つける日がくるのでしょう。

まとめ

「city」の歌詞は、言葉は時として自分の場所・存在の確信すら揺らぐほどの力を持っているのだと伝えています。

言葉は、その人のアイデンティティに深く関係しているということがこの歌詞から伝わってきます。

英語を織り交ぜながら、徐々に「僕」が自分を取り戻していくストーリー性のある優れた楽曲と言えるでしょう。

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