サビの前にあたる、静かな雰囲気で進行するフレーズ。
主人公の堅い想いは揺るがないままです。
闇へと堕ちていく
そこは静寂につつまれた瞬間である
私たちは時々「邪悪」にならなければいけない
出典: インナーサークル/作詞:東野へいと 作曲:東野へいと
先ほどからの主人公の決意を更に強くしている歌詞です。
注目すべきは末尾の歌詞の義務的な表現。
時には自分を捨てて、悪役になる必要があるといっています。
まるで、そうしていないと生きられないといわんばかりの想いです。
武器を振り回して、悪を演じきっている自分。
そんな自分に対して内心ではどんどん悪い方向に進んでいることは分かり切っているのです。
しかし、もう後戻りはできない。
ひたすらに底に沈んでいく瞬間は、どこか心地よいとすら感じてしまうのです。
悪を演じ続けた先で
It's simply a matter of time
We just wanna party again
出典: インナーサークル/作詞:東野へいと 作曲:東野へいと
リズミカルなドラムの入りと共に、メロディアスなサビに突入します。
どこのだれかのハイトーンボイスがこれほどかといわんばかりに活かされています。
それは単純に、時間の問題だ
私たちはもう1度パーティがしたいだけ
出典: インナーサークル/作詞:東野へいと 作曲:東野へいと
何かから逃れついた果てに、主人公は覚醒し始めます。
それはこれまでの表現からも分かるように、良い覚醒ではありません。
ここで述べられている「パーティー」とは大量殺人や暴行横行にあたるのではないでしょうか。
それ以外の解釈にしても、他者に向けた外向きの負のパワーを感じられます。
歌詞の1行目に述べられている「時間」は自身の我慢の限界。
今まで堪えてきた負の想いが一気に溢れかえる様がイメージできます。
追い詰められている主人公の絶望感と焦燥感をリアルに感じられるフレーズ。
どこのだれかの叫ぶような歌い方は、こちらまで何かに迫られている緊迫感を想起させられます。
自分自身すら変わり果てていく
もう時間が無い
理想郷や寓言のピクチャー
狼藉を逆睹したフィクサー
断罪していく制裁のジェスチャー
We all know, no time for losers
出典: インナーサークル/作詞:東野へいと 作曲:東野へいと
ここの歌詞は、英語のように発音されながら流暢に日本語を歌い上げている点が魅力的です。
そして難解な熟語と横文字の混合歌詞も、東野へいとの織りなすリリックの特徴であります。
「狼藉」とは、乱暴な振る舞いを意味している熟語。
「逆賭」とは、聞きなじみが無いですが、物事の結果を推測することです。
まとめれば、何1つも得られない負け犬には、自身を繕ってまでも行動するしかないと解釈できます。
自分の思い描いていた理想などは戯言であり、現状には何も存在していない。
1つ1つを組み立てていくこれまでは終わり、これからは1つ1つを壊していく作業だといっています。
最後の英歌詞は、「敗者には時間がないことを知っている」と和訳することが出来ます。
主人公は、自身が何よりも敗北者であることを知っているのでしょう。
どこにも吐き出せない痛みがひしひしと伝わってくるフレーズです。
誰も味方ではない
不敵な笑み 狡猾なセカイ系
クライマックスは倒錯したDNA
いつだって後悔は無い
出典: インナーサークル/作詞:東野へいと 作曲:東野へいと
ここで述べられている「セカイ系」という言葉に注目です。
解釈としては、「自分VS世界の構図」という風に解釈が出来ます。
「倒錯」とは、全てが逆に、逆さまになっているという意味。
最後には誰もいなくなって、以前の自分とは真逆の自己が出来上がるといっているのです。
追い詰められた先で、自分自身すら豹変してしまったのです。
ですが、主人公はそれに一切の憂いや悔やみの念は持っていません。
むしろどこまでも膨らみ続ける負のパワー。
表は一匹狼のように虚勢を張っていますが、内心は泣きわめいているのでしょう。