オオカミと赤い服の少女が星に掴まり夜空を飛んでいく、おとぎ話のような演出。

「オオカミと少女」の描写から、童話の「赤ずきん」を連想しますね。

しかしこの映像で描かれるオオカミの表情は優しく、そのイメージは全く異なるもの。

狂暴に牙を剥くオオカミが、この曲では優しい顔をしているのは何故なのでしょう?

その答えは歌詞の中のオオカミとリンクするものではないでしょうか。

ボカロ曲のPVで活躍する2人が担当

絵を手掛けたのはボカロ曲のPVへのイラスト提供などで知られる「あをこ」。

動画の編集などはボカロPVのプロデューサーなどを務める「べて」が担当しています。

まさにその道のスペシャリストを集めた作品。

こうやって腕のあるクリエイターのコラボが数多く見られるのも、ニコニコ動画界隈の魅力ですね!

それぞれの作品も下記リンクから見られますので、気になった方は是非覗いてみてください。

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「紛れもない愚かな獣」とは?悲恋が描かれた歌詞を解釈

ここからは「オオカミと少女」の歌詞を解釈していきましょう。

まず初めに、筆者の解釈ではこの曲に動物のオオカミは登場しません。

描かれるのは悲恋を辿る男女の物語。

主人公は2人を引き裂くきっかけとなった行いから、自分を「オオカミだ」と言っています。

そこに隠された真意に迫っていきましょう!

幸せな2人

あくびの先の 雨粒のゆめ
揺らして スカート
手作りだって シロツメクサの
指切りありがとう

なんてない話だけど
そう聞いてほしいな

出典: オオカミと少女/作詞:鎖那 作曲:TOKOTOKO

ここで描かれるのは幸せに暮らしていた2人の様子でしょう。

あくびをして涙が出る様子を「雨粒のゆめ」と可愛らしく表現。

シロツメクサは、クローバーと言った方がわかりやすいでしょう。

「ずっと一緒に居よう」みたいな約束と一緒にそれで作った首飾りを貰った。

そんな様子が思い浮かびます。

話す内容も取るに足らないこと。

くだらない話をしていられることって、すごく幸せなことのように思えます。

きみのきみの
左えくぼ笑うとできるとこ
ぼくのぼくの
少し大きい手のひら繋ぐアイ
目の前ではじけて流星
ぶらさがっておやすみ。

出典: オオカミと少女/作詞:鎖那 作曲:TOKOTOKO

笑うとえくぼの出来る可愛らしい彼女。

その手を主人公の大きく男らしい手が優しく包む。

それぞれに惹かれるような部分が描かれていますね。

最後の流星のくだりは、ポップなイメージを醸し出すためのものでしょうか。

またはこの幸せが続くよう、流れ星に願っていることを表しているのでしょう。

1人になってしまった主人公

瞼にとけて 朝露のゆめ
ほどいて 首飾り
ひとりぼっちで寝転がってツメ
汚して泣いたんだ

怖いんだぼくの前で
そんな顔しないで

出典: オオカミと少女/作詞:鎖那 作曲:TOKOTOKO

2番からは状況が大きく変わります。

目覚めると泣いていたような印象を受ける「瞼にとけて朝露のゆめ」という歌詞

1番で出てきたシロツメクサの首飾りもほどいてしまいます。

「ツメ」「汚して」などの言葉から察するに、主人公はきっと彼女を傷つけてしまったのでしょう。

その結果1人になってしまった主人公。

傷付いた彼女の悲しそうな顔が脳裏に浮かびます。

人間ですらない